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NO.137

 

上手にホームフリージング!

'11. 6月号

 

 
 

私たちは食品を選ぶとき、衛生や安全性を考え、また栄養価や味の良さを考えて鮮度の高い食品を選びます。
そして家庭で食品を保存しておくわけですが、食品の保存というのは

●食物の形状や成分などの変化をできるだけ抑えること
●できるだけ鮮度を保つこと
●菌を付着、増殖させないこと、また一定期間腐敗しないようにすること
これらがとても大切になります。
 
食品には常温保存、冷凍保存がありますが、食品を冷凍することによって食品を新鮮なまま保存でき、
細菌の増殖を抑え長く貯蔵することができるで、冷凍保存つまりホームフリージングを上手に利用していきましょう。

 
 
【ホームフリージングとは?】
食品の保存を目的に家庭の冷蔵庫で食品を冷凍することです。食品を新鮮なまま保存できます。
しかし、食品の冷凍には本来マイナス40℃以上で急速冷凍することが必要ですが、
実は家庭の冷凍庫はほとんどがマイナス18℃前後です。
この温度では暖慢冷凍になるため、食品の組織が壊れ解凍したときにもとの食品には戻りにくいのです。
ですからホームフリージングをするときにはできるだけ急速冷凍に近付けた方法で行うことがとても重要です。
 
■急速冷凍と暖慢冷凍
急速冷凍・・・急速に冷凍させるほど氷の結晶は細かくなり、食品の組織が壊れにくい。
暖慢冷凍・・・凍結に時間がかかると氷の結晶が大きくなり、食品の組織を破壊する。

 
 
【ホームフリージングの基本】
■「早く」「一気に」の急速冷凍!
食品の鮮度や味を保つには「急速冷凍」が基本中の基本です。
食品の水分はマイナス1℃〜マイナス5℃でほとんどが凍ってしまいます。
その温度帯を30分以内で通過すると食品の細胞が傷まず食感や風味も閉じ込められます。
 
■冷凍庫に空間をつくって冷凍する
冷気が一気にあたるように、できるだけ冷凍庫の中には空いているスペースをつくっておくことが必要です。
 
■できるだけ早く凍らせる
「あらかじめよく冷やしておく」「食品の厚さを薄くしておく」「食品を平らに並べる」
「小分けする」「冷凍中は冷凍庫のドアを開けないようにする」をすることによって食品を速く凍らせることができます。
 
■早めに使い切る
市販されている冷凍食品とは違い、ホームフリージングで暖慢冷凍になっているものは
温度の変化を受けやすく品質低下も早く進みます。
ですからできるだけ短期間で使いきるようにすることが大切です。
冷凍した日付を記入しておいて、先に冷凍したものから使うようにしましょう。

 
 
【ホームフリージングの向き不向き】
●ホームフリージングに向くもの

乾燥品、加熱調理したもの。
塩や調味液につけて食品の水分を比較的少なくしたもの。
スープ、ソース類。
すりおろしたり裏ごしした野菜。
パン、ご飯、餅、納豆など。
 
●ホームフリージングに向かないもの
生卵、ゆで卵。牛乳。
豆腐、こんにゃく。
生クリーム。プリン、ゼリーなど。
 
※生の肉や魚介類など水分が多く細胞組織がしっかりしているものも本
来ホームフリージングには不向きといわれています。
(特にお店ですでに解凍して売られているものを家庭で再凍結すると栄養も味も極端に落ちます)
しかし、生の肉や魚のホームフリージング方法もあります。

 
[肉類]
下味をつけたり調理をしてから冷凍させた方が長持ちします。
使う分ずつ小分けにしてラップに包み、金属トイレに乗せて冷凍すると速く冷凍されます。
 
薄切り肉
一枚ずつ広げて肉がくっつかないようにしてラップに包み一回分ずつを保存袋に入れて平らに並べる。
挽き肉
小分けにしてラップの上で薄くシート状に伸ばして包み、一回分ずつを保存袋に入れる。
鶏肉
使う大きさに切り小分けしてラップに包んで保存袋に入れる。※酒蒸しにして冷凍するのがよい。
ハム・ベーコン
一回分ずつをラップに包み、保存袋に入れる。
ウインナー

そのまま保存袋に入れる。
 
[魚介類]
魚介類を冷凍する場合、遠洋の魚だとすでに冷凍されているものなので確認しましょう。
鮮度のよい生食品の近海魚なら、はらわたを出しておけば冷凍できます。
 
一尾丸ごと
えらと内臓をきれいに取り、よく水気を拭いたあとラップにしっかりと包み、保存袋に入れる。
切り身
水気をよく拭きとってからラップに包み保存袋に入れる。
イカ
調理に切ってから保存袋に入れる
アサリ
砂だしをしてよく洗い保存袋に入れる。
 
[野菜]
野菜を冷凍すると組織が変化してしまい、
柔らかくなりすぎたり筋っぽくなったりするので基本は常温か冷蔵保存ですが、冷凍できるものもあります。
 
青菜
さっとゆがいてから冷水にとり、アクを抜いて水気を切ったあと適当な大きさに切ってラップに包み、保存袋に入れる。
トマト

丸ごと保存袋に入れて冷凍するか、細かく切ってから保存袋に入れる。
パセリ
茎と葉を別々に分けて冷凍。※葉を凍ったままもめばみじん切りのようになる。
ピーマン
細切りにして小分けにしてラップをして保存袋に入れる。
とうもろこし

丸ごと茹でて、熱を冷ましてからラップに包む。また茹でたあと粒をはずして保存袋に入れる。
しいたけ
ラップに包み軸側を上に向けて金属トレイに重ならないように乗せて冷凍。※半解凍で調理するか、炒めるのがよい。
 
[その他]
ご飯やパンなど主成分がでんぷんであるものは冷蔵より冷凍保存に向いてます。
おいしいときに冷凍をしておきましょう。
 
ご飯
一食分ずつラップに薄く広げて包み、よく冷ましてから冷凍する。
パン
一食分ずつラップに包み冷凍する。※食べるときは冷凍のままオーブントースターで焼きましょう。

一切れずつラップに包み、金属トレイに乗せて冷凍させる※完全に凍ったままはさみで切ってお味噌汁などに。
ソース類
密閉容器に大きめのラップをしき、その上にソースを流して入れて冷ましてから冷凍する。
 

 

  

栄養士    高橋 広海             

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