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 レポート 068


がん検診、人間ドックは必要か否か
−早期発見、早期治療は無意味−
 
   最近「人間ドックやがん検診などは受けないほうがいい」という記事や書籍を多く見かけるようになりました。今回は、これまで紹介してきた丹羽先生のインタビューの中でも反響の多かった、人間ドックやがん検診に関するお話をお届けします。
   この話題を取り上げようと思い立ったキッカケは船瀬俊介氏の著書『がん検診は受けてはいけない!?』という本でした。本書は森下敬一医学博士が推薦し、免疫学の安保徹学博士や『患者よ、がんと闘うな』で著名な近藤誠医学博士なども対談で参加しています。その目次だけでも衝撃の内容です。
「がん検診、受けた人ほどがんになり早死にする」
「エックス線写真が発がんを促す」
「がん検診は8、9割のシロをクロにする」
「がん死の8割は抗がん剤の副作用死」
「がんはあるのが当たり前。老衰死の8割にがんがあった」
「著名医師たちはがん検診を受けない」

   などです。
   加えて、がん検診のあいまいさ、誤診率の高さについても言及しています。検査技師によって30%以上も判断が違うとか。さらに、近藤誠先生は、がん検診で見つかる早期がんは、ほとんどが良性のがんもどき≠ネのに、それをがんと告知し、手術や抗がん剤治療、放射線とやっているうちに恐怖とストレスで本当の悪性がんに変化してしまうと言います。手術で身体にメスを入れると、免疫力が落ち、がんができやすい体質に変わってしまうのだそうです。
   そもそもがん細胞はどんな人間の身体にもあるもので、それがストレスや生活習慣などで大きくなったり小さくなったりしているのだそうです。実際に、がん検診を真面目に受けている人ほど、受けていない人よりもがんで死亡する率は、はるかに高いというデータが出ているそうです。
   日本は無類の検査検診国家と言われ、世界中のCT装置の3分の1以上が日本にあるそうです。国中を検診車が回っているのも日本だけ。会社に入れば強制的に検診を受けさせられるのも日本だけ。検査技師は新人の医師にあてられ、質は低くならざるを得ないのだそうです。
 
   医師で作家の久坂部羊先生も、「がんは転移すると死につながるというので、見つけ次第、手術をするのが安全のように思われているが、細胞レベルの転移はかなり早期に起こるので、がんと診断された段階で、生死はすでに決まっているという説が、最近、世間で注目されている。早期がんでも転移再発があることや、がん検診でがんの死亡率がほとんど下がらないことなどが、その根拠とされる。また、乳がんは、手術後の再発を早く見つけても、症状が出るまで放置していても、余命は変わらないことがランダム化比較試験で証明されているので、手術後の定期検診は意味がないとされてる。今の日本の医療は、とかく安全を重視するので、先のことを考えすぎて過剰になりやすい。念のためという発想で、患者のみならず健康な人までも、過剰な医療でがんじがらめにしている」
 
   私たちは、ずっと、がんは早期発見、早期治療。検査さえしていればがんは助かるものと思わされ続けてきました。また、早期発見で手術をしたから助かった人々の話も山ほど聞いてきました。だから、健康を自負していても年一回の検診を受けてきました。
   しかし、近藤先生は言います。「早期発見、早期治療が効果的、というのは思い込みです。5年生存率というのは、5年間生きていた人の割合であって、6年目に亡くなった人のことは関係ないのです。さらに検査機器の進歩によって、早期発見の時期が早まったのです。おのずと5年生存率は前倒しになります。ゴールは変わらないのに、スタートが早くなっただけのことです。寿命が本当に伸びたわけではないのです。これは一種のトリックです。その証拠に、がんで亡くなる人の数は減っていないのです。検診が発達して、がんの発見数は増えているのに、がんで死亡する人の比率は1960年以降、ずっと下がってはいません。早期発見、早期治療で本物のがんが治るようになったのなら、がんの発見数に反比例して、がんで亡くなる人も減るはずです。それは、5年以降にがんで亡くなる人が大勢いるということです」
 
   さらに、がんは自覚症状もなく検診で見つかったような場合は、ほとんどががんもどき≠セから、わざわざ手術をする必要はないそうです。本物のがんの場合は、切り取ったとしても転移が出てくるので、これも手術をする意味がないとか。だいたい手術をすると※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が低くなるし、合併症の危険が高く、かえって命を縮めてしまうから、本物のがんでもがんもどきでも固形がんは手術をしないことが最善の方法だと言います。つまりは、あえて、がんかがんもどきかを見極める必要もないということかもしれません。
※「生活の質」。日常生活を充実させ、幸福感や生きがいをもって人間らしく満足して生活すること。
 
   では、丹羽先生は、このことをどのようにとらえているのでしょうか?
 
