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 レポート 033


−リウマチの特効薬?その安全性は?−
愛飲者からの質問 G
 
   今回、愛飲者の方からリウマチに関する質問をいただきました。それは、先日、ローカルテレビで放映されていた「リウマチ最前線」という番組をご覧になった方からの質問でした。その方の話によると、そこに出演していた某有名医科大学の教授が、リウマチに画期的な製剤が開発され、リウマチにとてもよく効く、といっていたそうです。ただし、番組内では副作用の話などはなく、番組を見ていた愛飲者の方は、そんなにいい薬なら使いたいけど、丹羽先生はいつも、よく効く薬は危険だとおっしゃっているのでためらっているとか。そこでこの画期的な薬のことを先生に聞いてほしいとの依頼があり、新横浜の診療所にいらした先生にインタビューしてきました。
 
   まずは丹羽先生のインタビューの前にリウマチについておさらいをしておきたいと思います。リウマチといのは体のあちこちの関節に炎症が起こり、関節が腫れて痛くなる病気です。進行すると関節が変形したり、うまく機能しなくなります。現在、30歳以上の人口の1%、つまり30歳以上で100人にひとりはリウマチに悩まされていることになります。発症するのが30歳から50歳代で、男性よりも女性のほうが3倍くらい多く発症するのが特徴です。
   原因は不明と言われていますが、免疫機能に異常をきたして発症する事がわかっています。遺伝子のなんらかの異常、感染したウイルスなどの影響、この両方の組み合わせによって起こると考えられています。この免疫系が異常に活動する結果として、関節の毛細血管が増加し、血管内から関節滑膜組織にリンパ球、マクロファージなどの白血球が出てきます。このリンパ球やマクロファージが作るサイトカインと呼ばれる物質の作用により、関節内に炎症反応を引き起こします。そして関節の内面を覆っている滑膜細胞の増殖が起こり、痛みや晴れが出て、関節液が増加し、軟骨、骨の破壊が進んでいきます。
   症状は、手、足のさまざまな関節の痛みと腫れが数週間から数ヶ月の間に徐々におこり、腫れると熱を帯びることもあります。関節痛は良くなったり悪くなったり繰り返しながら慢性の経過をたどります。症状は天候に左右されることが多く、暖かく晴れた天気が続くときは軽く、天気が崩れだす前や雨の日、寒い日には痛みが強くなります。病気が進行すると、関節の骨や軟骨が破壊されて関節の変形が起こり、関節を動かすことができる範囲が狭くなります。手指が小指側に曲がる尺側偏位、足の親指が外側に曲がる外反母趾、膝などが十分に伸ばせなくなる屈曲拘縮などが見られます。全身症状としては、疲れやすくなり、脱力感を感じます。体重も減少し、食欲も低下します。
   さて、かんじんの治療方法ですが、関節リウマチの原因が不明とされているので、原因をとりのぞくという根治治療の方法は今のところ見つかっていないのが実情です。ということは、西洋医学の一般的なリウマチの治療は、関節の痛みを抑える、炎症を抑えるという対処療法しかありません。その場合に使用されるのがステロイドなどに代表される消炎鎮痛剤です。ただ、当然のごとくこれは様々な副作用を伴います。免疫力の低下による感染症(かぜ、肺炎、インフルエンザなど)、血糖が上昇することによる糖尿病、高血圧症による動脈硬化、骨粗鬆症などが、健康な人よりも早く進行してしまいます。医学専門書によると、この骨粗鬆症にはビスホスホネート製剤を使用することで改善できると明記されていますが、今回、『愛用者の声 ピックアップ028』を読んでいただくと分かりますが、この製剤自体も副作用があることが歯科医師の先生によって明らかにされています。丹羽先生も、その歯科医師の方もおっしゃるのは、ひとつの薬を処方すれば、その副作用を抑える薬が2種類処方され、その2種類の薬の副作用を押さえる薬が4種類処方される、というのが現状なのです。
 
   副作用はステロイドどころじゃない。
   世紀末的な薬だ!
  
   先のご質問に戻りますと、その方のおっしゃる画期的なリウマチの新薬≠ヘ確かに08年の4月に承認され、治療に使われ始めています。その安全性について、丹羽先生に伺っていました。
 
―――先生、リウマチの画期的な新薬が出たと言う話ですが、それはどのようなものでしょうか?
「ああ、出た出た!エンブレンとレミケード、ヒュミラの3つ。これらは恐ろしい薬ですよ。なかでもエンブレンは自宅で皮下注射できるから医者は手間が省けるからどんどん使う。しかし、ものすごく恐い薬です。そもそもリウマチ治療に特効薬なんかないんです。ところが患者さんはたいていお年寄りだから、これは治らないというと、理屈では理解できないからヤブ医者だと思ってしまうんですよ。そう思われると困るからステロイドを使っていたけれど、それも最近はみんなステロイドということばに拒絶反応し始めた。それに代わって出てきたのがリウマトマックス、メトレートなどの免疫抑制剤だ。免疫を抑制するんだから、体が無防備になるのと同じ。妊婦さんに1週間続けてこれを飲ませたらほとんどが流産してしまう。それくらいの薬なんです」
 
―――そして出たのが画期的な新薬と言われている、エンブレンたちですね?
「そう。これらは、サイトカインといって、免疫系の調節、炎症反応の調節、抗腫瘍作用、細胞増殖、分化、抑制といった生体の恒常性維持に重要な役割を果たす物質で、とにかくなんでも抑える人間の結成因子があるんだ。新薬はそこを叩くんだ。ばい菌がきたらそれに向かっていってくれる、熱や痛み、腫れにも向かっていってくれる。いろんなものをコントロールしてくれる因子なんだ。しかし、新薬はそこを叩くから、確かに痛みや腫れは引くけれど、代わりにばい菌に対する抵抗力も叩く。今、この薬で100人に3人、肺炎になる。他にも免疫系の病気になる可能性は高い」
 
―――今年の秋口から新型インフルエンザが猛威をふるう可能性があるといいますが、それにも感染する率が高くなるということですよね?
「もちろん。危ないぞ。いつも言っているがリウマチというのは命を取らない病気なんだ。がん、SLEや命を取る膠原病ならば危険な治療も仕方ない。しかし、リウマチは命を取らないのに、他の危険な病気になるリスクを高める薬を飲んではいけないんだ。本末転倒なんだ。効く薬であればあるほど、必ず他の部分を攻撃しているということを認識してほしい。そのうえ、この薬たちはえらく高額でしょ。(レミケードは1回あたり薬22万円。3割の保険適用で7万円。エンブレルは1回の注射で約1万5千円。1ヶ月あたり8回として12万円。3割の保険適用で3万6千円。ヒュミラは1回の注射が約7万円で毎月14万円。3割の保険適用で4万2千円)医者もよくこんなのを使うものだ。私は大嫌いなんだ。とにかく、ステロイドどころじゃない。世紀末的な薬だ」
 
   世紀末的な薬とまでおっしゃった丹羽先生。やはり、効くイコール劇薬ということでした。確かに、資料等で調べてみたところ、これらの新薬は感染症とアレルギーとう副作用があると明記されていました。ただ、これまでの抗リウマチ薬のような臓器障害(血球減少、肝障害、腎障害)はほとんどなく、その点では安全といえます≠ニいう説明もどうかと。ということはこれまでの薬にはそういった障害が多く、その点だけは少ないというとで、それ以外はどうなのかと思ってしまいます。
   いずれにしてもクスリがあるということは確実で、そのことは念頭に置いておかなければいけないでしょう。

 


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