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NO.16

 

日本人の栄養所要量からみたビタミン・ミネラルの必要性

'01. 4月号

 

  今回の改定で、以前のものと最も大きく変わった点というのが、「許容上限摂取量」が設定されたことです。
これは何故かというと、日本人の栄養所要量が厚生省によって定められたのは昭和45年で、
日本人の栄養素欠乏症を防ぐために設定されました。
しかし現代では栄養素欠乏から起こる病気より、
過剰摂取による健康障害を予防するために上限値が設定されました。

   

ビタミン・ミネラルの項目について
  今までの日本人の栄養所要量では、ビタミンは6項目、
ミネラルはカルシウム、鉄の2項目だけでした。しかし今回の設定対象外だったものが多数対象になっています。
ビタミン13項目、ミネラル13項目まで増えました。

◎ビタミンの過剰症、欠乏症について
全てのビタミンに過剰症や欠乏症があるわけではありません。日本人の食後の内容として欠乏しやすいビタミンは、ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・ビタミンC等です。過剰症の心配があるビタミンとしては特にビタミンAですが、大量に摂取していなし限りは問題ありません。
 
◎ミネラルの過剰症、欠乏症について
日頃の食事からは、食塩によるナトリウムの過剰摂取以外は、ミネラルによる過剰症は、特に見られません。体にとって必要な量はほんのわずかです。ところが特定のミネラルだけを突出して摂取するとまれに過剰症が出てくる場合もあります。日本人はカルシウム不足が問題となっています。ミネラルをバランス良く摂取するには何より多くの種類の食品を摂ることです。
 
◎改たに追加されたビタミン・ミネラルについて
 

≪ビタミンE≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―

胚芽・納豆・野菜・果物・植物油など
抗酸化作用があり、老化物質ができるのを防ぐ。血行を良くし新陳代謝を促進する
皮膚の抵抗力の低下など
特にみられない

   

≪ビタミンK≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―

胚芽・植物油・野菜など
血液の凝固に関係したビタミン
出血しやすくなり、出血しても止まりにくくなる
特にみられない

   

≪ビタミンB6
働   き―
欠乏症―
過剰症―

魚類・大豆など
タンパク質や脂肪の吸収を助ける。皮膚の健康を保つ
特にみられない
特にみられない

   
≪葉     酸≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・大豆・野菜など
タンパク質の代謝を助け、ヘモグロビン、赤血球、核酸の生成を促進する、脳の発育を助ける
悪性貧血、口内炎、下痢など
特にみられない
   
≪ビタミンB12
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・魚類・乳製品など
赤血球の生成促進する、タンパク質の代謝を促進する
悪性貧血、食欲不振など
特にみられない
   
≪パントテン酸≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・大豆・豆製品・小麦など
糖やタンパク質の代謝を促進する、細胞の形成や正常な成長を促進する
特にみられない
特にみられない
  
≪  銅  ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
貝類・レバー・緑黄色野菜など
体内の鉄をヘモグロビンに転換するのに必要
貧血症、毛髪や皮膚の色素脱失など
溶血性黄疸
   
≪ ヨウ素 ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
海草類・魚介類など
正常な成長を促進する、ヨウ素の2/3は甲状腺のなかに入っている
甲状腺肥大症、成長障害など
甲状腺腫
   
≪マグネシウム≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
穀類・豆腐・野菜・牛乳など
カルシウムの沈着を助ける、糖がエネルギーに転換されるのに必要
骨や歯の発育不足
低血圧など
   
≪マンガン≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
穀類・野菜など
正常な骨や筋肉の形成に必要
運動能力の低下、軽度の皮膚炎など
鉄欠乏症貧血
   
≪ リ  ン ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・魚類・卵・ナッツ類など
カルシウム : リンが 2 : 1 で正常な骨や歯が形成される
骨や歯の発育不良
カルシウムの吸収障害など
    
≪カリウム≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
緑黄色野菜・果物など
体の水分バランスを調整し、心拍のリズムを正常に保つ、血圧を下げる
疲労感、脱力感、高血圧、浮腫
不整脈、腎機能障害
   
≪ セレン ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
魚介類・レバー・胚芽・玉ねぎ
ビタミンEとセレンは共働する、抗酸化物質で老化を防ぐ
成長障害、不妊症
皮膚障害、脱毛、肝硬変など
   
≪ 亜 鉛 ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・肉類・貝類(かき)
タンパク質の合成に必要、インシュリンの形成を助ける、前立腺の働きを正常に保つ
成長障害、味覚障害、前立腺肥大、血糖上昇
貧血、発熱、悪心など
   
≪ クロム ≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
レバー・胚芽など
インシュリンと一緒に糖の代謝を行う
糖尿病など
肝臓障害、腎臓障害など
   
≪モリブデン≫
働   き―
欠乏症―
過剰症―
緑黄色野菜・穀類など
炭水化物、脂質の代謝を助ける
成長障害、神経症状など
成長停止、貧血
   
≪ナトリウム≫
働   き―
過剰症―
食塩・みそ・しょうゆなど
体液(血液、リンパ液)をアルカリ性に保つ、細胞の浸透圧を保つ
高血圧

 
《第6次改定版   ビタミン・ミネラルの摂取基準》

名称

所要量/日 上限
男性 女性
ビタミンA 2,000IU 1,800IU 5,000IU
ビタミンD 100IU 2,000IU
ビタミンE 10r 8r 600r
ビタミンK 55〜65μg 50〜55μg 30,000μg
ビタミンC 100r

ビタミンB1 1.1r 0.8r
ビタミンB2 1.2r 1.0r
ナイアシン 16〜17r 13r 30r
ビタミンB6 1.6r 1.2r 100r
葉酸 200μg 1,000r
ビタミンB12 2.4μg
ビオチン 30μg
パントテン酸 5μg
カルシウム 600〜700r 600r 2,500r
10r 10〜12r 40r
1.6〜1.8r 1.4〜1.6r 9r
ヨウ素 150μg 3r
マグネシウム 280〜320r 240〜260r 700r
マンガン 3.5〜4.0r 3.0〜3.5r 10r
リン 700r 4,000r
カリウム 2,000r

セレン 45〜60μg 40〜45μg 250μg
亜鉛 10〜12r 9〜10r 30r
クロム 25〜35μg 25〜35μg 250μg
モリブデン 25〜35μg 25μg 250μg
ナトリウム

 

栄養士    高橋 広海             

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