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NO.148

 

低栄養(PEM)にならないてめに

'12. 6月号

 

 

 
ここ数年、PEM(=ペム)という言葉をよく耳にします。
PEMとはProtein Energy Malnutritonの略で、
その人にとって必要なタンパク質やエネルギーが摂取できていない「低栄養状態」のことを言います。
今の日本は飽食の時代なのに、なぜ低栄養になるのでしょうか。
もともと、「栄養不足」という症状があるのをご存じでしょうか。
栄養不良とは、私たちが生命を維持するために体内で必要な栄養素の量と、
食事から摂取する栄養素の量のアンバランスから起こる症状のことで、「栄養過多」と「栄養不足」の2つがあります。
これらはどちらも食生活の乱れや偏食などによって起こるものです。
「栄養過多」はもう長い間問題となっていることで、
過食などにより肥満を引き起こし、
メタボリックシンドロームや糖尿病、脳卒中、心疾患などの病気の原因となるものです。
一方「栄養不足」は高齢者や疾患などから起こるものと思われがちであまり重要視されていませんが、
栄養過多と同様、疾患の有無に関わらず、
また年齢や性別なども関係なく誰でも起こりうる症状として近年は注意が必要です。
栄養不足の状態を「低栄養」と言い、低栄養を引き起こす原因は多数あります。
 

 
低栄養になる原因

●食生活の偏り
●食事の摂取量の減少
●咀嚼力(噛む力)、嚥下力(飲み込む力)の低下
●唾液分泌の低下
●消化吸収力の低下
●味覚の低下
●嗜好の変化
●口内の問題(義歯の不具合など)
 
低栄養は、自分では気づかないうちにその状態に陥ることが多いといわれています。
人間の体は、必要な栄養素が食事から十分に摂取されていない場合、
もともと体内に貯蔵してある栄養素(糖質、脂質、タンパク質の順番)を
利用し生命活動のために代謝することができます。
しかし、この時点では自分では気がつきにくく、
結果体内に貯蔵された栄養素が足りなくなったときに体に様々な症状が出てしまうといことが少なくありません。
それから、低栄養の状態になるのは食が細く痩せている人がなるという思い込みもあるようです。
しかし、肥満の方や、また健康志向の強い方にも低栄養になる人もいます。
食事の量が多く、摂取エネルギーが過剰になることで栄養バランスが乱れ、
必要な栄養素の消化吸収または代謝が悪くなり、結果低栄養になる場合もあれば、
脂質やコレステロールを気にしてタンパク質が不足し低栄養に陥る場合もあります。
 

 
低栄養になると・・・
●疲れやすくなる、倦怠感
●栄養素の代謝低下
●運動機能の低下
●集中力散漫
●皮膚の異常
●筋肉量や骨の減少
●皮膚の異常
●免疫力の低下
●体力低下からくる疾病の悪化
●貧血になりやすい
●傷の治りがおそくなる
●むくみが出る
 
特に高齢者の方は注意が必要です。
PEMにより日常生活の様々な動作が低下し、寝たきりの状態を招くこともあるからです。
 

 
低栄養にならないために
★一日に3食、食べる
食事を抜くと1日に必要なエネルギーやタンパク質が不足します。
食欲のないときでも食べられるものを少しでも食べましょう。
3食をできるだけ決まった時間に食べることで睡眠と覚醒のリズムができ、
体も心も1日のバランスが整い食欲を増進させることができます。
 
★食事のバランスを考える
肉・・・・・・・・・・・タンパク質。筋肉や血液の主成分。1日に70g(薄切り肉3枚)は食べるようにしましょう。
魚介・・・・・・・・・血圧を下げる働き。1日に80g(一切れ)は食べるようにしましょう。
油脂・・・・・・・・・効率のよいエネルギー源。1日に1回は必ず利用しましょう。
卵・・・・・・・・・・・良質なタンパク質。1日1個を目安にしましょう。
海藻・・・・・・・・・ミネラルが豊富で胃腸を整える繊維質も豊富。1日1種類は食べるようにしましょう。
牛乳・乳製品・・・タンパク質、カルシウムが豊富。骨を丈夫にする。
                       精神が安定する。牛乳なら1日に200t(コップ約1杯)は飲みましょう。
大豆・大豆製品・抗酸化物質が豊富。豆腐なら1日100g(1/3丁)は食べるようにしましょう。
緑黄色野菜・・・・ビタミン、ミネラルが豊富。たくさん食べましょう。
 
★食を楽しむ
人間にとって「食」とは栄養を摂取し生命活動を維持していくことはもちろんですが、それ以上に楽しみがあります。
好物の食品や旬の食材を食べる楽しみや、会話をしながら食べる楽しみ、また料理を作る楽しみがあります。
楽しくおいしく食事をすることで、栄養バランスを整えていきましょう。

 

  

栄養士    高橋 広海             

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