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NO.134

 

肝臓の働きと栄養

'11. 3月号

 

 
 

肝臓は人体の中で最も大きく、最も重く、最も高温の臓器です。
肝臓がなぜこのように大きいかというと、肝臓には人体にとってとても重要な働きがあるからです。
まず私たちが食べたものものは、胃や腸で吸収されやすい形に分解され肝臓に送られます。
肝臓はそれをさまざまな形にし、アミノ酸やブドウ糖に血管から、脂肪酸はリンパ管を通って全身に運ばれます。
必要なブドウ糖以外はグリコーゲンという形で肝臓に貯蔵し、
ブドウ糖が不足していると感じればそれを血液中に送り出して、血糖を安定させるようにしています。
そして、利用されて必要のなくなった老廃物は、静脈を通り再び肝臓へ戻ってきて、胆汁へ排泄されます。

 
 
肝臓の働き
 
[栄養素の合成と処理]
糖質、タンパク質、脂質などの合成と分解を行います。
血糖のコントロールやタンパク質、脂質の合成と分解を行い、栄養素の代謝がスムーズに行われるようにします。
 
[栄養素の貯蔵]
グリコーゲンを貯蔵し、血糖が低下したときにこれをブドウ糖に分解し、血糖を補給します。
 
[解毒作用]
アンモニアを尿素に変換する、アルコールを分解する、
食品添加物や薬物、悪玉菌によって作り出されるウイルスなど、体内の異物を肝臓で分解します。
 
[血液成分の生成]
免疫グロブリン、コレステロール、リン脂質、血液凝固因子など、血液に存在する多くの成分を合成します。
衰えた赤血球の処理もします。
 
[胆汁の生成]
脂肪の消化に必要な胆汁の生成をします。
胆汁は一日に約1リットル生成され、これによって肝臓に老廃物が溜まることなく正常に働きます。

  
肝機能が低下すると・・・
 
栄養素の供給が滞ることや、毒素や老廃物が体内に溜まる、などが起こり、
倦怠感や疲労感が出たり、悪化すると脂肪肝や肝炎になり最終的には肝臓ガンへ進行することもあり得ます。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれています。これは、肝臓がこれほどの働きがあり再生能力も高いことから、
少々機能が低下しても自覚症状が出にくいからです。
そのため健康診断で初めて肝臓の不調に気がつくということも少なくないのです。

 
 
肝臓のための栄養素
 
●食べ過ぎないこと
食べ過ぎにより過剰な栄養素を摂取してしまうと、その処理により肝臓に負担がかかり疲労してしまいます。
 
●高タンパク、高脂肪は避ける
高タンパク高脂質な食べ物を消化するということは他の栄養素を処理するよりも負担が大きいとされます。
また、過酸化脂質は肝臓にとって有害になってしまいます。
 
●食物繊維をしっかり摂取する
野菜や海草、きのこ類に多く含まれる食物繊維は、腸内細菌の状態をよくし、腸内からのアンモナイトの吸収を抑える働きがあります。
 
●大豆製品を積極的に摂取しよう
大豆製品はアミノ酸のバランスがよく消化吸収がよく、低エネルギーです。
また、過酸化脂質を抑え肝臓を再生させる働きがあります。
 
●食品添加物や農薬などの有害物質はなるべく摂取しないようにする
 
●ビタミンやミネラルは十分に摂取する
肝臓での各種代謝を円滑にするためにビタミン、ミネラルの不足が起こらないようにしたいものです。そのためには緑黄色野菜や果物、牛乳や乳製品などをしっかり摂りましょう。
 
●お酒の飲みすぎには注意する
酒の成分エチルアルコールは肝臓に運ばれ、酵素によって「アセトアルデヒド」と水素に分解されます。
さらにアセトアルデヒドは酢酸と水素に分解されて、最終的には炭酸ガスと水になり体外に排泄されます。
大量のアルコール摂取はアセトアルデヒドが血液中に増えることで悪酔いの状態になります。
また、脂肪肝はアルコールや、お酒を飲むときにつまむ高カロリーな食べ物が原因で起こりやすくなります。

 
 

  

栄養士    高橋 広海             

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