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不要なクスリ 無用な手術
〜医療費の8割は無駄である

 
  
著者、富家先生は冒頭で言っています。
「大多数の人は、歳をとるとともになんらかの病気をして、医者の世話になります。そうして、おそらく死ぬまで高額な医療費を払い続けています。しかし、その8割は無駄なのです。あなたが払う医療費は、検診代だったり、クスリ代だったり、あるいは手術代だったりしますが、検診もクスリも手術も実は不必要なことが多いのです。医者の私から見ると、例えば高血圧で降圧剤を常用している人のほとんどが無駄な医療費を払っています。なぜなら、歳をとって血圧が高くなるのは当たり前で、よほど危険な数値でないかぎり、降圧剤は不必要だからです。同じようなことが糖尿病にもいえます」
   このように余計に処方されるクスリが積もりに積もって、日本薬剤師会が発表している残薬調査(処方されたクスリを飲み忘れた、飲まなかった、薬局で廃棄したなどの理由で余ったクスリ)によると、在宅の75歳以上の後期高齢者で年間475億円分ものクスリを無駄にしているとか。これは2007年度の調査ですから、現在は何倍、何十倍にもなっていることやら。しかもその8割は処方されることすら無駄なのですから、これでは健康保険料の負担が増え続けるのも当たり前といえます。
 
「さらにがんになればほぼ9割の人が手術を選択して、がんの切除手術を受け、高額な医療費を払っています。はたしてそれでがんが治ったといえるでしょうか。術後に抗がん剤治療を受けるケースが多いのですが、そのためにどれだけ死期を早めているのでしょうか。がんの場合、がんの種類にもよりますが、後期高齢者の場合は、私は手術も抗がん剤も勧めません。さらに終末医療にいたっては、その医療費のほとんどが無駄です。私たちは、無意味な医療に莫大な医療費をつぎ込んでいるのです」
   政府は2015年に40兆円を超えた医療費を抑えるため、近々、老人医療のシステムを大きく変えるといいます。40兆円といえば、世界の国家予算ランキングとしても10位以内に入る額です。それが医療費だけなのですから、いかに日本の医療費が高額になっているかがわかります。
   医療費削減、これが今後の日本の大きな課題になってきます。そして、高額医療のつけは、確実に私たちの税金や健康保険料、医療費にのしかかってくることは必定です。
 
「今年から紹介状を持たずに大病院を受診すれば初診料だけで5000円以上の自己負担になり、入院の食費も70%以上値上げされています。さらに70歳以上の医療費負担を引き上げるとか、介護利用料も1割から2割負担へと変更とか、市販品類似薬の負担増や保険外し(従来3割負担だったロキソニンなどの痛み止めが10割負担になる可能性)など、これから医療費の負担はどんどんあがっていきます」
   おちおち病院にもかかれません。富家先生のこの本は、これからは、何が無駄な医療費なのか、あなたの治療は医療費に見合ったものなのか、そもそもほんとうに効くのか、がんになったらどのくらいの医療費がかかるのか、手術すべきか、といった医療を経済の面からも徹底的に教えてくれています。
   「医者に嫌われる医者」と自称しているだけに、病院経営の内情や、医者の収入、大学病院と製薬会社の癒着、健康診断、検診の無駄、無用ながん手術、終末医療の相場といった内容が満載です。
   今回はなかでも一番身近な「糖尿病」と「高血圧」生活習慣病の無駄な医療費の話と、クスリの話をピックアップして紹介します。
 

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