ホーム丹羽療法 治療レポート > アトピーの塗り薬でがんに! −丹羽先生は8年も前に警鐘−
 

 レポート 041


アトピーの塗り薬でがんに!
日本でも処方されているプロトピック
−丹羽先生は8年も前に警鐘−

 
   2010年の3月下旬、毎日新聞に「アトピー塗り薬 米で子供46人がん」という見出しの記事が掲載されました。その薬は、日本でもアステラス製薬(2005年に山之内製薬と藤沢薬品が合併)から販売されている「プロトピック(注1)」とスイスのノバルティ社の「エリデル」(日本未発売)という薬です。
   いずれもステロイドに代わるアトピー性皮膚炎の新薬として開発され、2000年以降に使用され始めたものです。
   記事によると、これら2種類のアトピー性皮膚炎治療薬を使ったアメリカの子供が2004年1月から2009年1月の5年間に計46人が白血病やがんなどを発症し、このうち4人が死亡したとFDA(アメリカの食品医薬局で日本の厚生労働省にあたる機関)に報告されていることが分かったそうです。
   ふたつの薬はいずれも免疫抑制作用があり、FDAによると、0歳から16歳でプロトピックを使った15人、エリデルを使った27人、両方を使った4人の計46人が皮膚がんやリンパ腫、白血病を発症したのです。このなかで50%は、添付文書に「使うべきでない」とされている2歳未満。41%が安全性が確率していないと注意喚起されている1年以上の長期使用者でした。また、プロトピック使用後にがんになった子供の26%は、有効成分濃度が0.03%の子供用ではなく、濃度0.1%の大人用を使っていました。
   FDAは5年前の2005年にも発がんと関連する恐れがあるとして使い方に注意するように呼びかけていたのです。
   といのが今回、毎日新聞に掲載された記事の内容でした。そのなかに、5年前にすでにその危険性を呼びかけていたといのは、その頃からなんらかの副作用が発覚していたことになります。そこで調べてみましたら、なんと、7年前、2003年の10月の読売新聞に、以下の記事が掲載されていました。
   『アトピー治療薬プロトピック 副作用で悪性リンパ腫』という見出しの記事を以下抜粋します。
   アトピー性皮膚炎の免疫抑制剤『プロトピック軟膏』(一般名タクロリスム)による治療を約3年間受けていた奈良県の少女(16)が、がんの一種の悪性リンパ腫(注2)を発症したことがわかった。少女は以前から悪性リンパ腫だった可能性があるが、プロトピックは悪性リンパ腫などのがんを増やす可能性があることが、メーカーの動物実験データなどから指摘されている。診察した医師のひとりは「薬の影響で症状が急速に進んだ可能性がある」とみて厚生労働省に副作用として報告。同省は診療経過などの調査を行う。
   母親らによると、少女は1997年ことから大阪府内の病院で主にステロイド剤による治療を受けていたが効果がなく、2000年6月からプロトピックを併用した。当時は成人用しかなく、主治医は「本来、子供には使えないが、効くかもしれない。顔だけに塗る」と説明したという。
   先月、兵庫県内の病院の検査で悪性リンパ腫と診断された。そのなかでも皮膚に症状が出る「セザリー症候群(注3)」の疑いが強いという。
   プロトピックを処方した大阪の病院によると、少女は最初に入院した'97年末、体内のリンパ節が腫れており、別の専門病院の精密検査でも悪性リンパ腫の疑いを指摘されていたが、発疹や血液中の異常が一時消えたため「ウイルス感染などが原因だろう」と説明していた。当時の担当医は「悪性リンパ腫だった場合に悪化の可能性はあるとは思っていた」という。
   少女の母親は「医師には薄く塗れ≠ニ言われたが、娘は治りたい一心でたくさん塗ることが多く、体にも塗った。まさかがんになるなんて」と話している。
   成人用プロトピックでは因果関係は不明確ながら、海外では悪性リンパ腫3例、皮膚がん3例の副作用報告がある。今年(2003年)7月に小児用が承認された際は、★発がんの可能性を添付文書で警告する ★処方はアトピー専門医に限る ★使用患者の長期追跡調査 ★さらなる動物実験 が条件になった。
   副作用報告をした京都市の0島津医師は「皮膚に現れる小児の悪性リンパ腫は初期の診断が難しく、重症のアトピー性皮膚炎とされることも多い。免疫抑制剤を使うと免疫力が落ち、潜在しているがんが急速に進行する恐れがある」としている。

 
   狼(ステロイド)が恐いと言っていたら
   ライオン(プロトピック)が出てきた!
 
