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 レポート 014


前立腺がん
50歳になったら必ず検査を
 
   がん統計白書によると、10年後に多いがんの予測順位は、1位「肺がん」 2位「胃がん」 3位「前立腺がん」となっています。なかでも前立腺がんは'00年比の倍、総患者数は7万8千人にものぼると予測されています。
   前立腺というのは男性にだけあり、精液の一部を作る臓器です。この前立腺にできるがんが前立腺がんといい、年をとることによって多くなるがんの代表と言われています。高齢化社会の到来と同時に増加するのは当然と言えば当然の事なのかもしれません。男性にとっては気になるがんといえます。
   症状は、尿が出にくい、尿の回数が多い、排尿後の残尿感がある、夜間の多尿、尿意切迫(尿意を感じるとトイレに行くまでに我慢できない状態)、下腹部不快感などです。
   検査の結果、前立腺がんと診断されても、転移がない場合の症状は、前立腺肥大とほとんど変わらないとか。がんの中では比較的おとなしい部類なのです。

   ですから、早期発見などでみつかったがんを過剰に治療しなくても、放っておいても寿命に関係ない場合が多いそうです。しかし、このがんを手術などで摘出したり、放射線照射で消滅させたりすると、副作用で尿失禁や性機能障害になります。
   そんななか、早期がんからおとなしいがんかどうかを見分け、治療を待機する「PSA検査」(※注1)といのが注目されています。今回は、高齢化社会到来とともに増加が予想される、この前立腺がんについて丹羽先生にお話を伺いました。


※注1 PSA検査

   前立腺がんを発見するきっかけとなるひとつの指標。値が血液 1mlあたり 4〜10ng/mlがグレーゾーンと言われており、その場合には 20〜30%にがんが発見されます。PSA値が 10ng/mlを超えると 50〜80%にがんが発見されます。
  10ng/mlを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、さらには転移も疑われます。この検査は前立腺がん検査としては最も有用と考えられています。
(前立腺がん診療ガイドライン'06年 日本泌尿器科学会編) 


 

   手術をすると一生おむつ生活
 
―――前立腺がんが10年後には肺がん、胃がんに次いで、がん患者の3位になるという結果が出ています。この男性だけがかかるがんというのはどのようなものなのでしょうか?
「まず、がんの手術云々という話をしておく。私は、常日頃、普通のがんの場合、抗がん剤治療なんていうバカな事はやめろ、手術で取りきれるという条件のもとでなら手術をしたほうがいい、と言っています。なぜ取りきれるという条件かというと、がん細胞というのは、一部だけ切り取って、残りを傷つけたままで残しておくと、爆発して四方八方に散るわけだ。例えば胃がんが肝臓にへばりついているがん。これは取っても摂りきれない。なぜなら肝臓という臓器は一部だけ切り取ることができないから。切ったら出血多量で死ぬから。そうなると、開腹手術しても開けただけですぐ閉じる。肝臓に限らず、とにかく取りきれないのなら取らないで開腹のみといのは医学界の常識。よく、取りきれないので一部のがんを残して抗がん剤をバンバンやる医者がいるが、これは言語道断。とんでもないこと。婦人科のがんなどは、お産のときに開腹してから卵巣がんがみつかることがある。爆発してはいけないと思って取ろうとするんだが、婦人科のがんはものすごくやわらかいから、取ろうと思ってちょっと引っ張り上げたら破れることがある。そうすると腹膜の中にがん細胞がバーンと飛び散ってしまう。これを腹膜播腫という。だから、がんを取るときはよほど気をつけないといけない。取りきれないものを

残しちゃいかん。ましてや残して抗がん剤なんてもってのほか。ところがこの常識の例外がいくつかある。そのひとつが前立腺がんなんです。あと食道がんもそう。まだ手術でバンバン取る医者がいるけれど、基本は取らない。前立腺がんを手術で切ると、おしっこが自力で出せなくなる。そうすると垂れ流しになり、おむつ生活や。後がやっかいなんだな。だから普通、手術はしない。また、食道がんは、取ると一生、ラッパみたいにブーブー鳴る人工喉頭をつけなければいけない。いつも言っているように私は抗がん剤は完治するのなら使うけど、ほとんどが苦しんで死ぬだけだから使わない。ところが、食道がんは今、抗がん剤と放射線をやると治るんです。だから切ったらいけないんだ」

 
   ホルモン療法と丹羽療法で安定
 
―――では前立腺がんは手術をしないでどんな治療法をするんですか?

