一般的に、がんによる死亡を減らす方法は、がん検診で転移していない早期発見のがん細胞を手術などで取り除く方法があります。この場合は丹羽先生も心臓から遠いがんや、内臓の外にあるがんは適切に切除すれば完治することが多いといいます。
しかし、他の臓器への転移が、胃がんで5%、肺がんで25%見つかっているそうです。顕微鏡でしか発見できないような小さな転移はもっと頻繁に起こっているといいます。つまり、検診で見つけた段階でも確実に治せるとは限らないようです。いくら早期発見、早期治療を行っても、がんにかかる人を減らすことは難しいといえます。
手術はがんをなくすという目的においては有効な治療法なのでしょうが、画像検査などで確認できる、目に見えるがんだけに対する治療法だといいます
がんはそもそも目に見えないがん細胞の集合で、健康な人の体内にも存在するものだとか。それがストレスや寝不足、過労、生活環境などの要因や遺伝的な遺伝子異常などで増殖し、いわゆるがん発症になるとか。だから手術などで切除しても、目に見えないがん細胞まですべて取り除くことができる、とは言い切れないそうです。
恐いのは、取り切れなかったからではなく、残った微小ながん細胞が、時を経て増殖し、再び目に見える状態まで大きくなる「再発」だと丹羽先生も言います。再発の期間は通常、数ヶ月から数年の月日を要します。よく、手術から5年経っても再発しなければ、無罪放免といいます。
今回は丹羽先生のインタビューを交えながら、この「再発」にスポットをあててみました。
再発予防、病院でできることには限りが!
がんの手術をしたあとは、やはり再発が心配です。そこで病院ではどんな再発予防の処置をするのか調べてみました。すると、やはり、大半の病院が、残っている可能性のあるがん細胞を抗がん剤や放射線でやっつける治療法でした。
その点を丹羽先生に聞いてみると、
丹羽
「そもそもがんにかかる人は、ストレスや過労、生活習慣病などで身体の免疫力が衰えているんです。そこへ抗がん剤や放射線などをやったら、よけいにがんを増やすことになる。いいんですが、抗がん剤や放射線は、人間の健康な細胞も叩くんです。人間の健康な細胞とがん細胞、強いのはがん細胞なんです。そのがん細胞を叩くために健康な細胞も叩く。残るのは抗がん剤に打ち勝った強いがん細胞です。それが抵抗力のなくなった人間の体内でどんどん増殖していく。ばからしいことです。抗がん剤や放射線はだめです。それをするなら免疫力をつける努力をしなさいと。免疫力があれば、多少のがんは消えていくんです。抗がん剤が原因でがんが再発する事例は枚挙にいとまがないくらいありますよ。どうか気をつけて下さい」
ということでした。つまり、せっかく早期発見できて手術も成功したのに、その後の処置次第で運命は大きく変わるかもしれないということです。とはいえ現在の西洋医療の医者が行えるのは、薬や放射線などを使ってがん細胞の増殖を抑えることが中心になるそうです。それ以外の再発予防方法は、代替医療と呼ばれ、日本の医学部では教えてくれない事、健康保険を使って行うことができない、臨床効果の証明(エビデンス)が十分でないことなどの理由により、医者が行う事はほとんどないそうです。もちろん、タバコはやめましょうとか、軽い運動を毎日しましょうとか、野菜をたくさん摂りましょう、といった、誰もが認知しているようなアドバイスはしてくれます。
代替医療の中にはがんの再発予防や治療に有効なものもたくさんあり、これらを適切に使用すれば、防ぐ事も可能だと言われています。よって、医者が指導してくれない以上、自分で勉強しなければなりません。がんの種類、体力や体質、食生活や生活習慣、住環境、職業などによってがん再発予防のために必要な方法はそれぞれ違うでしょう。
食事や代替医療で予防
ここに代替医療に詳しい、銀座東京クリニックの院長、福田先生(国立がんセンターで漢方を用いたがん予防を研究)の著書から、再発を予防するための食品などを箇条書きで紹介します。
1.肉食をやめて野菜を多くとること、これががん予防の基本
2.青み魚に含まれるDHAは、がんをおとなしくさせる
3.大豆製品(納豆、味噌、豆腐など)のイソフラボンはがんの発生と再発を抑える
