ホーム > あしたも元気 > 細菌やウイルスを侵入させないために

 
 

NO.132

 

細菌やウイルスを侵入させないために

'10.12月号

 

 
 

風邪やインフルエンザなどが猛威を振るう季節になりました。
細菌の感染が原因ですが、栄養管理からくる抵抗力や免疫力の低下によって感染してしまうことも少なくありません。
同じ状況下において、細菌やウイルスに感染してしまう人と、そうでない人にわかれるのは、
つまり「免疫機能」の強弱であると考えられています。
人の体は約60兆個の細胞から成り立っていますが、この細胞以外の異物、
つまり細菌やウイルスが侵入してきたらすぐさまこれを排除しようとする働きが備わっています。
これが「免疫機能」です。
しかしこれが栄養素の不足により免疫機能の効力が弱まっていたら、
細菌やウイルスにまけてしまうことになります。さまざまな細菌やウイルスから身を守るためには、
体がこれらと戦うのに十分な栄養素を日々蓄えておかなくてはなりません。
免疫物質となる栄養素はまず「タンパク質」です。タンパク質は体の抵抗力を高める免疫抗体の主成分です。
さらにタンパク質の生成、働きに欠かせないのが各種のビタミンです。
また、さまざまな抗酸化物質も細菌やウイルスを予防する働きがあります。
風邪やインフルエンザは単一の症状ではありません。
頭痛、発熱、咳、咽頭炎、鼻水、鼻詰まりなど・・・いろいろな症状を伴います。
感染させない体つくりをして、免疫力、抵抗力をアップさせていきたいものです。

 
 
免疫力アップの栄養素
 
【タンパク質】
[働き]
・免疫物質を作る原料となる
・筋肉や血液の材料となる
・酵素などの生命維持に欠かせない多くの成分になる
 
[多く含まれている食品]
・肉類(レバーなど)、うなぎ、マグロ赤身、かつお、卵
・大豆をよび大豆製品、牛乳および乳製品
 
[必要量]
人の体は、毎日タンパク質を作りなおしています。
必須アミノ酸は体の中で生成されず食べ物からしか摂取できません。
毎日タンパク質をきちんと補給しないと、不足がちになってしまいます。

 
【ビタミンA】
[働き]
・喉や鼻の粘膜を正常に保ち免疫力を活性化させ、細菌やウイルスの侵入を防ぐ
・肌の健康を維持する
・視覚の暗順応に関わる
 
[多く含まれるている食品]
ビタミンAは動物性食品に含まれるレチノールと、植物性食品に含まれるカロテンがあります。
レチノールとして・・・レバー、うなぎ、卵、牛乳、バター、チーズなど
カロテンとして・・・小松菜、ほうれん草、ブロッコリー、人参などの緑黄色野菜
日本人はビタミンAの約60%は緑黄色野菜から摂取しているといわれています。しっかり野菜を食べましょう。
 
[必要量]
不足すると皮膚や粘膜の乾燥や角質により、細菌やウイルスによる抵抗力が弱まり感染症にかかりやすくなります。
過剰摂取は、普通の食事からではありませんが、
サプリメントからビタミンAを摂取するときは、過剰摂取にならないようにしましょう。
成人男性・・・推奨量700〜750μgRE/日
                  上限量3000μgRE/日
成人女性・・・推奨量600μgRE/日
                  上限量3000μgRE/日
                  ※RE=レチノール当量

 
【ビタミンB2
[働き]
・皮膚や粘膜を正常に保つために働く
・糖質、脂質、タンパク質を体内でエネルギーに代謝するのに必要
 
[多く含まれている食品]
・レバー、卵、大豆、乳製品、葉菜類など
 
[必要量]
不足すると口内炎、口角炎、舌炎など皮膚や粘膜に炎症が起こりやすくなります。
これは、皮膚や粘膜は生まれ変わりが早いので、炎症が現れやすくなるためです。
過剰摂取については、
ビタミンB群は水溶性ビタミンであるために余分なものは尿中に排泄されるため問題はありません。
成人男性・・・推奨量1.4〜1.6r/日
成人女性・・・推奨量1.2r/日

 
【ビタミンB6
[働き]
・食品中のタンパク質からエネルギー生成するのに必要で、タンパク質摂取が多いほど必要なビタミン
・皮膚や粘膜の健康維持
 
[多く含まれている食品]
・いろいろな食品にふくまれていますが、かつおやマグロなどの魚類、肉類、レバー、バナナなど
 
[必要量]
不足すると皮膚炎や口内炎、貧血などが起こりやすくなります。
ビタミンB6は腸内細菌からでもできるため不足することは少ないといわれています。
また、水溶性ビタミンなので過剰摂取についても心配はほとんどありません。
成人男性・・・推奨量1.4r/日
成人女性・・・推奨量1.2r/日

 
【ビタミンC】
[働き]
・体内に侵入した細菌やウイルスの力を弱め、細胞内に入るのを防ぐ働き
・白血球の働きに必要で、免疫を活性化させる
・体の細胞を結ぶコラーゲン(タンパク質)を生成するのに不可欠である
・皮膚や粘膜の健康維持
・ストレスによる抵抗力を高める
 
[多く含まれている食品]
・イチゴや柑橘系の果物、緑黄色野菜、いも類など
 
[必要量]
不足すると寒さや細菌、ウイルスに対する抵抗力が低下します。
また血管がもろくなる、関節が痛くなるといったことも起こります。
ビタミンCは大量に摂取しても、体内ですべてが摂取するわけではないので、
積極的に摂取しましょう。過剰摂取については、尿中で排泄されるので特に問題はありません。

 
【ビタミンE】
[働き]
・体内の脂質の酸化を防ぎ、体を守る働き
・白血球やリンパ球の働きを活性化させ免疫を高める
・血行を促進し、冷え予防などになる
 
[多く含まれている食品]
・かぼちゃ、モロヘイヤ、アボガド、ナッツ類、植物油など
 
[必要量]
不足すると細胞が酸化され、さまざまな症状を引き起こしやすくなります。
過剰摂取については普通の食事からでは特に問題はありませんが、
まれに出血傾向がみられるといわれています。

 
 
 

  

栄養士    高橋 広海             

前ページ < top > 次のページ