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NO.145

 

免疫力アップで花粉を抑える

'12. 3月号

 

 

 
現代の日本人にとって、花粉症はとても大きな疾患の1つと言えます。
花粉症はアレルギー疾患であり、体の免疫系が花粉に対して過剰反応することで起こり、
花粉症の4大疾状と呼ばれるくしゃみ、鼻水、涙目、鼻づまりを引き起こします。
人間の体はよくできていて、本来これらの症状は花粉から体を守るための防衛作用です。
 
くしゃみ⇒鼻の粘膜に付着した花粉を風の力で飛ばす働き
鼻    水⇒鼻から入ってきた花粉を洗い流す働き
涙    目⇒目に付着した花粉を洗い流す働き
鼻づまり⇒鼻の中の血管を広げ鼻の穴を狭くすることによって花粉を侵入させない働き

 
 
なぜ花粉症が増えたのか

昔は花粉症は稀な病気と言われていたようです。
しかし昭和36年にブタクサ、昭和39年にスギの花粉による症状が報告され、
その後年々増加し、今では国民の16%は花粉症疾患者であると言われています。
ここまで花粉症がなぜ増えたのかということに関しましては、
外的な原因として、国の植林計画でスギを大量に植えたことによって
スギ花粉の飛ぶ比率が以前と比べ格段に多くなったことが挙げられます。
しかしこれだけで花粉症の患者が増えるというわけではありません。
私たち人間が、昔よりタンパク質や脂質が多く高エネルギーである食生活になり、
様々な環境で生活しその影響を受けた、つまり体内的な原因が大きいと考えられています。
 

 
体内的な原因として
○免疫力の低下
人間の体は元々外からの異物に対しては攻撃、撃退をする免疫力という力が備わっています。
体が健康な状態であれば、免疫力は活性化され、花粉や菌などが体内に侵入しても撃退することができます。
しかし食生活の乱れや睡眠不足、過労、ストレスなどによって、免疫反応が過敏になり炎症を起こしやすくなります。
 
○活性酸素の増加
活性酸素は、本来は免疫力と同じように外からの異物に対して攻撃、撃退をし、体を健康に保つ働きがあるものです。
しかし現代では活性酸素は過剰に発生し、
活性酸素が体の正常な細胞を攻撃することによってアレルギー症状を引き起こし、
花粉症を発症させてしまうと言われています。
活性酸素は高タンパク高脂質の食生活によって過剰増加してしまいます。
しかし過剰増加した活性酸素を抑える抗酸化物質の含まれた食品を毎日食事から
規則正しく摂取することは大変な場合もあるので、食生活の見直しをしていくことが大切です。
 
○腸内環境の変化
食生活や生活環境、加齢などによって腸内の環境が大きく変化しており、
花粉症と腸内環境にはとても深い関係があります。
腸内には「善玉菌」と「悪玉菌」と呼ばれる、大きく分けると2種類の菌が存在します。
善玉菌は外から入ってくる有害な物質を破壊し免疫力を高めるに対して、悪玉菌は腸内の細胞を破壊し、
発ガン物質などの有害な物質を作り出して、体の抵抗力や免疫力を弱めてしまいます。
これによって花粉症の症状が引き起こされていきます。
  

 
花粉症のための栄養素
ビタミン A・・・花粉の侵入口である鼻や口の粘膜を強化します
ビタミン C・・・免疫力を強化します
ビタミン E・・・過剰な活性酸素を抑える働きをします
食物繊維・・・腸内環境を整えます
 

 
花粉症セルフケア
○マスクをする
花粉の侵入を防ぐとともに、鼻や喉の粘膜の乾燥を防ぎ、湿気で粘膜を保護します。 
 
○バランスのよい食生活をする
免疫力を高め、症状をなるべく抑えるためには抗酸化作用のあるビタミン、ミネラルの含まれた食品を
積極的に摂取することと、粘膜や皮膚を強くするビタミンを摂取することが大切です。
さらに牛乳、乳製品などで腸内の善玉菌を増やしましょう。タンパク質は免疫力を高める栄養素ですが、
過剰摂取してしまうと過剰免疫機能が働き、花粉症の症状をひどくしてしまうことがあるので、適量を摂りましょう。
 
○刺激物を避ける
タバコ、過度のアルコールは控えましょう。粘膜を刺激し、傷つきやすくなります。
同様に唐辛子などの香辛料の過度の摂り過ぎも控えましょう。
 
○温かいものを飲み、冷たいものを控える
温かいお茶を大きめのお茶碗やお椀に入れ、湯気で粘膜を潤す感じで飲みましょう。
冷たい飲み物は内臓を冷やすことで免疫力を低下させてしまいます。

 

  

栄養士    高橋 広海             

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