和田先生が定年退官間近のことでした。5年以上前にサジを投げ、とっくに亡くなっているはずだと思っていた患者さんがひょっこり現れたのです。どんなことをして生きているのか聞いたところ、食事を厳格に変えたと。その時、民間療法には怪しいものも少なくないとは思っていたけれど、その例を一蹴してはいけないと思ったそうです。
「多くの医師は、標準治療で6割しか治せていない(ステージ4以降は治せていない)にも関わらず、患者さんのこの手の話には耳を貸そうとすらしません。真面目に取り合えば周りからうさん臭く思われ、仮に民間療法の一部に標準治療を超える効果があると分かれば、自分たちがやってきた治療体系の否定や崩壊にもつながりかねない。だからみんな見なかった、聞かなかった≠アとにする」
この和田先生のお話は、丹羽先生がよく話されていることとぴったり符号します。丹羽先生の患者さんが、検査のために従来の病院に行くと、抗がん剤治療をしていないのにがんが大きくなっていない、または縮小している。といった効果が出て驚かれたという話。余命3か月と言われた末期がんの患者さんが丹羽療法で2年後に病院に検査に行ったら、亡霊に会ったかのよに驚かれ、まれに自然に延命できる人もいるんですよね、と訳の分からない言い訳をされたという話。それらの中で、真剣に丹羽療法のことを聞いてきた熱心な医師はほとんどいなかったといいます。今回の和田先生のお話しを読んで納得することしきりでした。
見なかった≠アとにできなかった和田先生は、食に関する長期生存を裏付ける科学的な根拠はないかと海外の研究論文を探り、野菜などで体内環境がアルカリ性に変化するとがんの活動が抑制されるという一定の科学的根拠が存在することが分かってきたそうです。肉乳製品は酸性phが高く、がんが最も好む酸性環境を作ってしまうというわけです。そこで先生は退官後、新しく開設したクリニックで食事の徹底した指導を始めました。開設から10年。先生が推奨する食事は『がんに負けないからだをつくる和田屋のごはん』(写真)などのレシピ集までできる人気になりました。
これもまた、がん患者さんに肉乳製品はダメ、野菜や魚、豆、キノコ類の食事を中心にするよう指導している丹羽療法と全く合致します。丹羽療法の場合は、これに先生が何十年にも渡って研究開発してきた独自の生薬を使った制癌剤処方があり、その力が寛解率(治ったわけではないが一時的に良くなった割合)の向上に大きく影響しています。
和田先生のクリニックは開設以来、主に食生活の改善によってがん患者さんたちの延命効果を上げているそうです。それぞれのがんの勢いを表す腫瘍マーカー、炎症の度合いを表す白血球中の好中球の割合、免疫力を見るリンパ球の割合、そして体内環境の酸性度を見る尿のph値などを調べ、そのうえで患者さんに合った治療メニュー、つまりがんの発生と暴走の根本原因である食生活の改善メニューを示すのです。
基本は患者さんたちがこれまで診てもらっていた病院で診てもらいながら和田先生のクリニックにも通うという方法。しかし従来の病院で、抗がん剤治療を否定している和田先生の話をすると、拒絶反応を示す医師が多いそうです。抗がん剤治療を受けないならうちではもう診ないとか、ひどいのになると和田クリニックにだけは行くなという医師もいるそうです。丹羽先生もまったく同様の妨害を受けてきました。さすがに最近は丹羽先生も心得たもので、患者さんには「従来の病院で手術だけしてもらって、検査だけしてもらっていらっしゃい。私のことは言わなくいいから。そのあと抗がん剤を勧められたら、後で考えますと言ってうちにいらっしゃい」と言うのだとか。
そんな和田先生の食事療法でどのくらいの患者さんが寛解しているのでしょうか。
「普通の大病院でステージ4に標準治療をした場合、たいてい延命を名目とした抗がん剤治療に苦しんだ末、治療開始から1、2年で亡くなるのが実情です。しかしうちの場合は、ステージ4ねも2、3割の人は5年以上普通の健康な人と変わらない生活を送っています」と正直に話してくれています。
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