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NO.117

 

癌を予防するための食生活

'09. 9月号

 

 
人間を含んだ脊椎動物のすべての細胞には、癌遺伝子が内在しているといわれています。
正常な細胞のもとでは体が持つ免疫機能によって癌遺伝子の活動を封じ込めていますが
何らかの理由で細胞の核にある遺伝子が突然以上に働き始めると徐々に細胞は癌化していくといわれています。
遺伝子異常を起こさせる因子はイニシエーター、そして癌細胞を成長させる因子プロモーターと呼ばれていて、
これらにはさまざまなものがあります。
紫外線、放射線、工業用生産物、排気ガス、防腐剤、殺虫剤、タバコなど…
そして食生活に関係した要因が多く発見されています。
 
●イニシエーター・・・放射線、紫外線、ウィルス、魚の焦げ目など
●プロモーター・・・女性ホルモン、胆汁酸、農薬、高塩分、人口甘味料など

 
食生活・食習慣による発癌性物質
高脂肪食、高塩分食、低栄養、やけどするくらい熱い食べ物や飲み物を冷まさないで食べる習慣、
魚などの焦げ目、カビ、野菜や海草から摂取する食物繊維の不足、
牛乳や乳製品の不足、アルコールの飲み過ぎ、喫煙、早食い、不規則な食事…などが挙げられています。
このように食生活によって発癌性物質が多くありますが、
癌予防をするためには当たり前ですが食生活を改善することがとても大切です。
 

 
 

予防のための食事
【ビタミンA、E、Cを積極的に摂る】

●ビタミンA・・・発癌性物質の作用を抑制することが認められています。健康な細胞を保ち、細胞膜を守ります。
●ビタミンE・・・体内で増える活性酸素による過酸化脂質(体のサビ)を抑制します。
                       過酸化脂質は細胞膜を破壊して癌細胞を活発にさせてしまいますが、それを防ぐ働きをします。
●ビタミンC・・・ビタミンCはコラーゲン生成のために必要ですが、
                       コラーゲンは癌細胞の分裂を防ぐといわれています。
                       また、発癌性物質であるニトロソアミン(肉や魚の分解物であるアミンと漬物、
                       ハム、ソーセージなどの添加物である亜硝酸が胃で合成されてできる物質)
                       を抑制する働きがあります。
これらのビタミンを多く含む緑黄色野菜を積極的に食べていきましょう。
  
【食塩を控える】
食塩の摂り過ぎは、粘膜が傷を受けやすい状態をつくりだします。
濃度の濃い塩分は胃の粘膜を溶かしてしまいます。
このことが癌の誘因になるといわれています。漬物や塩蔵物などの塩辛い食品を控えましょう。
 
【植物繊維を十分に摂る】
植物繊維不足になると大腸癌の発生率は高くなります。
植物繊維は便の量を増やし発癌性物質の濃度を薄める働きがあります。
また、便通がよくなることによって腸壁と発癌性物質の接触時間が短くなります。
 
【焦げ目の多いところは食べない】
魚や肉の焦げた部分にはトリプP1とよばれる発癌性物質ができてきます。
ひどく焦げたところは食べないようにしましょう。
ごぼうや、きのこ類、柑橘類はこのトリプP1を抑制する働きがあるので、
焼き魚や焼肉を食べるときはこれらと一緒に食べるとよいでしょう。
 
【アルコール、コーヒー、タバコについて】
アルコールやコーヒーなどは摂り過ぎると癌の誘因になることは明らかといわれています。
適度な量はストレスを減らすので予防に役立ちますが、
飲み過ぎてしまうと胃の粘膜を荒らすので予防にはなりません。
またアルコールを飲みながら発癌性物質であるタバコを吸うと吸収されやすくなるそうなので、避けましょう。

 
 
〜癌を予防するための12ヵ条〜
       
(国立がんセンター監修)

@バランスのとれた栄養をとる
A毎日、変化のある食生活を
B食べ過ぎを避け、脂肪は控えめに
Cお酒はほどほどに
Dタバコは吸わないように
E食べ物から適量のビタミンと繊維質のものを多く摂る
F塩辛いものは少なめに、あまり熱いものは冷ましてから
G焦げた部分は避ける
Hかびの生えたものに注意
I日光に当たりすぎない
J適度にスポーツをする
K体を清潔に
 
 


 

栄養士    高橋 広海             

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