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NO.116

 

鉄不足による貧血にご注意を!

'09. 8月号

 

 
食糧が豊かになっている近年でも、なかなか減らないとされているのが「鉄欠乏貧血」です。
日本では女性の約10人に1人が貧血と言われるほど身近な病気でもあります。

 
鉄欠乏性貧血とは?
その名の通り、鉄分の摂取不足によって起こる貧血です。鉄は以外と摂りにくい栄養素です。
 
【鉄の役割】
鉄は赤血球の原料で、生きていく上でなくてはならないものです。
体内の鉄のうち、約70%が血液にあります。
主に赤血球中のヘモグロビンと呼ばれる赤い色素の構成成分です。
残りの30%は筋肉、脾臓、骨髄などに存在しています。
赤血球中のヘモグロビンは、呼吸によってとり込まれまた酸素を体内の隅々まで運ぶ働きがあります。
ヘモグロビンが不足して体内に酸素が行き渡らない状態を鉄欠乏性貧血といいます。
 
【鉄の必要性】
一日に必要な鉄の量は、成人男性10r、成人女性12rですが、
鉄の吸収率から考えると15〜20rは摂取したいものです。
健康な女性だと一回の月経で約30〜60mlの出血があるとされ、約20〜30gの鉄を失います。
このため、一日に必要な鉄の量は女性のほうが多くなっています。
また女性は妊娠中や出産、産後の母乳などによって体内からかなりの鉄が必要とされます。
しかし、それを満たすだけの鉄を摂取できない状態が続いてしまう場合も少なくないようです。
 
【鉄の吸収】
人間の血液が必要とする鉄分は食物中から取り入れなければなりませんが、
実際に食物から吸収されるのはその一部にしか過ぎず、
鉄分の吸収率は条件によっても違いがありますが、約10%しか体内で吸収されません。

 
 

〜二種類の鉄〜
鉄の摂取を心がける上で、知っておかなければならいことがあります。
それは、食べ物中は「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の二種類に分かれるということです。
 
【ヘム鉄】
肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄。鉄と血液に含まれる成分が結びついてできたもの。胃腸で吸収されやすく、吸収率は約25〜37%とされる。
 
【非ヘム鉄】
野菜や穀類、海草などの植物性食品に含まれる鉄。鉄がそのままの状態のもの。
胃腸で吸収されにくく、吸収率は5%以下とされる。
 
ヘム鉄は非ヘム鉄に比べ吸収率が約6〜7倍も高く、また動物性食品にはタンパク質も多く含まれています。
しかしヘム鉄ばかりを摂取しようとすると、
動物性食品の脂肪分を摂り過ぎてしまい栄養素バランスが崩れてしまいます。
そこで非ヘム鉄を効率よく摂取するために・・・
 
○鉄の吸収率を高めるビタミンCと一緒に摂取しましょう
    ビタミンCは非ヘム鉄を水に溶けやすい形に変えて体内での鉄利用を促進させる働きがあります。
○柑橘類や酢の物、梅干しなどに含まれるクエン酸や酢酸によって胃酸分泌が高まり吸収率を高めます。
    ※非ヘム鉄の吸収率をさらに下げるもの
      ・コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるタンニン
      ・玄米や植物繊維に含まれるフィチン酸
○牛乳には鉄の吸収を助ける物質CPP(カゼインホスホプチド)が含まれています。
    CPPは牛乳のタンパク質が消化されるときにできるものでは、
    これが鉄の吸収を約2〜5倍も上げると言われています。
    またCPPはカルシウムの吸収も高めます。またフィチン酸を弱らせる効果もあるとされています。

 
 
造血パワーを高めてくれる栄養素
●鉄・タンパク質→ヘモグロビンの材料となる
    含まれる食品…レバー、牛肉、豚肉、いわし、かつお、サンマ、牡蠣、はまぐり、あさり、
                          ひじき、昆布、小松菜、切干大根、木綿豆腐、納豆など
●ビタミンB6→ヘモグロビンを作るときに必要
    含まれる食品…まぐろ、かつお、サンマ、いわし、豚肉、バナナなど
●ビタミンB12・葉酸→骨髄で赤血球をつくるときに必要
    含まれる食品…あさり、牡蠣、レバー、しじみ、いわし、さば、ほうれん草、じゃがいも、大豆など
●ビタミンC→食物からの鉄を体内で利用できるようにする
    含まれる食品…いちご、キウイ、オレンジ、小松菜、ブロッコリー、かぼちゃなど
●銅→肝臓で貯蔵されている鉄を利用するときに必要
    含まれる食品…牡蠣、ゴマ、納豆、エビなど
 
 


 

栄養士    高橋 広海             

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