「ホルモン剤をやる。男性ホルモンを抑えるホルモン剤があって、これをやると 20人中19人はうまいこといくな。それと前立腺がんはあまり死なない。胃がんや肺がんみたいにとんとんとんと来て、1年2年でポンと死ぬ、というようなことがない。治りきることもないけど、ホルモン剤を打って押さえていればわりと生きるわけ」
 
―――転移なども少ないのでしょうか?
「少ない。もしも死ぬとしたら決まっている。何百人にひとりだけど、肺か骨に転移するという、非常に特徴的な転移をするんだ。骨の場合、前立腺と腰の骨の位置が近い事から、よく、腰が痛くなり、腰痛と間違えられてしまう。ちゃんとレントゲンを撮ると、骨のがんになっていたといことがある。骨のがんの大元はどこかなと調べると前立腺がんがあったとなる。それくらいすぐに骨に転移する。前立腺がんは案外自覚症状がないから分かりにくいんだな。しかし、骨のがんくらいでは痛いけど死なない。死ぬのは肺に転移したやつ。でも、それは非常に少ない。だからこのがんは普通のがんよりは長生きする。ホルモン剤をやっているとだいたい 4年くらいで効かなくなるので、そうなったら放射線と抗がん剤治療。そして最後に手術でいい」
 
―――原因はどこにあるのでしょうか?
「僕のようにキリストかお釈迦様の生まれ変わりかと言われている、例え、マリリンモンローが隣で裸で寝ていても指一本触れないような高貴な人間は(笑)前立腺がんにはならない。はっきり言って、すけべなおっちゃんがかかる病気。なんでもそうだけど、慢性刺激、使い過ぎがいけない。仮に前立腺がんになりかかっていても、女性をピシャリと断つと治る。生きていける」
 
―――本当ですか?
「これホント。とにかく前立腺がんにかかると男性ホルモンの働きを抑えるために女性ホルモンを投与されるわけで、そうすると性欲がなくなるんだな。女性が好きなおっちゃんはこの治療法をみんないやがる(笑)。でも、4年間は手術をしなくても生きていける。ま、私の薬を併用していればだいたい 5年から10年は大丈夫。4年で効かなくなることはない」
 
―――発見する方法は?
「いちばんいいのはまずPSAというマーカーがあるので、その検査をすること。乳がんや卵巣がん、肺がんとかの普通のマーカーの該当確率は 90パーセントなんだ。残りの 10パーセントくらいは実際のがんとマーカーが相関しないんだ。ところがPSAだけはパチンと一致する。100パーセント。このマーカーが悪かったら間違いなく前立腺がん。もうひとつ、人間とがんが共存して生きるのがこのがん。PSAマーカーが高くて、実際にがんがあっても、何も治療をしなくても生きている人もたくさんいる。これも他のがんに見られない前立腺がんの特徴」
 
―――では、がんになっていることに気づかないこともあるということですよね?
「多いね。だから使い過ぎで、尿が近い、尿を失禁すると言う人は絶対に検査をしたほうがいい。特に要注意やね」
 
―――よくある健康診断でPSA検査は組み込まれていますか?
「ないねー。これだけ前立腺がんが増えてきているのだから絶対にやらないかんね。PSAでパチンと判明するのだから。子宮がん、乳がん検診と同じように男も50歳を過ぎたら検査は絶対にやったほうがいい。使い過ぎは40歳からやれと(笑)。血液検査で済むから。それで本当に死ぬのが怖くなって使わなくなるとPSA数値がどうなるかと言うと、まず、7くらいまで上昇して横ばいになる。完全に使うのをやめて1、2年くらいすると下がりだすんだ。人間と共存するんだ。だからがんの中では言ってみれば組しやすいな。なんといっても自分でコントロールできるのがいい」
 
―――SODも効果があるのでしょうか?
「もちろんある。発ガン原因の活性酸素を抑えるから、そりゃ飲まないより飲んだ方がいい。これは前立腺がんに限らず、すべてのがんに同じ事が言える」

 


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