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人工透析の患者さんは
病院にとって定期預金

 
「糖尿病の場合。その判定の基準となるのが、空腹時血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)です。2014年学会と健康保険連合会が発表した新基準値では、空腹時血糖値は男性で83〜114、女性で78〜106となりました。これは以前と比べると緩くなったので、糖尿病患者が一時的に減りました。それまで糖尿病とされていた患者が正常値判定になったからです。つまり、基準値次第で患者は作り出せるというわけです。基準値というのは、あくまでも、このくらいの数値なら問題ないという見当にすぎないと思ってください。基準値を多少越えたからすぐに治療が必要だということではないのです。ただ、この基準値だけでは境界線、いわゆる糖尿病予備軍を見落とす危険があります。糖尿病は将来的な合併症(眼、肝臓、神経に関わる病気)につながるので、早期治療が大切ともいわれています」
   つまり、数値にとらわれていると、例えば血糖値が基準値の144より少なければ、セーフという判定になり、本人は安心してしまいます。しかし、境界線にいるということは、予備軍に入っているかもしれないわけで、日ごろの食生活や運動に気をつけたほうがいいかもしれないのです。
 
「空腹時の血糖値を診るときのポイントは、110を超えたら注意、ということです。ただし、ここですぐにクスリを出すような医者はいい医者と言えません。この状態では予備軍ですから、食事と運動を組み合わせて血糖値が上がらないように心がければいいと思います。現在、糖尿病治療現場では、インスリン分泌促進剤が使われていますが、これには低血糖のリスクがあります。特にSU剤はそのリスクが高いとされています。つまり、予備軍の段階ではリスクのあるクスリに頼らず、食事の量を少なめにして、ウォーキングを心がけるようにすればいいのです。要するに、数値が基準値を大幅に逸脱していない時点では、クスリや病院通いは必要ないということです」
   HbA1cの数値は、人によってはこちらのほうを重視する向きもあるそうですが、いずれにしても、あくまで目安で、それ以上になったとしても必ずしも心配する必要はないといいます。それよりも生活習慣を変えたほうがいいと。数値を気にするなら歩け、ということでしょうか。
   ちなみに、糖尿病が進行し、悪化すると、様々な合併症を引き起こすといいます。先生は、
「糖尿病が慢性化した場合、最終的に怖いのが腎不全です。腎不全が慢性化すると、人工透析を受けなければなりません。人工透析は1日おきに病院に行って、4、5時間かかります。これは患者にとって金銭的にも精神的にも負担です。さらに医者の私から言わせていただくと、人工透析をしなくてもいいのにさせられている患者さんが増えているという現実です。日本は人工透析天国とまでいわれるほど、諸外国に比べ多い。なぜか。人工透析は診療報酬の点数が高く、病院にとってその患者さんは定期預金のようなものなのです。透析患者は透析をやめれば死に至るわけですから、病院にとって永遠のリピーターなのです。必要かどうかの基準があいまいで、医者のさじ加減で決められるから、やっかいです。もしも人工透析が必要と診断されたら、必ずセカンドオピニオンを受けることです」
 

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