   検査は、病気でもないものを病気にさせてしまうもの
 
―――最近、がん検診や人間ドックはうけないほうがいいという医師たちの話を聞くのですが、先生はどのようにお考えですか?
「検診でいちばんいけないのは、レントゲンやCTです。これらはエックス線、つまり放射線だから、被ばくしたことと同じなんです。検査程度だから大丈夫なんじゃないかと思うのは大間違い。病院のレントゲンは直接投影だからまだましですが、レントゲン車のレントゲンは間接投影装置で、直接の5、6倍の放射能被ばく線量なんです。しかも画質が悪く、精度が低い。こんなものでがんが分かるわけがない。病気になり、治療のために検査をしなければならないとき、エックス線やCTは、ある程度、仕方ないけれど、健康診断や人間ドックで年に1回も2回もやるのはどうかなと思う。だいたい、集団検診のような精度の低い検査でがんが分かったときは、もうおしまいですよ。胃カメラなどの検査はまだいいが、バリウムを飲んでやる検診のエックス線なんか意味がないです」
 
―――集団検診の検査技師はがんの専門家ではないから、ちょっとした影でも異常と言われてしまうとか?
「だいたいがんを見つける技術は非常に高度なんです。専門家が見てもそれぞれに判断が違うことが多い。それを集団検診で影があるから再検査と言われても、ほとんどがシロをクロと言われているようなものです。人間は精神的に弱い生き物ですから、動揺するとストレスで胃に穴が開いてしまうことも多い」
 
―――病気ではないのに、検診で病気にさせられることもあると言うことですか?
「そのとおり。まずエックス線の放射能で被ばくし、精神的ストレスとセットでがん発症となる可能性は高い」
 
―――医者はほとんど健康診断は受けないと聞いたのですが、本当ですか?先生は受けていますか?
「医者が健康診断などを受けないのは本当、常識です。僕もまったく受けません。血液検査すらしない。医者はみんな、病気でもないのに検診などやっても意味がないことを知っています。こんあ検査で何か重病が分かるようなら、もう終わりなんです。そんなことよりも、普段の生活習慣にちゃんと気をつけているほうが、ずっと効果的です。検診を受けたがる人というのは、検診や人間ドックで異常なし、という安心がほしいんです。だいたい集団検診というシステムがあるのは日本だけですから。そしてその検診を受けているほとんどの人が、普段でたらめな生活を送っている。でたらめだという自覚があるから心配で受けているんです。そして検査で異常がなければ、また無茶をするんです。そうやって大丈夫と思っていると、ある日ドーンとくるんです。その時にはもう手遅れです。検査や数字に頼りすぎて、ちゃんと自己管理ができていないから、自分の身体と向き合わないから、ダメなんです」
 
―――早期発見、早期治療と言われ続けてきましたが?
「だから、集団検診や人間ドックなどで初期のがんなんか見つからないんです。再検査を勧められ、精密検査をして見つかっても、そのほとんどが悪性のがんじゃないんです。例え悪性のがんだとしたら、もう手遅れなんです。早期発見で助かったという人はみんな良性で、放っておいてもなんにもないのです。余計な手術で免疫力が落ち、リスクが増しただけ損なんです。なんでもないのに撮影のミスで再検査され、エックス線の繰り返しとストレスでがんができて、手術と抗がん剤で死ぬことになる。また、悪性は西洋医学ではどんなに早期発見でもダメ。そんなことにお金を使って、しんどい想いをする必要はないんです。SODを飲んで、ちゃんと睡眠をとって、適度な運動をして、肉乳製品はなるべく控えた食生活を送ること。運動する時間がないならひとつ手前の駅で降りて歩け!」
 
   やはり納得の痛快なお話でした。
 

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