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NO.80

 

貧血を乗り切る!

'06. 8月号

 

この時期になると、貧血傾向の人が多くみられるようです。
貧血の多くは鉄分不足が原因です。鉄分が不足すると、赤血球の数が減少したり、
赤血球の中にある酸素を運ぶヘモグロビンの量が減少し、体は酸欠状態になってしまいます。
貧血は他の病気などに比べ、特に女性はかかりやすいと言われていますので、
日ごろから予防することが大切です。

<貧血を注意する人>
・1日3食摂っていない人
・外食が多い、またはインスタントや加工食品の摂取が多い人
・間食の多い人

 
 
鉄分を摂取する
食品に含まれる鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があります。
数ある栄養素の中でも鉄分は体内に吸収されにくいとされています。
ヘム鉄とは、肉や魚などの動物性食品に含まれるもので、吸収率は15〜25%。
非ヘム鉄とは、野菜や海草などの植物性食品に含まれるもので、吸収率は2〜5%。ヘム鉄を十分に摂取しましょう。
ただ、ヘム鉄にはコレステロールなども多く含んでいるので、非ヘム鉄と同時に摂取することが大切です。
ヘム鉄、非ヘム鉄を一緒に摂ると、吸収率が高まります。
 
【ヘム鉄】
レバー・牛肉・カツオ・ワカサギ・煮干・やつめうなぎ・レバーペーストなど
 
【非ヘム鉄】
しじみ・あさり・ひじき・凍り豆腐・ほうれん草・小松菜など
 

1日に必要な鉄分の所要量

成人女性10〜12r   成人男性10r
貧血傾向の人は女性で15〜20r、男性でも12〜15rは摂取したいものです。

 
 
鉄分の吸収をよくする食品
◎良質のたんぱく質を含む食品
ヘモグロビンは鉄色素とたんぱく質から構成されています。
十分なたんぱく質がないと赤血球の生産能力が低下してしまいます。
良質なたんぱく質とは、魚、肉、卵に含まれるたんぱく質のことですが、
これたにはシステインとよばれるアミノ酸が多く含まれていて、吸収の悪い非ヘム鉄の吸収をよくする働きがあります。
たんぱく質は1日に70gは摂りましょう。
特にダイエット中でたんぱく質を控えている人はヘム鉄も不足するので気をつけましょう。
 
◎ビタミンCを多く含む食品
ビタミンCは鉄分を吸収しやすい形に変えてくれるとともに、体内で鉄分の利用を促進させる働きがあります。
ヘム鉄、非ヘム鉄ともにビタミンCと一緒に摂取しましょう。
 
◎葉酸・ビタミンB12を多く含む食品
葉酸は赤血球の中の核酸(DNA)の合成に関わり、赤血球が形成されるのに必要な栄養素です。
ビタミンB12は、葉酸の働きを助け、造血作用を促進します。
葉酸を多く含む食品⇒牛レバー・豚レバー・アスパラガス・ほうれん草・ブロッコリーなど
ビタミンB12を多く含む食品⇒牛レバー・豚レバー・にしん・さばなど
 
◎酸味を含む食品
酢や梅干し、柑橘類などの酸っぱい食品は、
胃の粘膜を刺激して胃酸の分泌を高め、鉄分の吸収をよくします。
 
―鉄製の調理器具―
鉄鍋、鉄のフライパン、包丁などの鉄でできた調理器具は微量ですが鉄分が溶けだし吸収率を高めます。
 

 

食事中のコーヒー、緑茶、紅茶は控えましょう

これらに含まれる「タンニン」は、鉄と結合すると「タンニン鉄」となり鉄分の吸収を悪くします。食事以外の時間に飲むのであればあまり影響はないとされますが、食事中や食後すぐにたくさん飲むのは控えた方がよいでしょう。

     

 

 

栄養士    高橋 広海             

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