ホーム > あしたも元気 > 味覚障害と亜鉛

 
 

NO.46

 

味覚障害と亜鉛

'03.10月号

 

『食欲の秋』といわれる季節になりました。
人間が食べ物をおいしく味わう事ができるのは「味覚」があるからです。
味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」などを舌で感じることで、
人が生きていくうえで重要な感覚の一つです。
しかし現代人はこの味覚に障害が起き、
「何を食べてもおいしくない」「食べ物の味がしない」「味が変わった」などと
感じるために食欲が落ちる人が増えているようです。
そこで重要な役割をするのが【亜鉛】というミネラルになります。
味覚障害の大きな原因は亜鉛不足によるものとされていて、
それは高齢になるほどその程度は大きくなるようです。

 
 
亜鉛の働き
亜鉛とは?
体内で重要な働きをする必須ミネラルの1つ。
タンパク質の合成、インシュリンの分泌、筋肉の収縮性をよくする、生殖器官の発達などに深く関わっている。
人間の細胞の新陳代謝に欠かせないミネラルで、酸素やホルモン生成に必要。
 
人間の舌にある味覚を感じる【味蕾】という細胞は、
絶えず生まれ変わる新陳代謝の活発な細胞
で、
味蕾の数は乳幼児の時期が一番多く年齢を重ねるに連れて減少していく。
細胞の老化の影響が最初にあらわれるのは「舌」というほどです。
亜鉛が不足すると味蕾細胞の新陳代謝が減退し老化してしまう。
これが味覚障害の原因。

 
 
なぜ亜鉛不足になる?
インスタント食品、加工食品などを食生活で多く利用していると亜鉛の必要量(1日15r)はまず摂取できません。
これらに含まれる添加物(リン酸塩、ポリリン酸、フィチン酸、グルタミン酸ナトリウム)は亜鉛の摂取を妨げます。
またアルコールの摂取量が多いと亜鉛を損失させます。
さらに過度のダイエットや偏食も原因となります。
ストレスによる損失も大きいです。
亜鉛が不足し味覚障害を起こすと味が感じられないために食事の味付けが濃くなり、
それによって糖分、塩分の摂り過ぎによる生活習慣病を引き起こす可能性もでてきます。
 
※その他の亜鉛不足による症状 ⇒ 成長を遅らせたり、脱毛、免疫力の低下や生殖機能の低下
 

亜鉛が多く含まれる食品
≪魚貝類(特にかき)、肉、レバー、小麦、大豆、大豆製品など≫

かき(100g)……40r           牛乳(200g)……0.4r
かに(100g)……3.7r              小豆(30g)……0.8r
かれい(100g)……0.5r         木綿豆腐(100g)……0.6r
いわし(100g)……1.3r                  納豆(50g)……0.9r
和牛(100g)……1.3r カシューナッツ(100g)……5.4r
牛レバー(50g)……1.9r                  抹茶(100g)……6.3r

 
 

 

栄養士    高橋 広海             

前ページ < top > 次のページ