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降圧剤は高血圧を治すクスリではない!
血圧適正値には個人差がある

 
   続いては血圧のお話です。
   平成26年(2014年)厚生労働省の発表によると、高血圧の患者数は1,010,800人、年間医療費が1兆8890億円にのぼるそうです。日本の人口が1億人として、約1割が高血圧患者だというのです。これはクスリを処方されている、つまり医者から高血圧ですよと言われている人の数です。患者のほとんどが高齢者ですから、高齢者に絞った患者数の割合は、おそらく5割以上に達するはずです。50歳以上の日本人の2人に1人は高血圧のクスリを飲んでいるとも言えます。
「多くの医者は言います。高血圧は万病のもと。場合によっては死に直結します、と。そして、血圧が基準値以上と判定されると、血圧を下げるクスリをだしますので、しばらく様子をみましょう、というケースが圧倒的に多いのです。しかし、血圧が正常値よりも若干高めでも、病気ではありません。歳を取れば血圧は自然に上がるのが普通です。ただし、上がりすぎを放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患などの病気につながる恐れがあります。だから医者は、このまま放置しておくと危険です、と言って降圧剤を出すのです。
   血圧の基準値は、2014年に日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が公表した新基準では、147-94oHgとなっています。この範囲内に収まっていれば数値的には正常ということになります。(日本医師会などの基準値は140-90)ただし、正常の意味するところは、文字どおりの正常ではなく、現在点でその数値の人は健康である割合が高い、というくらいのことです。だから上が147を少々越えたからといって、医師の指示通り降圧剤を飲む必要は必ずしもありません。私は150や160くらいまでは食生活を変えたり、適度な運動をしたりと、生活習慣を改善したほうがよほどいいと思っています。血圧の基準について一般の方にぜひ目安にしてもらいたのが、90プラス年齢です。50歳なら140、60歳なら150、70歳なら160までは高血圧だとははっきり言えないということです。高齢になればなるほど、血管は硬くなり、血圧の調整に必要な自律神経の働きも鈍くなってくるから、血圧が上がるのが当たり前なんです。そして、高血圧のクスリ、降圧剤は高血圧を治すクスリではないということを知っておいてください」
 
   高血圧に処方される降圧剤は、血圧を抑えるものであって、高血圧を治すクスリではない、これは丹羽先生が常におっしゃっていることです。さらに、以下の話も、丹羽先生の見解と全く同じでした。
「どんあクスリにも副作用がある。ほとんどのクスリが病気の症状を緩和するもので、疾患どのものを完全に治すものではないということ。クスリの開発、生産は製薬会社が行っており、それは厳然たるビジネスであるということ。この3つのことを踏まえたうえで、クスリを飲む続けたほうがいいか、断ったほうがいいのか考えるべきです」
 
   本書では、生活習慣病だけでなく、がんの治療費から、部位別無用ながん手術の話も詳しく書かれています。やはり、丹羽先生の著書や、お話とも共通する内容が多く、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
 

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