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 レポート 069


高度先進医療
−注目の重粒子線、陽子線医療は有効か否か−
 
   高度先進医療、この言葉は、保険会社のCM等でよく耳にするようになりました。エックス線、放射線治療よりも高度ながん治療で注目を集めている粒子線治療などがその対象です。数百万円の治療費がかかる高額なものがほとんどで、しかも健康保険治療の対象外です(厚生労働省が認めた100余りの高度先進医療に限り、検査、入院などにかかる費用は保険対象。治療自体は自己負担)。
   そのため、各保険会社がこぞって高度先進医療保障を謳う商品を売り出したのです。また、著名な作詞家の方が、2012年にステージUの食道がんを、手術しないで陽子線治療という高度先進医療で取り除き、がんはなくなった、完治したと発表して話題になりました。陽子線治療は、水素の原子核、つまり陽子を非常に高いエネルギーをビーム状になるまで加速してそれをがん細胞に照射する治療だそうです。テレビ番組の中で語られた話では、身体にメスを入れないで、抗がん剤などの薬も使わないでがんを取り除く方法を模索したところ行き着いたのがこの治療法だとか。一日平均20分の照射を2週間で20回。この療法は、がんやその周囲、通過する部分も照射され、身体への負担も大きい放射線と違い、ピンポイントでがんだけを照射できるとか。その分、身体への負担や痛みも少なく、なによりもすぐに仕事に復帰できることが利点だそうです。
   いいことづくしに思える高度先進医療。それに関して、ぜひとも丹羽先生のお話を聞いてみたいと新横浜の診療所に伺いました。
 
   重粒子や陽子線も放射線と大差ない。がんは甘くない。過度な期待はダメ!
 
―――今日は高度先進医療のなかでがん治療に有効と言われ、話題になっている重粒子線、陽子線について伺いたいのですが、これらはどれくらい有効なんでしょうか?

「結論から言うと、あまり効かないですね」
 
―――いきなり効かないですか?
「理論上はがん細胞だけに効いて、すべて取り除けると言うし、身体への負担や副作用もあまりないから使ってもいいけど、効かないですよ。重粒子や陽子線が本当に効くものを照射したら、強すぎてショック死してしまいますよ。安全な範囲のものはあまり効かない。というか、取り除いても、やはりがんというものは甘くない。取りきれるものじゃない。必ず取りこぼしがあるし、転移もある。怖いのはそれです。がん細胞だけを勝手に察知して取ってくれるものではないのだから。人間がこことこことここ、といってCTなどで診て調べたところに照射するんだから。普通の放射線と変わらないです」
 

―――ただ、放射線よりも身体への負担が少なく、痛みもないと言いますが?
「それだけ。過度な期待は持ってはいけないです。末期のがんや広範囲に広がったがんには使えないし、本当のがんだだったら、5年以内に再発しますよ。再発しなかったら、もともとそれは放置していても大勢に影響のあるがんではなかったんです。本物のがんなら必ず再発、転移します。そのことは頭に入れておいてほしいです」
 
   先生は最後に「だから体の内側から免疫力に働きかける、丹羽療法がいちばん安全で効果的」とおっしゃいました。過度の期待、本当にそのとおりです。
   そして、先生にお話しを伺った数日後、前述した作詞家の方のがんが再発した、というニュースが飛び込んできました。ニュースによると、今回は手術もされたようです。とっさに丹羽先生が言われた「がんなら必ず再発する」の言葉が浮かびました。
 
※陽子…最も軽い元素である水素の原子核。
 

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