4.アブラナ科野菜(キャベツやブロッコリー)は抗酸化力と解毒能力を高めて抗がん力をつける
5.ショウガはがん細胞の増殖を抑制する
6.ニンニクやその仲間(ニラ、ネギ、らっきょうなど)のニオイ成分にがん予防効果がある
7.キノコ類に含まれるベータグルカンは免疫力を高めがんの増殖を押さえ込む
8.柑橘類はがん予防物質の宝庫
9.緑茶はカテキン類やビタミンCなど抗酸化物質の宝庫(ただし飲む過ぎに注意)
10.高麗人参はがんに対する抵抗力全般を高めてがんの再発を防ぐ
11.ウコンに含まれるクルクミンは抗酸化作用と抗炎症作用によってがんを予防する
12.中国の民間薬の百花蛇舌草と半枝蓮はがんの治療や再発予防に使われている
13.サメ軟骨やサメ肝油は腫瘍血管の新生を阻害してがんの発育を抑える
14.温泉は血液循環の改善やリラクゼーション効果により体の自然治癒力を活性化する
15.体力に合った適度な運動はがん予防する
16.マッサージで血液とリンパの流れを良くすると治癒力が高まる
17.がん再発を促進する不安や抑うつ状態を軽減するアロマテラピー
18.がん患者会を利用してがんと闘う心の強さを養う
19.気功(内気功)は心身の歪みを調整して自然治癒力を高める
20.漢方薬や効果のある健康食品は臓器の働きを調和して治癒力を活性化してがん体質を改善する
21.鍼灸は生体の恒常性維持機構を利用して体の歪みを正す
いくつかの再発予防の参考資料がありましたが、これも丹羽先生がよくおっしゃるのは「ひとつではいけない」ということです。きのこがいいからときのこばかり食べ、肝心の食事のバランスが崩れていては意味がありません。予防できる食品や方法は多ければ多いに越した事はないといいます。
再発予防に必要なのは「努力」、寝不足がいちばん危険
ここで丹羽先生に伺った再発予防の話を紹介します。
丹羽「がんの再発は、発症と同じ原理で起こります。まず、体質。次に生活環境や食生活、自己管理、なかでもいちばん再発しやすいのは、寝不足、過労、ストレス。これらがいちばんですね。みなさんは食生活や環境汚染などを気にしますが、実はいちばんいけないのがこの3つです。80%がこれだといっても過言ではない。おばあちゃんが倒れて寝ずの看病、おじいちゃんの介護と仕事、と平均睡眠3時間が続くと一発です。
これはね、うちの病院(土佐清水病院)にがんで入院してきて、九死に一生を得て退院された患者さんの例が物語っています。退院して大丈夫と思ったら、何人かがパタパタっと再発して、亡くなられています。話を聞くと、全員、寝不足、過労です。うちの病院は保険治療ではないから、入院治療費も高いです。3ヶ月入院すると70〜80万円かかります。だから退院したら治ったと思って油断して、がんばって働いてしまうんです。無理をしてしまうんです。
とにかく睡眠がいちばん。これだけは絶対にとってください。どんなに忙しくても寝るだけは寝ること。睡眠不足が続くと、どんな病気も発症する可能性があります。逆を言えば、ストレスはよく寝れば取れるんです。少々忙しくても寝ることだえできれば疲れも取れる。
だから、僕は寝不足には特に気を遣っています。寝不足だと脳がちゃんと働かないから、診察や研究なんかできませんよ。5時間だはだめ。6時間半でやっとこさ。基本の睡眠時間は7時間。それで7時間半から8時間眠れると、人の3倍は働けますね。患者さんが百人いても、二百人いても診察できます。あのね、僕がどうして毎晩、タンニングを欠かさずにしていると思う?決して好きで走っているわけではないんです。ちゃんと眠るために走っている。努力をしているんです。人間、年とともに眠りの質はどんどん悪くなっていく。これが老化なんです。病気の元なんです。どれを避けようと思ったら、やっぱり努力が必要。年をとればとるほど体を動かさないといけないんです。
僕が80歳になってもこれだけ元気でいられるのは、人にはわからないところで努力をしているということです。食事も、食べたいものを食べないでがまんしてますよ。肉乳製品はたまに少し食べるだけ。
がんになった人は、なおさら努力をしないといけない。医者は努力の手助けまではできない。自分で守るしかないんです」
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