「そして食、これもやっぱり大きなテーマですね。これからは食の機能効能ではないかと思っています。ビタミンAとかCとかE、栄養の話とはちょっと違います。これは食の機能効能を整理して、食によって未病を治していく、というような国民運動を目指していくことが、社会保険の切り札になるんじゃないのか、と思うんですね。
漢方というのは、生活の中の養生医学なんです。われわれは具合が悪くなると、すぐ薬局で薬を買ったり、病院に行ったりしますね。でも江戸時代はどうだったんですか?そんな病院はなかったでしょ。ドクターは漢方の先生だったでしょ。みんな生活の中で防衛していたんです。生活の中で医食同源が全部あったんですよ。それは日本にもともとあった医学だったんです。中国からやってきた漢方の元祖はずーっと根付いて伝統医学としてあったんですよ。
ところが明治になって、明治政府はかつての伝統医療に権利を与えなかった。医師国家資格というのは西洋医学にしか与えなかった。それが日本の近代化なんです。伝統を捨ててしまったんです。細々と漢方が生きながらえて残っているだけなんです。中国も韓国も、西洋医学があとからやってきた。でも対応が違い、伝統医学は残ったんです。ですから中国、韓国では医師の国家資格は西洋医学と漢方の2つあります。それを今どうやって融合させていこうかということを考えている、そういう時代なんです。一方、日本は漢方を捨ててしまった。結果、今、西洋医学の限界まで来ているんです。江戸時代、西洋医学になる前の時代にあったいろんな知恵を私たちは忘れていませんか?それは、おばあちゃんの知恵袋みたいなものです。旬の物をたべなさい。精をつけなさい、こういう言葉は、全部、そういった歴史からきたものでしょう。食の中から改善する、これができることが日本にとって一番いいことでしょう」
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