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NO.12

 

生活習慣病予防と特定保険用食品

'00.12月号

 

◆生活習慣病と特定保険用食品◆
現代人のライフスタイルが多様になっていて、
生活リズムやバランスが崩れていることが多くなっています。特に生活習慣の乱れが目立っています。
最近話題になっている「生活習慣病」とは、
その名前の通り日常の生活が素因となって様々な病気が発症し進行するもので、
心臓病、脳卒中、糖尿病、腎臓病、癌、高血圧、肝疾患、虫歯、歯周病、骨粗鬆症、貧血…などを指します。
これらは、食生活を整え栄養状態を適切に保つことができれば予防できるものですが、
生活が豊かになっている昨今では、食生活の乱れをなくすことは容易ではありません。
そこで、生活習慣病の一次予防に役立つ食品として「特定保険用食品」と言うものがあります。
偏りがちな食生活の状態を改善していくのに有用な食品ですので、
自分の健康状態を理解し活用していく事をおすすめします。

  

◆特定保険用食品の種類◆
医学や栄養面から、保険の用途や効果の表示を厚生省で認められた食品です。
※栄養改善法第12条により、厚生省が認可した食品
特別用途食品 特定保険用食品
病者用食品
妊産婦・授乳婦用粉乳
乳児用調整粉乳
高齢者食品

 

◆特定保険用食品の種類◆
@おなかの調子を整える食品

健康な状態の「便」が毎日規則正しく排泄される事。おなかの環境が健康に保たれる事を目的とした食品。
その他、大腸癌の予防や病原菌の侵入防止、コレステロール上昇抑制などの働きもあります。
厚生省から認可されている食品は3種類です。

オリゴ糖を含む食品
腸内で体に良いビフィズス菌を増やす。
消化吸収されにくいため、低カロリーで血糖値を上昇させにくい働きがある。
 
乳酸菌類を含む食品
乳酸菌は有害物質や発癌物質を抑える働きがある。
 
植物繊維を含む食品
「便」の材料となって、量をふやし腸を刺激し快便を促します。
腸内の余分なコレステロールや糖分などの吸収を抑え排便を促進させます。

A血圧が高めの人の食品
血圧の上昇を抑える成分「ペプチド」「杜仲葉配糖体」に含まれている食品です。

「ペプチド」…アミノ酸の結合体で、緩やかな血圧降下作用があります。
「杜仲葉配糖体」…副交感神経を刺激して末端の動脈の筋肉を和らげ血管を拡げて血圧を下げる作用があります。

Bコレステロールが高めの人の食品
血中コレステロールの上昇を抑える成分、大豆たんぱく質、キトサン、
低分子化アルギン酸ナトリウムが、含まれている食品です。
これらの成分には、腸内でコレステロールや胆汁酸を吸着して血液中に吸収させないようにしたり、
排泄を促しコレステロールの上昇を抑える働きがあります。

C血糖値が高めの人の食品
血糖に関係する成分として食物繊維の一種「難消化性デキストリン」が含まれる食品です。
これらは、インスリン(ブドウ糖が小腸から吸収される時にすい臓から出るホルモン)
の働きが不十分でも血液中にブドウ糖が残り血糖値が過剰に上昇するのを抑える働きがあります。

D虫歯の原因になりにくい食品
パラチノース、マルチトール、エリスリトール、還元パラチノースを甘味料として使用している食品、
又は、虫歯菌の増殖を抑える働きのある成分、
茶、ポリフェノールを加えている食品、両者の成分を合わせた食品。

E食後の血中中性脂肪が上昇しにくく体に脂肪がつきにくい食品
油の摂り過ぎ、余分な中性脂肪が蓄積され肥満や動脈硬化を進行させる原因となりますが、
「ジアシルグリセロール」と言う成分を80%以上含んだ食用油は、
食後の血中中性脂肪が上昇しにくく体に脂肪がつきにくい食品とされています。

Fミネラルの吸収を助ける食品
カルシウムの吸収を助ける食品として
「クエン酸リンゴ酸カルシウム(CCM)」と「ガゼインホスホペプチド(CPP)」という成分を含む食品があり、
鉄の吸収を助ける食品として「ヘム鉄」を含む食品があります。

CCM……食品に酸味料として利用されるクエン酸とリンゴ酸を一定の比率で配合したもので
             常にカルシウムが溶けた状態にあり吸収しやすくする作用。
CPP……乳タンパクから分離精製した成分で食物繊維等の成分がカルシウムと結合して吸収しやすくする作用。
ヘム鉄…許可を受けたヘム鉄は、畜肉動物のヘモグロビンを原料とし水溶性のヘム鉄で、
             吸収の良い状態にある。

 

栄養士    高橋 広海             

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