ホーム > あしたも元気 > 生活習慣病を防ぐ ~骨粗鬆症~

 
 

NO.15

 

生活習慣病を防ぐ ~骨粗鬆症~

'01. 3月号

 

骨粗鬆症とは…
  「骨粗鬆症」これは「こつそしょうしょう」と読みます。
「粗」という文字は、まばらという意味で「鬆」という文字は、松の葉が、パラパラと落ちて行くような状態を表します。
つまり、骨に“す”が入ったようになった状態を骨粗鬆症といいます。
骨組織内部にあるスポンジ状の組織の骨量が減少し、
骨がスカスカになるため骨はもろく、骨折しやすくなります。さらに脊柱の変形や腰背痛の原因となります。
  では、何故骨量は減少するのかというと、
骨を形成しているカルシウム不足の食生活や加齢の為ホルモンのバランスが崩れていくからです。
  骨粗鬆症は生活習慣病のひとつで、予備軍も含めると全国に約1000万人いるといわれています。
若いうちからコツコツとカルシウムを蓄め、同時に運動によって骨を鍛えておけば防ぐことができる病気です。
また、たとえ50歳・60歳・70歳を迎えても、その人やその年齢なりの努力をする事によって、
それなりの効果は得られます。

   

カルシウムと骨
  骨の原料はカルシウムです。カルシウムの99%は骨や歯に含まれていて、
残りは血液中や細胞中に含まれています。カルシウムの摂取量が不足すると血液中の濃度を一定に保つため
骨を溶かしてカルシウムを提供しなければならず結果、骨は溶け続けもろくなります。
  骨は硬くて変化しないと思われがちですが、
他の組織と同じように古い細胞は吸収されて新しい骨が形成されています。
骨密度(=カルシウム)は、思春期から30~40歳代にかけてがピークです。
この時期にカルシウムを十分に摂取しておけば老化により骨が多少減少しても
骨粗鬆症を引き起こすことはありません。

◎カルシウムを十分に摂取しよう!
  カルシウムは積極的に摂取する事が必要です。
健康時では1日に10㎎/体重㎏が目安とされ約600㎎が成人の所要量です。
骨粗鬆症の人、閉経後の女性の場合は 800~1000㎎以上を目安にします。
また、ダイエットをしている人はカルシウム不足になりやすいので気を付けましょう。
  牛乳はコップ一杯で約 200㎎のカルシウムが摂取できます。
他の食品からも摂取される事を考えて、1日2~3杯飲むとよいでしょう。
牛乳・乳製品は消化吸収能力の低下しているお年寄りでも効率よく摂取できます。
牛乳で下痢をする人は温めて飲んだり、ゆっくり飲んだり料理に使用してり工夫してみるとよいでしょう。
  また、下痢の原因となる乳糖を除去した牛乳も市販されています。
 
《1日当たりのカルシウム所要量》

年齢(才)

カルシウム(㎎)
男性 女性
0~6 0~6 400
7~9 7~8 500
10 9 600
11 10~14 700
12 800
13~14 900
15~16 800
17~19 700
20~ 600
妊婦 1000
授乳婦 1000

《カルシウムを多く含む食品》

食品名 1回使用量 カルシウム含有量
普通牛乳 200ml 200㎎
ヨーグルト 100ml 130㎎
プロセスチーズ 20g 126㎎
小松菜 80g 232㎎
切り干し大根 20g 94㎎
ひじき(乾燥) 10g 140㎎
わかめ(乾燥) 5g 48㎎
しらす干し 10g 53㎎
煮干 10g 220㎎
まいわし 20g 280㎎
豆腐(木綿) 150g 180㎎
生あげ 50g 120㎎
納豆 50g 45㎎

  

◎カルシウムを上手に摂取するには
タンパク質・リン・ビタミンDのバランスが摂れてはじめて健全な骨になります。

≪タンパク質≫

骨格の構成成分です。丈夫な骨を形成し、ガッチリとさせます。不足すつとカルシウムの吸収が悪くなります。ただし過剰摂取は、カルシウムの排泄が多くなるので適量を守りましょう。1日に肉60~80g・魚1切れ・卵1個・豆腐1/2丁位が目安量です。

   

≪リン≫

カルシウムと協力して骨や歯の硬組織を形成します。リン、は色々な食品に含まれているので不足することはまずありませんが、過剰摂取の場合、せっかくカルシウムを取り込んでも吸収が悪くなったり利用されにくくなったりします。
カルシウム : リン = 1 : 1 もしくは 1 : 2 のバランスが好ましいとされています。加工食品やインスタント食品、ファーストフードなどは着色料・粘着料・酸味などの目的でリン酸塩という形でリンが多く含まれているので、気を付けましょう。

   

≪ビタミンD≫

腸壁でカルシウムの吸収を促進すると同時に骨へ沈着させます。ビタミンDが体内で合成される為には日光が必要です。普通に生活をしていれば特に問題はありません。

   
≪その他≫ ・日頃から胃腸に負担をかけないようにしましょう。多量の飲酒・喫煙・カフェイン・塩分摂取。
・こまめに体を動かしましょう。散歩や速歩きなど荷重をかけた穏やかな運動が効果的。

 

 

栄養士    高橋 広海             

前ページ < top > 次のページ