厚生労働省は毎年春、前の年に起こった薬の副作用情報を発表する。出た。3月2日、朝日、読売、毎日、全部の第一面に、何十と言う薬が上がっていて、そのなかにメバロチンが入っていた。メバロチンは去年使われ始めた薬で、コレステロールを落とすのに非常に効く薬だと。ただ、厚生省の調査で分かっただけで34人、急性腎炎になってしまったから気をつけるようにと。私はそのとき、やっぱり効く薬は怖いなと。使い始めた最初の年だけで34人も副作用が出た。
メバロチンという名前は、今は使わない。2、3年前特許が切れた。効くものだから、違う名前でいっぱい出ている。20くらいの名前になっているから気をつけるように。
メバロチンでコレステロールを落とすのではなく、抗酸化剤で活性酸素を落とすことです。
17、8年前はコレステロールに薬は何も効かなかった。せいぜい漢方薬。だから副作用もなかった。しかし、メバロチンは初めて体に必要な肝臓の働きを叩いたんだ。返す刀で腎臓をやったんだ。
病気の考え方ですが、みなさんは医者にかかるとき、病気を治そうと思ってかかりますよね。でも、私たちに言わせると、90%以上の病気は(進行を抑えるくらいで)治らないんです。それが今の医学の限界なんです。
まず、がん。次、腎臓。
腎臓は薬がない。100人かかると10人は放っておいても大丈夫。薬は効かないから放って置け。これは生き延びることができる。あとの90人はなにをやってもダメ。なにをやってもじくじく悪くなって、昔は尿毒症になって死んだ。最近は人工透析で生き延びている。透析をやると15年くらい生きられる。ただ、透析を始めると1日おきに病院に行かなければならない。まともに会社や学校には行けない。ただ、50歳のおっちゃんが急性腎炎になって65歳で人工透析を始めると、だいたい80歳から85歳くらいまで生きる。それなら、普通にしていてもそれくらいの寿命なんだからこれはいい。しかし、二十歳のおにいちゃんが急性腎炎になったら40歳か50歳で死ななければならない。どうあがいてもその事実からはのがれられない。これが今の医学の限界。
それから肝臓。
この5、6年前からちょっと数字が変わってきた。アバウトにいいます。B型は100人かかると50人は自分の抗体を作って治してしまう。あとの50人はダメ。なにをやってもダメ。C型は100人かかると10人は腎臓といっしょ、放って置いてもいい。あとの90人はだめ。だからBの抗体をもつ50人とCの10人以外はダメ。なにをやってもダメなんです。早くて15年、遅くて25年で肝硬変になる。
そこへ出てきたのがインターフェロン。最初はあまり効かなかったけど、最近ちょっと改良された。昔のインターフェロンはうつ病になるし、糖尿病になるし、あまり効かないわりに副作用があっていやがられていた。ところがこの5、6年前から改良型が出てきて、今まで効かなかったものが効き始めた。
C型肝炎だった私のいとこで京大の教授に先日電話をしたら、えらく具合が悪そうにしている。どうしたんだと聞いたら、友人の医者が改良型のいいインターフェロンがでたから勧められて打ったと。そんなもの放っておけばいいのに、間もなく溶血性貧血になって死んだ。よく効く薬ができたと思っても、やっぱり化学薬品には副作用が出てくるんですよ。がん、腎臓、肝臓。これは治らない。
次に、命をとらない高血圧、糖尿病、リウマチ。血圧を治そう、糖尿病の数値を治そうと思って必至になって医者にかかっているでしょう。しかし、世界中どこへ行っても、高血圧、糖尿病なんか治らないんです。あれは上がった血圧や糖を薬で下げているだけ。みんな症状を抑えているだけ。
リウマチの薬も、痛み止めばっかり。痛みを抑えているだけ。治しているわけでもなんでもない。治す薬なんかないんだ。みんな症状を抑えているだけ。肝臓、腎臓、がんは、まかり間違えると治らないだけでなく、死んでしまう。
薬で治る病気を探したほうが早い。扁桃腺、気管支炎、肺炎。これは抗生物質がいいから治ります。それからかび、水虫、あと、ばい菌がついた病気、感染症は今は治る。
次に喘息。
アトピーの患者さんの5人か6人にひとりは喘息。気管支拡張剤を飲んでいいかとよく聞いてくる。私はあれはステロイドじゃないから飲むなとは言わないけれど、今のお医者さんの指導で間違っている人がいっぱいいる。喘息の発作だ出ないように朝晩予防的に飲みなさいという。これやった腎臓をやられますよ。
気管支拡張剤というのは交感神経という自律神経を刺激して気管支を拡張してくれるものです。ところが、交換神経を刺激すると、気管支を拡張するのと同時に心臓に行って心臓をトントンとやる。発作が出かかったときにたまに飲むのはいいけど、朝晩予防的に飲むのはいかん。心臓を毎日毎日刺激していると、必ず不整脈が出ます。
ガンを叩いたら正常な細胞を探す。気管支拡張剤をやれば心臓がやられる。正常なコレステロール値を下げたら腎臓をやられる。これが今の西洋医学の化学薬品の副作用なんです。いまの製薬会社が薬の開発で一番困っているのは、一つの臓器だけを先端的に叩く薬がないんだ。一つを叩いたら必ず全般的に叩く。これをトータルキリングという。
みなさん、有名な大学病院に行ったら、がんも膠原病もなんでも治るんだろうと思うのは、偉大なる錯覚なんだ。血圧、糖尿、リウマチも治る薬はない。抑えているだけなんだ。ステロイド、あれは抗がん剤なんですよ。ガンにも抗がん剤、命をとらないリウマチにも抗がん剤。治らないのになんでリウマチで抗がん剤を飲ませるんですか。
僕は西洋医学をやってきたから、決して化学薬品は絶対に使うなとは言わない。必要とあれば使う。肺炎で放っておいたら死ぬ患者さんには抗生物質がやはり効く。ただね、抗がん剤とステロイド、免疫抑制剤だけは気をつけないといけない。私が医者になって50年、なにも変わっていない。
私も化学薬品は使うよ。しかし、たとえにきびの薬を使っただけでも1ヶ月に1回は検査しながら、びくびくしながら慎重に使う。今の若い医者が、私はがんでも膠原病でもなんでもなおしてやると言いながらやみくもに抗がん剤をやる。
やるのはいいが、もうすこし医学の限界を考えて、薬の副作用の怖さを知って、もう少し謙虚な気持ちで副作用に注意しろというのが私の言いたいこと。
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