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 レポート 011


メタボリックシンドローム
検診が義務化
 
  
今回のテーマは「メタボリックシンドローム」。厚生省が平成16年に行った検査によると、現在、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が強く疑われる者とその予備軍を合わせた割合は、男性では30歳代の約20%、40歳代で40%以上、女性では30歳代で 3%、40歳代で10%となり、男女とも40歳代で特に高かったそうです。さらに、40歳から74歳でみると、男性の 2人に 1人、女性の 5人に 1人がメタボリックシンドロームかその予備軍にあたります。(表参照)この割合を数にすると、該当者数は約950万人。予備軍者数は約1020万人。併せて約1970万人にのぼります。40歳から74歳の総人口が約5700万人ですから、約半数近くの人に危険信号が灯っているのです。
 
   その危険を察知して、国が検査の義務化、メタボリックシンドロームの減少化をはかるべく、平成20年春から、生活習慣病に起因する医療費の削減を目的として、医療保険者運営者が40歳以上の保険者を対象に内臓脂肪蓄積(メタボリックシンドローム)に着目した特定検診の実施および特定保健指導を義務付けることにしました。(平成18年度 医療制度改革関連法より)
   簡単に言うと、メタボリックシンドロームの定期健診が義務付けられ、そこでメタボリックと診断されたら、医師の指導を受けなければならないのです。これは太っていることは病気≠セと診断される時代がやってきたことでもあります。
   メタボリックシンドロームというのは、肥満が深刻化している欧米で定められた基準に沿って、お腹周りの肥満数値で診断を行ってきたものでした。それが日本人に合った独自の基準として発表されたのが '05年に開催された内科学会でのことでした。
   生活習慣病とよばれている主な疾患に『肥満症』、『高血圧』、『糖尿病』、『高脂血症』などがあります。これらの疾患は個々の原因で発症するというよりも、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因だと考えられています。内臓脂肪蓄積により、さまざまな病気が引き起こされた状態をメタボリックシンドロームといいます。
   常識的に考えてみても過度の肥満は体によくないことくらいはわかります。個々の注意を促すのもわかります。しかし、そこに明確なガイドラインをひき、検診までする必要があるのかどうか、丹羽先生に聞いてみました。
   診療所におじゃましたのは関東にようやく梅雨明け宣言がだされた数日後。連日30度をこす猛暑で、さぞや先生もお疲れではとのぞいてみると、そこにはこんがり健康的に日焼けして丹羽先生の姿が。「毎週末 10時から 3時まで野球やっとるからね」
   平日は全国の診療所を飛び回り、週末は土佐清水で深夜まで診療。そんな多忙を極めるなか、さらに炎天下で野球とは。あまりのお元気さに脱帽。
 

―――メタボリックシンドロームの検診が義務化されるようになるとのこと。やはりメタボリックというのは病気に直結していくものなんでしょうか?
「やっぱりあるね。若い人はいいんだけど、年をとってくると血管の壁の弾力性がなくなってくるんだな。心筋梗塞、脳血栓、脳梗塞などの病気は血管の内膜に脂が溜まったり詰まったりして、その先に血液が流れなくなって起こる病気で、血管に弾力性があれば血管に少々脂が溜まっても無理してでも流れる。しかし、年をとって弾力性がなくなると当然ながら詰まってしまう。太ってくると脂肪などで血管を押さえつけるような感じになるんだな。

血管の太さは一定なわけだから、そこを圧迫されたらどうしても血液の流れは悪くなるでしょ?血管の中にコレステロールや過酸化脂質といった悪いものが詰まってなくても、外から圧迫されたら流れは悪い。加えてコレステロールや過酸化脂質が詰まっていたらなおさらいかんね。脳血栓、脳梗塞、心筋梗塞まっしぐら。例えば狭心症というのは、普段は血管はぜんぜん詰まっていないんだ。それがストレスなどで急に血管ギューっと収縮してしまう。太っていたらそれは命取りになる。とくに年をとっていると」
 
―――なるほど。では女性が痩せて見えるからといって体をガードルなどで締め付けたり、男性がウエストを締めて、その上にお腹を乗っけているようなのはダメだということですね?
「そうそう。あのね、通称、帯病という病気があるんです。これは、脇の下に胆汁が流れるところがあるんですが、そこが何らかの締め付けによって流れが止まってしまう病気。それは日本人女性だけにある病気だった。今は着物を着る習慣がないからなくなったけど、戦前までは多かったんだ。それでも分かるように、なにかで体を締めつけることをずっとしているのは良くないんだな。スマートになりたいからって締め付けると、血管も詰まるし、消化器官も詰まる。それで現実に痩せるわけじゃなく、痩せてみせているだけだからね(笑)」
 

 
―――確かに。少しでも痩せて見えるようにと思ってやっていることが健康を損なうことになるんですね。ところで、このメタボリック検診は 40〜75歳以下は毎年受けなければいけないそうですが、それは効果的だと?
「そうだね。しかし、対処法が難しい。メタボリックは食事の制限をするしか方法がないでしょ。しかし、人間、色気と食い気がなくなったら終わりだから食事制限と言われたら辛いものがあるな(笑)。よほど強い意志がないとできない。趣味や目的を持って生きている人はいいけど、趣味もない、男にも振り向かれない、食べることしか楽しみがない、という女を捨てたあんたみたいなおばちゃんがいちばんいかん(笑)。お茶やお花をやるといった高級なおばちゃんの趣味もない人がなんぼメタボリックの検診をしてダメ出しが出ても、自分で治すことなんかできない。そもそも検診なんかしなくても太っていることくらい自分でわかるやろ?それで痩せられないんだから、検診したって一緒(笑)。絶えず綺麗にしてスタイルにも気を使っている女性は男性の視線もあるだろうし、おしゃれや趣味に楽しみがたくさんある。そやけど女を捨ててしまった女性にはなんにも楽しみがないから食べることに走る(笑)。とくに年をとってきたら難しい。うちの患者さんでも食事制限をちゃんとできるのは100人に一人くらいしかいないな」
 
―――それでは運動をするというのはそうですか?
「運動は急に過激なことをしないで、ちょっとずつやるのはいいね。歩くことから始めるといい。しかし、気をつけたいのは運動して腹が減って余計に食べるヤツがいること(笑)。それで以前よりも太ったと言われて困るな(笑)」
 
―――先生は炎天下で野球なんかされて大丈夫なんですか?
「僕は普段から運動しているし、真夏の炎天下ではビタミンCを大量に摂取することに気をつけている。普段は酸っぱい果物は食べないけど、野球の練習をやる前、炎天下に出る前は必ずグレープフルーツを 2個くらい食べるようにしている。それとSOD。普段は一日に 6包くらいだけど練習の前は20包飲んでいる。急激な紫外線予防にはこれがいちばん」

 


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