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レポート 034 |
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がん 再発・転移、その見極めと生存率 | |
−再発予防にはやはりSOD− | |
がん、悪性腫瘍というのは、正常細胞や組織を破壊しながら増殖を繰り返し、さらに血液やリンパの流れに乗って離れた臓器へ飛び、新たな腫瘍を作ります。これを転移といいますが、がんというのは、こうして正常な人間の組織を破壊し、他の臓器への転移、再発を繰り返しながら無限に増殖し続け、最後には宿主である人間を死なせてしまいます。 WHO(世界保健機関)によれば、2005年の世界の5800万人の死亡のうち、悪性腫瘍による死亡は13%(760万人)を占めています。死亡原因となった悪性腫瘍のうち、最多のものは肺がん(130万人)で、胃がん、乳がんなどが続いています。悪性腫瘍による死亡は増加し続け、2030年には1140万人が悪性腫瘍で死亡すると予測されています。日本では1981年から死因のトップになり、2006年は死因の3割を占めています。現代人にとってがんは避けて通れない疾患なのです。 がんが恐ろしいのは、そもそも再発、転移する特質を持っていることです。がんは、発見されたときのステージにもよりますが、進行するに従って生存率が低下するということが証明されています。そしてがんは、がんと診断された時点で転移の可能性を否定できません。毎年、50万人もの人ががんと診断され、そのうちの30万人が死亡しているという状況は、治療を行ったにも関わらず、転移、再発によって生存率が低下しているためとも言えます。 通常、がん治療の基本は、外科手術でがん細胞を切り取ってしまうことです。手術によってがんが完全に切除できたと言われると、患者さんの多くは治ったと思われますが、がんが他の病気、例えば外傷などと違うことは、手術がうまくいったと思っても、何割かの人は数年後に再発する危険性が残っているということです。 今回は、その再発、転移について丹羽先生にお話をうかがってきました。 手術で取り除いた腫瘍の中あるがんの数で 再発の可能性が分かる ―――最近、周囲で乳がんの再発、転移が多く、今も手術はできかけれどいつ再発するかとびくびくしながら生活しているという現状が多いと思うのです。そこで、先生に再発、転移についてうかがいたいのですが、再発するかしないかの見極めといのはできるのでしょうか? 「乳がんというのは、僕の本『がん治療 究極の選択』のなかにある抗がん剤で治るがん、治らないがんの表(図1)で見ると2番目にあたるがん。2番目は、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、精のうがん、前立腺がんというのでも分かるように体の中心から離れたところにあるがんで、乳房は中心にあっても心臓などの臓器とは壁を隔てている。これらは、早めに手術をして、それが転移していないと分かって、手術ですべてを除去できたら大丈夫なんです。しかし、手術ですべて除去できたから成功ですと言われたのに、1、2年後に再発する例も、1割くらいいる。これはどうしてかというと、除去したといっても、肉眼では分からないがんが残っていたりするんです。当然、手術の前には様々な検査をする。組織を調べ、CTも撮って細部のがんまで写し出す。ところが、そのCTにも写らない見えにくい部位にがんができていることがあるんです。手術したときに分からなくて取りきれなかったもの、これが1、2年で出てくるわけだ。これはもう避けようがない不可抗力。今の医学ではどうしょうもない。だから5年間、再発がなければ大丈夫というんです。5年というのがひとつの目安。特に表の2番目のがんは、手術で取りきれて、5年再発がなければ大丈夫と思ってください。 次に表の4番目。ここには肺がん、胃がんなど、短期間しか延命しないがんとして列記されていますが、これは、抗がん剤治療では効果がないがんと言う意味でもあります。しかし、これも、手術をしてすべてのがんを取りきれて、致命的なところのどこにも転移しないで5年以上生きられたら、大丈夫です。致命的というのは、例えば乳がんなら肺への転移はいかんね。あと、リンパ腺への転移もいかん」 |
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―――リンパを伝っていく転移は、前もって分かることはないんでしょうか? 「乳がんの転移で、ひとつ、助かるかそうでないかが分かる方法がある。肺がんなどはだめだが、乳がんは手術のとき、乳房の周りをぐるっと切除する。その手術をしたあと、リンパ腺へどれくらい散っているか、近くのリンパにどれくらいきているかを調べれば分かるんです。だいたい10個のリンパ腺の腫瘍を除去したとして、そのなかの何個ががんになっていたかを調べるんです。それが3つ以上あると再発、そして死ぬ確率が高くなりますね。2つ以内なら大丈夫」 ―――それはお医者さんで教えてもらえるのでしょうか? 「今は、10人中5人のお医者さんは、こちらが聞く前に教えてくれるものだけど、教えてくらなかったら、リンパ腺にがんはどれくらきていましたか?と聞くのがいちばんいい。乳がんではこれは常識だから」 ―――乳がんが再発した時点で、抗がん剤治療等をやめ、丹羽療法を選択すれば効果はどれくらいあるのでしょうか? 「10人中8人は助かる。その代わり、再発が分かったらすぐに僕のところに来ること。そうでなく抗がん剤治療等を選択した場合、まず可能性はなくなるでしょうね。あと、手術の話になりますが、がんの手術は、どんな大きな岩みたいながんでも、可能な限り取りきることが大事です。浸潤といってがんが胃から肝臓などにしみこんでいるように広がっているものは、手術ではなかなか取りきれない。その場合、取り切れないからといって、胃だけ切って閉じたりするヤツがいる。それは絶対にしてはいけない。取るならすべて取る。これ以上取ったら膜が破れて危ないとかいって一部を残すなんてことしたら、すぐに死ぬ。転移で周りに散っていて取りきれないからといって手術を途中でやめて残すと、あっという間にダメになる。もしも乳房に乳がんがあって、切除手術をしようとしているときに肺に転移がむつかったら、もう乳房も切らない。これが原則です。多臓器転移は取らないのが常識。それをわからずに中途半端に切ってしまう医者もいるから、よく見極めてください」 |
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国際医学雑誌に『丹羽分類』として発表 今年に入ってから講演などで丹羽先生がおっしゃっていた国際医学雑誌への論文掲載がいよいよ本格化しています。今回ご紹介した『がん治療 究極の選択』の表はとくに評価が高く、欧米の医学会で大きな反響を巻き起こすことは間違いないとのこと。先生曰く、「がんをこういう表に分類した医者は僕だけらしい。といのは、これまで、外科の医者は肺がんだけ、婦人科の医者は乳がん、子宮がんだけ、消化器系の医者は胃がん、大腸がんだけしか臨床結果を出していない。僕のようにすべてのがんを治る治らないで分類したのはいないんだ。しかも、2500もの症例も例がない。というのは、これまでみんな各ジャンル別にしか情報交換がなく、それもどの抗がん剤が何ヶ月延命できた、できないというような無意味な情報交換ばかりだったんだな」 この丹羽先生の分類は画期的と好評で『丹羽分類』として早ければ年末、遅くとも来年春までに国際医学雑誌に発表されることになりました。掲載されたらいち早く特集を組む予定です。お待ち下さい。 |
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