   7年も前にこういう事例があり、さらに厚生省からの指導等があったにもかかわらず、今年に入って「米で子ども46人がん、アトピー塗り薬」という記事が表に出ました。
   そこで丹羽先生にお話しをうかがってきました。
 

―――先生、プロトピックで発がんという記事が出ましたが、どのように?
「僕の言ったとおりのことが起こっているんです。僕が8年前にジュネーブで行われた国際皮膚科学会の講演(注4)で警告したんです」
 
―――どのような?
「プロトピックを実際にマウスに塗って実験をした結果を発表したんです。理論上ではみんな発がんの危険性があるとは言っていたが、実際に実験をして結果を出したのは僕が世界で初めて。100匹中10匹に発がんが認められたことを発表したんです。その論文を見てアメリカのFDAが実際に実験をした。そうしたら本当に悪性リンパ腫が出たんです。それが7年前の新聞記事ですよ」
 
―――プロトピックというのは、今も日本ではアトピー治療薬として処方されていますが、その危険性というのはなんらかの形で警告されているんでしょうか?
「まったくされていない。処方にあたっての注意程度。それも患者さんにはまったくされていない。アトピー性皮膚炎10人中3人は使っているはずです。皮膚科に行ってアトピーだと言えば普通に処方してくれますよ」
 

―――それでいいんでしょうか。ネットにプロトピックを使用している方の話が出ていたのですが、お医者さんからプロトピックはステロイドと違って副作用がないからいいですよ、と言われたと。プロトピックとステロイドはどう違うんですか?
「医者もろくに知らないことが多い。ステロイドよりもいいなんてばかなことがよく言えたものです。要は、ステロイドの副作用が恐い恐いというのが一般にも浸透してきたからプロトピックが開発されてそれを使うようになったんです。狼が恐いと言っていたら狼よりももっと恐いライオンが出てきたようなものです」

 
―――えっ、ステロイドが狼ならプロトピックはライオンですか?
「そう。いいか、ステロイドはがんにはならないんです。しかしプロトピックは10人中ひとりはがんになるんです。プロトピックというのはもともと免疫抑制剤で、臓器移植の拒否反応を抑えるために飲ませるものなんです。肝臓移植をしたら必ずこれを飲ませる。アメリカで肝臓移植をしてプロトピックを飲んでいた患者さん千人を7年間追跡調査したら、100人が食道がん、胃がんなどのがんで亡くなっていたんです。僕のマウスの実験もいっしょ。100匹中10匹ががんになった。免疫を抑制するのだから当たり前の結果です」
 
―――そんな危険なものだったんですね。日本でももっと厳しく注意しないといけないのでは?
「日本はしないね。厚生労働省のガイドラインを見ると、ステロイドは短気集中、プロトピックは長期用となっているくらいだから。いろいろ妨害が多いし、厚生労働省からの天下りも諸関係機関には多いから、できないと思いますよ」
 
   という恐ろしい事実。プロトピックのことだけでなく、私たち患者側はしっかりと薬の副作用の恐さを認識しておかなければ自分の身は守れないということです。化学薬品というのは即効性があり、外傷やウイルスによる伝染病など、時にはとても必要な役割を果たしてくれます。しかし、常用、多用すれば必ずどこかしらに弊害が出るということを改めて知らされました。特にいつも先生がおっしゃっている、命を取らないような病気に化学薬品を多用するな、です。 
 
注1:プロトピック
臓器移植時の拒絶反応を抑える免疫抑制剤「タクロリムス」を外用薬に転用したもので、1999年6月に濃度0.1%の成人用が承認され、ステロイド剤を使えない顔などに使われている。0.03%の小児用は2003年に承認。
 
注2:悪性リンパ腫
悪性リンパ腫とは、白血病や骨髄腫と同じ血液・リンパのガンである。リンパ節や胸腺、扁桃、脾臓などのリンパ組織に腫瘍ができたり、リンパ球がガン化する。悪性リンパ腫は、腫瘍の組織的な違いから、大きく分けて「ホジキン病」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられ、その中でも細胞の種類(B、T、NKなど)があり、腫瘍細胞の増殖の仕方や、がん細胞の形などから、30種類以上のタイプ(濾胞性、びまん性、マントルセル、等)に分類される。タイプが多い上、病期(T〜Wまでの進行度)や年齢、状態などで、同じ悪性リンパ腫でも治療が異なり、素人には理解するのが、難しい分野と言われている。(医者でも専門の血液内科以外はそんなに知識のない人が多く、早期の発見は難しいと言われている)

 
注3:セザリー症候群

皮膚の悪性リンパ腫の一種で、全身が赤くなり痒みが出現し、発熱とリンパ節腫脹も伴う疾患。フランスの皮膚科医アルベール・セザリーが報告した。
 
注4:国際皮膚科学会

この学会は国際皮膚科学会でも最も権威のある総会で、40年前から毎年一回、開催されています。ここには世界でも一流の学者が論文を応募しますが、なかなか採用されず、90%以上の人がポスター掲示で終わります。

そんななか2002年スイスのジュネーブで開催された32回大会で丹羽博士の論文が初めて講演に採用され、その後のPlenaly session(参加者全員が出席を義務付けられている会)での総会講演に指名され、講演しました。この権威ある超一流の国際学会での日本人総会講演指名はほとんどない中での指名なので、丹羽博士は20年にわたる研究結果の発表、自然回帰による丹羽療法の考え方や実践、また、科学療法、化学薬品に対する警鐘を世界にアピールしました。

 


135