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NO.86

 

エネルギー(熱量)について

'07. 2月号

 

人間が生命を維持し体温を保ち、活動するためには「エネルギー」が必要なのは当たり前ですが、
この「エネルギー」とはいったいどこから生産されるのでしょうか。
それは食事から摂取した、糖質・タンパク質・脂質の三大栄養素がエネルギーとなります。
そしてこらから、ビタミンやミネラルによってエネルギーに変換されるのです。
摂取した食物のエネルギー源となる栄養素は、呼吸して取り込んだ酸素を利用して分解され、
体内で燃焼してエネルギーを生産します。作り出されたエネルギーの単位は「カロリー(Kcal)」で表します。
 
※国際的にはキロジュール(Kj)で表します。
   1Kcal = 4.186kj
※1Kcalは、1gの水を1度上げることができるエネルギーの量を示します。
   エネルギーが不足すると疲労や筋力低下、集中力欠乏などにつながります。
   またエネルギーを摂り過ぎると肥満や動脈硬化、高脂血症などの生活習慣病の要因となります。
 

糖質、タンパク質は1gで約4Kcalのエネルギーになります。
脂質は1gで約9Kcalのエネルギーになります。
タンパク質(P)、脂質(F)、糖質(C)のエネルギーのバランスをPFCバランスといい、
日本ではP=12〜13%、F=20〜30%、C=57〜68%が適正な値とされています。

 
 
糖質エネルギー
・糖質は食物中に最も多く含まれている。
・糖質エネルギーは即効性が高い。
・糖質は脳や神経系の主なエネルギー源となるが、直接すぐに利用されるのは半分くらいで、
  残りは肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられ、体脂肪に変換される。
・体内に蓄積されたグリコーゲンは活動する際に必要なときに利用される。
・糖質をエネルギー変換するときはビタミンB1が必要不可欠。


タンパク質エネルギー
・タンパク質は主に体タンパク質を作るための栄養素。
・筋肉、皮膚、骨、毛、赤血球、心臓や胃腸などの内臓、
  ホルモン、酵素、細菌やウイルスに対する抗体などのすべてタンパク質からできている。
・人間の細胞の主成分である。
・タンパク質は約20種類のアミノ酸でできていて、体内のタンパク質は常に新しいものに作り換えられている。

 
脂質エネルギー
・大変効率のよいエネルギー源。
・食品から摂取される脂質は、主として植物油やバター、肉や魚の脂などほとんど中性脂肪として体内に入る。
・脂質は体内に入ると血液によって運ばれて、脂肪細胞に貯蔵された脂肪は脂肪酸とグリセロールという成分となる。
・エネルギーとして利用されるのは主に脂肪酸だが、残ったものは皮下脂肪や腸、腎臓などの周辺に蓄積され、
  この脂肪がエネルギーバンクとなって、血糖値が低下しているときや長時間活動しているときなどに
  エネルギーとして利用される。また、体脂肪が内臓をしっかり支える役目がある。
・ただし、脂質エネルギーばかりに偏るとコレステロールが増加したり、肥満につながるなどの影響があるとされる。
・脂質をエネルギー変換するときにはビタミンB2が必要不可欠。

 
消費エネルギー
【基礎代謝量】・・・生命を維持するのに必要最低限なエネルギー量のこと。
                         性別、年齢、気温、発熱、栄養状態などにより多少変動はある。一般に年齢を重ねると低下する。
【活動代謝量】・・・運動や作業によってのエネルギー消費量のこと。
【特異動的作用】・・・食物を摂取すると、それを消化・吸収するためにより多くのエネルギーを必要とするため、
                            体温が上昇すること(熱生産)。
 
※成人の場合、食物からの摂取エネルギーと、消費エネルギーの量の
   バランスがとれていれば体重の変化がない状態です。
 

不規則な食事によってエネルギーバランスを崩すと・・・

●朝食を抜く⇒エネルギー不足で脳や身体の活動が鈍くなります。
●1日2食(欠食)をする⇒食事を抜くことによって、餓死状態に備えるため体内で
                                   エネルギーを脂肪として蓄えるようになり、肥満につながることがあります。
●夜食事を摂ってからすぐ寝る⇒睡眠中は中性脂肪の合成が活発になり体脂肪が増加しやすくなります。

 

     

 

栄養士    高橋 広海             

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