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NO.6

 

「疲れ」を蓄積させない体へ

'00. 6月号

 

  日々の生活の中で疲れやすさ、ストレスを感じることは、
多かれ少なかれ誰もが経験しているのではないでしょうか。
肉体的・精神的疲労の要因は日常いくらでもあります。
  少しの休息をとることで解決する場合もあれば、
疲労が完全に回復しないまま蓄積されてしまう事もあるのではないでしょうか。
  肉体的疲労とは、肉体作業を長時間あるいは長期にわたって続けた時に起こります。
この時、体内でエネルギー源となるグリコーゲンが減少し、エネルギー不足が起こり、
筋肉への酸素の供給不足によって筋肉疲労が起こります。
  精神的疲労とは、主にストレスで心理的・生理的にゆがんだ状態の事です。
日常生活や環境・職場などにおいて不安や心配事、悩み…とストレスを感じる事は多々あります。
ストレスを強く感じると、自律神経の働きでホルモン分泌が異常になり、
脈拍・血圧が上がりさらに血糖値も上がります。
  肉体的・精神的疲労は様々な病気の原因となり得ますので、うまく解消していくことが必要です。

疲労と栄養
@糖質を補給しましょう
疲れた時に甘いものを食べたくなるのはなぜでしょうか。甘いものには砂糖が含まれています。
砂糖は糖質で、糖質は体内でブドウ糖に変換し、エネルギーとなります。
余りはグリコーゲンという物質になり体内に貯蔵されます。
筋肉運動の激しい仕事やスポーツをする時のパワーは
体内に貯蔵されたグリコーゲンの量に比例するともいわれています。
しかし、疲れていると、このグリコーゲンも減少し、エネルギー不足が起こります。
糖質は速効性のある最も重要なエネルギー源ですが、糖質は何種類かに分かれます。
ご飯やパン等の糖質は分子量が大きく、砂糖は分子量が小さいのです。
疲れている時は分子量の大きな糖質をエネルギーに変換するよりも、
分子量の小さな糖質をすぐにエネルギーとして役立てようとする体の要求なのです。
また、糖質は脳や神経のエネルギーにもなります。脳のエネルギーが不足すると、
頭がボーッとしたり、時には意識を失ってしまうことさえあります。
日本人は主食が米で、総エネルギーの50%以上を穀物から摂っています。
毎日の食事は主食はご飯、そして30品目の食品を使ったおかずを食べるようにしましょう。

Aたんぱく質を摂りましょう
たんぱく質は体の構成成分として重要な栄養素です。
筋肉運動はもちろんのこと、ストレスがかかってもたんぱく質の必要量が増します。
肉や魚の運動性たんぱく質と、豆・豆製品などの植物性たんぱく質をバランス良く摂りましょう。

Bビタミン・ミネラルを補給しましょう
【 VB1 
糖質をエネルギーに変換するときに必要です。
不足すると、脳や神経の働きが鈍くなり、活力が失われます。
1日に必要所要量⇒男性 1.1r・女性 0.8r

小麦胚芽10g⇒0.21r   豚肉80g⇒0.6〜0.9r   卵1個⇒0.25r   大豆水煮80g⇒0.18r

【 VC 】
興奮や緊張があると、ストレスに対抗する副腎皮質ホルモンが分泌されますが、
このホルモンの生成・分泌を促進します。不足すると、脱力感を感じたり貧血を起こしやすくします。
ビタミンCはストレス、喫煙などで消費量が増えます。たっぷりと摂りましょう。
1日に必要所要量⇒男性・女性 100r

ホウレン草1/2束⇒100r  小松菜1/2束⇒110r  ジャガイモ1個⇒30r  オレンジ1個⇒80r  キウイ1個⇒70r

【 Ca 】
神経刺激を伝え、筋肉の収縮を調節します。不足すると、神経過敏を起こしやすくします。
カルシウムは吸収率が悪く、牛乳・乳製品で50〜60%、その他の食品で15〜30%程度ですが、
たんぱく質やビタミンDと一緒に摂ると吸収率が上がります。
1日に必要所要量⇒男性 600〜700r・女性 600r

牛乳1カップ⇒210r    ヨーグルト(プレーン)1カップ⇒230r    チーズ(プロセス)20g⇒130r
いわし1尾⇒340r  煮干5尾⇒220r  小松菜1/4束⇒200r  豆腐(木綿)1/2丁⇒180r

【 Fe 】
血液・筋肉中に含まれ、酸素を運びます。筋肉への酸素供給が不足すると、筋肉疲労の原因となります。
また、貧血症になります。鉄は吸収率が悪く、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」は20〜30%、
植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」は5%程度ですが、たんぱく質やビタミンCと一緒 に摂ると吸収率が上がります。
1日の必要所要量⇒男性 10r・女性 10〜12r

牛肉80g⇒1.8〜2.0r    豚レバー50g⇒6.5r    かつお1切れ⇒2.0r
煮干5尾⇒1.0r  あさり50g⇒3.5r  ひじき1食(8g)⇒4.4r  もずく50g⇒3.0r

C食欲不振を伴うときは、食べれるものを摂りましょう
食欲の無いときは、必要なエネルギーを確保しなければならないで、食べれるものを積極的に摂りましょう。
いつまでも食べないと一層食欲が抑えられてしまいます。

Dカフェインの摂りすぎに注意しましょう
コーヒーや栄養ドリンク剤を飲むと疲れがとれるのは、
カフェインが神経を興奮させることにより、持続力を増加させる働きがあるからです。
しかし、カフェインは摂取しすぎるとエネルギーを作り出す能力を低下させてしまうため、
カフェインの禁断症状としての疲労が起こり、さらに大量のカフェインを体が要求するという悪循環を及ぼします。
また、体内からビタミンB、ビタミンCを奪ってしまいます。ですから大量にカフェインを摂取することは避けましょう。

 

栄養士    高橋 広海             

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