ホーム > あしたも元気 > 腸内環境を整えよう

 
 

NO.124

 

腸内環境を整えよう

'10. 4月号

 

 
よく「腸内環境」という言葉を耳にしますが、どのような環境が腸にとってよいのでしょうか?

 
 
腸の働き
 
腸は食べたものを消化、吸収、そして排泄する臓器です。
人間の腸には腸内細菌が存在しますが、約100種類、約100兆個もの細菌群があり、
これらがバランスを保って、初めて消化、吸収、排泄がスムーズに行われます。
これらのバランスが崩れると腸の機能は正常に働かなくなります。
 
食べ物から摂取した栄養素は小腸の毛細血管に吸収されて肝臓まで運ばれますが、
栄養素だけではなくアルコールや食品添加物、農薬までも運ばれてしまいます。
ここで腸内細菌がうまく働かないと血液が汚れてしまいます。
また、ビタミンやミネラルをきちんと摂取していても吸収されにくくなり、そして便から毒素を排泄しにくくなります。
逃げ場のなくした毒素は腸内の代謝を低下させ、血液中に流れ込み皮膚にダメージを与えます。
便秘などで肌荒れや吹き出物ができるのは、これが原因です。
また、便秘は腸の代謝低下により太りやすい体質にさせてしまいます。
 
日本人の大腸の長さは約1.5mといわれています。
日本人は穀類、根菜などを摂取して進化したために大腸が長いのです。
これに比べ欧米人は約1mといわれています。
欧米人は大腸が短めのため肉食中心の食生活でも、腐敗する前に便として体外に排泄されるといわれています。
ところが、日本人は大腸が長い分だけ体内で腐敗便を作りやすく、悪玉菌を増やす要因になっているようです。

 

 
腸内細菌とは
 

腸内細菌のつちの約20%が善玉菌と呼ばれる菌です。善玉菌には乳酸菌やビフィズス菌があります。
そして約10%が悪玉菌と呼ばれる菌で、ウエルシュ菌や大腸菌などがあります。
残りの70%は日和見菌と呼ばれ、どちらにも属さない菌です。
 

善 玉 菌

→体にとって有用な働きをする発酵型細菌
 
・悪玉菌が生成する毒素の分解
  ・腸内の腐敗の抑制
  ・腸の運動を活性化して便秘予防
  ・下痢の予防、治療
  ・発ガン性物質の抑制

悪 玉 菌

→体にとって有害な毒素を出す腐敗型細菌
  ・腸内のアミノ酸などを腐敗させ有害な物質を作り出す
  ・インドールやスカトールといったガスを発生させる
  ・発ガン性物質を作り出す

日和見菌

→数が多い菌の加勢をする菌
   善玉菌が優勢であれば体に必要な物質を生成し、
   悪玉菌が優勢であれば体に悪影響を与える物質を生成する

 

○腸内環境を整える食生活、肉類に偏り過ぎないで!
動物性脂肪や動物性タンパク質が多い食生活をしていると、腸内環境は乱れてきます。
動物性脂肪を取り過ぎてしまうと、腸内にコレステロールや胆汁酸が溜まりやすくなり、
これらが悪玉菌によってコレステロール代謝物や二次胆汁酸と呼ばれる毒素ができやすくなります。
動物性タンパク質を摂り過ぎてしまうと、アミノ酸分解の際にアミンなどの有害物質ができやすくなります。
 
○食物繊維をたっぷり摂ろう
穀類、根菜、緑黄色野菜、きのこ、海藻、果物、ナッツ類には豊富に食物繊維が含まれています。
食物繊維は腸内環境を整えるためにはとても重要な栄養素です。
 
○発酵食品や乳酸菌を多く含む商品を摂ろう!
ヨーグルトや納豆、穀類、オリゴ糖などは善玉菌を増殖させ、腸内環境を整えます。
※善玉菌を増やし腸を活性化させる食生活を心がけましょう。

 

 
 

  

栄養士    高橋 広海             

前ページ < top > 次のページ