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NO.109

 

無駄骨にならないカルシウムの貯蔵

'09. 1月号

 

 
カルシウムは骨の主成分として知られていますが、
カルシウムは体重の1.5〜2%程度ろ占めていて
体重60sの人なら約1sのカルシウムが体内に存在する計算になります。
そのうちの99%は骨や歯に含まれていて、体を支えたり内臓を保護するのに役立っています。
カルシウムが十分にあるから骨は硬く、強く、体重を支えることができるのです。
また残りの1%は血液中や細胞内、筋肉、リンパなどに少しずつ存在しています。
これらは合わせても約10gにすぎませんが、非常に大切な役目をしていて、
心臓の機能調節や収縮・弛緩などの働きや血液の凝固、ホルモンの分泌などにかかわっています。
 

カルシウムの働き
骨や歯になり骨粗鬆症を予防します
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、カルシウム摂取不足が続くことによって骨のカルシウムがどんどん溶け出して、
軽石のように骨の量がスカスカになり、もろくなってしまう病気です。
老化に伴う骨量の減少は誰にでもありえることですが、最大骨量が多ければ減少しても骨粗鬆症になると、
例えば打ち身程度で骨折したり、くしゃみで骨にひびが入るようになってしまうといわれています。
日本人に骨粗鬆症の患者が多いのは、カルシウムを十分に摂取していないからです。
骨粗鬆症にならないためにも、日頃から十分にカルシウムを摂取して、最大骨量を多くしましょう。
 
高血圧を予防します
高血圧は、塩分の過剰摂取が原因といわれていますが、
実はカルシウムが不足することでも高血圧を招くことがいわれています。
体内からカルシウムが不足すると、血液中のカルシウム濃度をあげようとして、
副甲状腺ホルモンなどが働きだし、心臓や血管の収縮を助長することで血圧の上昇に関与します。
 
イライラを抑えます
イライラしている人は「カルシウム不足」と言われたことはありませんか?
カルシウムは血液中で一定濃度で保たれていて、神経の伝達機能や興奮の抑制など働きをしています。
血液中の濃度が減少すると、感情のコントロールがみだれ、イライラの原因となります。
 

 
カルシウムの貯蔵
カルシウムは厚生労働省では『600〜700r/日』の摂取を定めていますが
これは最低限であって骨粗鬆症予防では800r/日を摂取と推奨されています。
日本人のカルシウム摂取量は、平成15年の調査では510r/日とかなり不足しています。
これは、日本人は魚や大豆製品などからカルシウム摂取はしていますが、
牛乳・乳製品からのカルシウム摂取が不足しているのが、原因といわれています。
牛乳・乳製品なしでは一般的な食事から摂取できるカルシウムは200〜400r/日といわれていますので、
ここに牛乳1本を加えるとさらに200rの摂取ができます。またヨーグルトやチーズからの摂取も大きいです。

 
 
カルシウムを多く含む食品
・牛乳コップ1杯(200g)=200r   ・プロセスチーズ(20g)=120r   ・無糖ヨーグルト(100g)=100r
・スキムミルク(10g)=100r   ・煮干し(10匹)=345r   ・ししゃも(1匹)=43.5r   ・しらす干し(10g)=50r
・乾燥ひじき(20g)=315r   ・桜えび(10g)=145r   ・うなぎ蒲焼(1串)=185r   ・小松菜(1株)=132r
・青梗菜(1株)=150r   ・ほうれん草(1株)=120r   ・切干大根(50g)=183r   ・絹ごし豆腐(1丁)=265r
・油揚げ(1枚)=170r   ・納豆(1パック)=28r

 
 
※食品別によるカルシウム吸収率としては
○牛乳・乳製品⇒もっとも吸収がよい
○大豆製品⇒吸収がよい
○魚介類⇒普通
○野菜・海藻類⇒あまり吸収がよくない
しかしこれらをまんべんなく摂取することでカルシウム吸収率は上がります。
またビタミンDと一緒に摂取することで吸収率は大幅にアップします。
ビタミンDはレバーやバター、卵黄、椎茸などに含まれています。
さらにリジン、アルギニンなどのアミノ酸はカルシウムの吸収を促進させますので
これらのアミノ酸を含んだ良質のたんぱく質を一緒に摂るとよいでしょう。
 
    

 
 
 

 

栄養士    高橋 広海             

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