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 レポート 085


風邪、インフルエンザ、肺炎
−見分け方と対処の仕方は?−
 
  
毎年、冬を迎えると、インフルエンザの予防接種が話題になります。さらにここ数年、肺炎球菌ワクチンの接種を勧めるテレビのCMも冬になると頻繁に目にします。近藤誠先生の著書『ワクチン副作用の恐怖』(文芸春秋刊)の中にも、肺炎球菌ワクチンは打っても打たなくても、肺炎球菌の死亡者数は変わらないという医療機関の試験データを列記しています。さらにワクチン接種を奨励して、年に100億円が製薬会社に流れているとも書いてあります。そこで今回は、インフルエンザ、肺炎といった菌やウイルスによる疾患について丹羽先生にお話しを伺ってきました。さすがに丹羽先生の診療所には単なる風邪やインフルエンザなどでいらっしゃる患者さんはいませんが、重篤な疾患の患者さんは、おのずと自己免疫力がおちていますから風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなるといいます。ですから予防はどんな方にも必要なことかもしれません。
 
   肺炎患者は年寄りばかりほとんどが誤飲性肺炎
 
―――最近、冬になるとテレビで肺炎球菌の予防接種を勧めるCMが頻繁に流れますよね。肺炎は日本人の死因の第3位だとか、65歳以上の人には自治体からの補助があるとか。肺炎というのは本当にワクチンで予防できるのでしょうか?
「肺炎が日本人の死因の第3位とはいっても、65歳以下の人が肺炎にかかる確率は極めて低い。ましてや普通に生活していて特病がなければ肺炎なんかそうかからない。肺炎はたいがい、手術をしたりして免疫力が低下しているときに、合併症のひとつとしてかかりやすいものです。例えば食道がんの手術をすると、術後に誤飲性肺炎を起こして亡くなる確率はすごく高い。それを肺炎で亡くなったとカウントするわけで、本当は食道がんの手術の術後経過が悪くて、とはカウントしない。肺炎なんていうものはほとんど年寄りがかかるものです。今の世の中、年寄りが多いんだから、かかれば死ぬ数も多いし確率も高い。当たり前のことです」
 
―――なぜお年寄りがかかるのでしょうか?
「そんなもの分かり切ったことです。免疫力が落ちる、筋力が落ちるからです。普通のお年寄りでもそうなのに、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの特病があって薬をいっぱい飲んでいるとなおさらです。薬の副作用もあって、免疫力が落ちる」
 
―――CMで肺炎球菌ワクチン接種に65歳以上は補助が出るといっていますが?
「肺炎ワクチンというのは、肺炎球菌という菌に対するワクチンで、しかもすべての肺炎球菌に効果があるんじゃない。年寄りは肺炎球菌のせいで肺炎になるよりも、誤飲からくる誤飲性肺炎のほうが圧倒的に多い。食事中に間違って気管支に食べ物が入ることです。若い人は入っても自力で強く咳をすれば大丈夫ですが、年寄りは咳き込む力が弱いから肺に食べ物が入ってしまう。

そうすると肺炎の原因になるんです。あと、年寄りは入れ歯が多いでしょ。あれも手入れが悪いと菌が肺に入る。すると肺炎を起こす。それと脳梗塞の患者さんなんかも嚥下障害といって飲み込む力がなくて肺炎を起こす。ワクチンとは関係なく起こる肺炎がほとんどです。だからワクチンさえ飲めば肺炎にかからないと思ってはいけない。だいたいワクチンというのは抵抗力をつけつためにその菌を少量体内に入れるものだから、元気なお年寄りはいいけど、病弱なお年寄りがワクチンなんかしたらそれこそ肺炎になってしまう。副作用もあるし、もう70、80歳になったらよけいな薬は体内に入れないほうがいい」
 
―――あのCMは製薬会社のCMで、自治体からのお知らせではないわけですよね。それに補助が出るといわれると、つい必要なことだと思ってしまいます。補助もひとり一回だけで、65歳、70歳、75歳、80歳〜と5歳おきで、それ以外の人は全額自己負担なわけですよね。つまり、65歳以上は一回だけ補助が出るというワクチンだと(各自治体によって違う場合もあります)。先生はこのような予防接種は?
「なんにもしません。実は今年のはじめに風邪から肺炎をおこしたけれど、その時も特に何もしなかった」
 
―――え?それで治ったんですか?薬などは?
「僕は風邪でもインフルエンザでも薬は飲まないんです。薬なんか効かないから。風邪もインフルエンザもウイルスであって、みなさんが医者からもらう風邪薬は抗生剤。菌に効くけどウイルスには効かない。もうね、風邪をひいたと思ったら、風呂には入らずに暖かくして寝ること。それにつきる。あとはこまめに着替えること。僕はいつも3枚くらいの着替えは手元に用意しています」
 
―――さすがに肺炎は大変なのでは?どうして肺炎だと分かったのですか?
「咳がなかなかひかなくて、痰が良く出ていたから、痰を調べたら肺炎だった。でも薬は飲まなかった。ま、SODをいつもより多めに飲んで、ビタミン注射を打っただけ」
 
―――SODはどれくらい?
「そのときは3g入りを30包くらい」
 
―――やはり風邪くらいで病院に行ってはいけないといいますが、そのとおりなんでしょうか?
「やっぱり休養がいちばんの薬です。無理して病院に行っ長いこと待たされたら余計に具合がわるくなる。しかし、お年寄りで高熱と咳、痰が3日以上続くようなら、それは病院に行ったほうがいいです。なぜかというと、そこから肺炎を起こす可能性が高いから」
 
―――見極めが難しいですね?
「とにかく、個人差はあるが、70歳過ぎた年寄りは2日、3日咳や痰、高熱が治らなかったら病院に行ったほうがいい」
 
―――では病院で処方された薬は飲んだほうがいい?
「それもケースバイケースです。病院に行ったほうがいいというのは、単なる風邪か、それとも肺炎を引き起こしているのか調べるためです。単なる風邪やインフルエンザなら、早く家に帰って、暖かくして寝ること。薬なんか効かないからいらない。食欲がないなら食べなくてもいい。水分だけ摂って寝ること。それが肺炎となると、病院でいろいろな処置をしてもらう必要が出てくる。痰が絡んでのどに詰まったらいけないから、吸引してもらったり、点滴や抗生剤が必要だったり、応急処置はしてもらわないといけない。でないと年寄りは咳だけで骨折して死んだりするからね」

 


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