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 レポート 015


予防接種は有効か
今年もインフルエンザの季節
 
  
冬になると毎年、インフルエンザの流行が気にかかります。冬場はどうしても空気が乾燥し、のどの粘膜を防御する機能が落ちるためウイルスが吸着しやすくなってしまいます。
   流行の期間は通常11月下旬から翌年の春頃までですが、近年は沖縄で夏からインフルエンザが流行しています。原因は、地球温暖化にの影響で亜熱帯型の流行がパターン化していることがひとつ。もうひとつは、クーラー等により室内が低温、乾燥しているためだそうです。確かに台湾や香港などの熱帯地域では室内の冷房温度が異常に低く設定されています。そう考えると、厚い沖縄でインフルエンザというのも納得できます。
   このインフルエンザ、風邪の症状と似ているため重症化するまで病院に行かないことが多く、お年寄りや乳幼児などは死にもつながります。普通の風邪の症状は、のどの痛み、鼻汁、くしゃみ、咳などが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほどは高くなく、暖かくして発汗することで熱は下がります。
   しかし、インフルエンザの場合は、38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が強く、あわせて風邪と同様ののどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発し、重症化することがあるのもインフルエンザの特徴です。
   また、昨年はインフルエンザに感染したあとの治療法で、特効薬と言われているタミフルの副作用がクローズアップされました。特に10代が服用すると異常行動をおこす可能性があり、マンションから飛び降りて死亡するといった事故が多発しました。
   治療には必要に応じてタミフルが処方されますが、患者さんからの希望や医師の診断でタミフルを飲む必要がないと判断し、タミフルを服用せず治療する場合もあります。
   タミフルの服用を希望する場合は、48時間以上経つとあまり効果が見られないので、急激な発熱・関節痛など、インフルエンザのような症状が出始めたら、なるべく早く病院にかかることでしょう。
   さて、このインフルエンザの予防ですが、最も効果的とされているのが流行前のワクチンの予防接種です。そこで、今回、ワクチン接種について丹羽先生にお話をうかがってみました。
 
―――今年もインフルエンザの季節がやってきましたが、やはり予防接種というのは効果的なのでしょうか?
「そもそも予防接種というのはインフルエンザならインフルエンザ、日本脳炎なら日本脳炎のウイルスを、能力をを落としてちょっと入れるんだ。それを弱毒化と言う。例えば1000くらいあるウイルスを 1くらいに薄めて体内に入れるわけ。1000全部が入っていると大変だけど、1くらいなら、体がそれに対して抵抗力を作ろうとして免疫機能が働いて抗体を作っていくんだ。予防接種はそれをねらっているんだな。だから効くことは効く。しかし、気をつけなければならないのは、生まれつき抵抗力を作ることができない人がいること。膠原病や末期がんの人なども抵抗力を作る余裕がないから、そういう人にインフルエンザの予防接種をしたら、ウイルスを例え1000分の1に薄めても本当のインフルエンザになっていしまう。もうひとつ気をつけなければならない人は、ステロイドを長期に飲んでいる人。こういう人も抵抗力がなくなっているから、インフルエンザの予防接種はしてはいけない。もしもやったら本当のインフルエンザになって死んでしまう」
 

―――なるほど。ステロイドを長期に飲んでいる人、膠原病、末期のがん、難病で重症の患者さんなどは予防接種はしないほうがいいということですね。あと、お年寄りも気をつけた方がいいと聞きますが、そうなんでしょう?
「そう、体力的に弱っているお年寄りはやっちゃかん。いよいよダウンというような人がやったら、本当に死んでしまう。ただ、老人ホームなどは感染すると大変だから集団でしっかりと予防しないとだめやね」

 
―――ウイルスにいろんな形があるとか。その年々で流行が違う場合、ワクチンも違ってくるんでしょうか?

「いや、今のワクチンは、WHO(世界保健機関)からの情報や日本国内の流行情報などをもとに次年度のワクチンを作るから、3種類くらいの混合ワクチンになっているんだ。だからたいていのインフルエンザにも対応できるんだね」
 
   ということですから、インフルエンザにかからないために、まずは予防接種。次に外出から帰ったら必ず手を洗い、うがいをすること。そして、加湿器などで室内を乾燥しないようにすること。さらに十分な休養とバランスの取れた栄養をとり、抵抗力を高めることです。

 


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