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NO.141

 

女性に必要な栄養素

'11.10月号

 

 

 
女性に足りない栄養素の代表が鉄分とカルシウムです。
男性も鉄とカルシウム不足の方が多いのですが、女性は摂取量と所要量の開きが大きいのです。

 
 
なぜ不足しれいるのか?

女性には月経による出血がありますが、鉄分を多く含んだ血液が外に出てしまうために、鉄分が不足していきます。
初潮から月経まで、鉄分不足の状態が30〜50年も続く場合もあります。
また女性は男性に比べて骨密度が少なく、
さらに妊娠や出産、授乳によって胎児や乳児にカルシウムを与えるため、
骨に溜めてあったカルシウムを使うからです。
また更年期になると女性ホルモン(女性ホルモンのエストロゲンには骨のカルシウム量を調節する働きや
コラーゲンを作り出す細胞を活性化させる働きがある)が減少することによって
カルシウム不足が招く骨粗鬆症になりやすい傾向があります。
骨粗鬆症による骨折は寝たきりの原因になるともいわれているので注意が必要です。

 
 
鉄分不足
女性が鉄分を不足すると貧血を起こしてしまい、頭が重い、顔色が悪い、
疲れやすいといった症状がでてきてしまいます。
 
鉄分の働き
血液の中で赤血球のヘモグロビンの成分となり酸素を運搬します。
不足すると酸欠状態になり貧血の症状が出てきます。
 
鉄分の種類
ヘム鉄…吸収率がよく血液や筋肉になりやすい鉄分。レバーや赤身の肉、魚に含まれている。
非ヘム鉄…体への吸収率が悪い鉄分。ほうれん草や小松菜などの野菜に含まれている。
                 動物性タンパク質と組み合わせることによって吸収率が上がる。
 
吸収について
鉄分はもともと吸収率があまりよくないミネラルです。
動物性タンパク質やビタミンCを一緒に摂ると吸収率がアップします。
一方でコーヒーや赤ワインに含まれるタンニンやインスタント食品や加工食品に含まれている
リン酸塩は鉄分の吸収を阻害してしまいます。

 
 
カルシウム不足
カルシウムは丈夫な骨や歯の材料となるものです。不足すると骨や歯が弱くなり、骨粗鬆症になります。
最近では若い女性も骨量が少なくなっているという傾向もあるようです。
また、カルシウム不足によって肩こりや腰痛、神経過敏、イライラなどの症状も出てきます。
カルシウムを多く含む食品…乳製品、煮干し、干しエビ、小松菜、ほうれん草、ひじきなど
 
吸収について
カルシウムは腸管での吸収率が低く、牛乳や乳製品で約50%、小魚で約30%、野菜は20%未満です。
この中で最も吸収率の高い牛乳や乳製品から摂取することが効率的ですので、
一日に一回はこれを摂る習慣をつけたいものです。カルシウムはビタミンDと一緒に摂ると吸収率がアップします。
一方でリン、食物繊維、飽和脂肪酸()を過度に摂取するとカルシウムの吸収率を阻害してしまいます。
 
※飽和脂肪酸
   脂肪の構成成分。体内で固まりやすく血液の粘土を高める。中性脂肪やLDLコレステロールの合成を高める。

 
 
女性の年代別から見る食生活で気をつけたいこと
8〜18歳(思春期)
脳からの女性ホルモンが分泌されるようになり、初経が始まる、胸がふくらむなど体つきが女性らしくなる時期です。
また精神状態の起状が激しいのもこの時期です。
安定した食習慣をし、偏食や欠食を避けバランスのよい食生活をすることが大切です。
過度なダイエットは避けましょう。すべての栄養素を積極的に摂取しましょう。
 
18〜30代前半(成人期)
女性ホルモンの分泌も盛んになり心身ともに安定する時期です。
しかし仕事や家事、育児などによる過労や睡眠不足、ストレスを感じる時期でもあります。
鉄やカルシウム不足もこの年代から多くみられます。しっかり摂取しましょう。
まだ肌トラブルなども多くみられる時期ですので抗酸化食品を積極的に摂りましょう。
 
30代後半〜40代半ば(プレ更年期)
40代半ば〜50代半ば(更年期)

女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少し影響が出始め、
心身ともにアンバランスな状態になりやすい時期です。
エストロゲンの減少により骨密度は減るのでカルシウムを積極的に摂りましょう。
また生活習慣病にもかかりやすい時期でもあるので、抗酸化食品や食物繊維などをしっかりと摂取しましょう。
 
50代後半〜70代前半(ポスト更年期)
更年期による症状は治まるが、コレステロール値を下げる女性ホルモンの分泌がほとんどなくなるので、
生活習慣病(動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞など)にかかりやすい時期です。
生活習慣病は活性酸素(体内の酸素が変化したもの)によるものと言われているので、
抗酸化作用のある食品を積極的に摂取しましょう。老化は見た目だけではなく皮膚、血管、内臓にも表れてきます。
 
70代半ば以降(高齢期)
個人差はありますが、噛む力や筋力が落ちてきて、
体をあまり動かさなくなり食欲が湧かないなどで栄養が偏りやすい時期でもあります。
出来る範囲で体を動かしたり、咀嚼をして、栄養不足がないように美味しく食事をすることが大切です。
 

 

  

栄養士    高橋 広海             

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