ホーム丹羽療法 治療レポート > 花粉症・アレルギー 春先だけだった症状が 1年中になりつつある
 

 レポート 006


花粉症・アレルギー
春先だけだった症状が 1年中になりつつある
 
   年が明け、寒さもあと一ヵ月も我慢すれば芽吹きの季節がやってくる、と昔の人は春の訪れを心待ちにしたのでしょうが、現代人はそうはいきません。年が明け、春が近付いてくると同時に、あの悩ましい花粉の季節もやってくるのです。
   いまや日本人の四人に一人、約20%以上の人が花粉症だと言われています。テレビの天気予報で花粉情報を入れるのはもはや当たり前になり、ドラッグストアの店頭には花粉症対策グッズに鼻炎薬、目薬がずらりと並びます。
   ひと昔前は花粉症という言葉さえなかったのに、どうしてこんなに増えたのでしょうか。
   その理由の一つは、前後、全国でいっせいに植林されたスギの木にあります。植林によって日本の山の大部分はスギの森林になってしまい、そのほとんどがここ数十年で成熟期を迎え、大量の花粉を飛ばしているのです。
   そのうえ、近年は外国からの安い木材が輸入され、国内のスギの木が伐採されず、全国には手入れのできていないスギが増えているのも原因の一つです。
   しかし、スギの花粉は都会よりも山の中のほうが大量に飛んでいるはずなのに、花粉症の患者さんは都会のほうが多いのはなぜでしょう。
   そのメカニズムは究明されてはいませんが、車の排気ガスなど空気中の化学物質と花粉がなんらかの反応を起こし、花粉症の発症に影響しているのではないかと言われています。これらの花粉は、田舎では土に吸収されますが、都会はコンクリートだらけで一度落ちた花粉がずっと舞っている状態なのです。
   また、丹羽博士も、様々な難病の原因のひとつとして再三おっしゃっている、食生活の欧米化によって日本人が本来持っている免疫力が失われつつあるというのも、原因と言われています。加えてストレスの多い現代社会がますますアレルギーを起こしやすくしているのです。
 
   花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状を起こす病気で、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。そのアレルギー性鼻炎は、原因物質(アレルゲン)の種類によって二つに分類されます。
   一つは通年性アレルギー性鼻炎。これはアレルゲンが一年中あるので、症状も一年中あります。主なアレルゲンはダニ、ハウスダスト、ゴキブリなどの昆虫、ペットの毛・フケなどです。症状は、喘息が多く、アトピー性皮膚炎などを合併することがあります。
   もう一つは季節性アレルギー性鼻炎。これは花粉の飛ぶ季節だけに症状があります。日本では約60種類の植物により花粉症が引き起こされると報告されています。
   主なアレルゲンはスギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカバなどです。症状は鼻の三大症状だけでなく、目のかゆみ、充血などを伴う場合が多く、他にも喉のかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽいなどの症状が現れるとことがあります。さらに、シラカバ、ハンノキ、イネ科の花粉症は、ある果物や野菜を食べると口の中がかゆくなったり、腫れたりする口腔アレルギー症候群という症状にもなります。

   私たちの体は、花粉という異物(アレルゲン)がのどや鼻から侵入すると、まず体内のリンパ球がそれを受け入れるかどうかを考えます。そこで排除すると判断した場合、体はアレルゲンと反応する物質を IgE抗体と呼びます。その IgE抗体ができたあと、再び花粉が体内に入ると、鼻の粘膜にある抗体と結合します。その結果、ヒスタミンなどが分泌され、花粉をできる限り体外に放り出そうとします。その作業がくしゃみや鼻水であり、花粉を中に入れないよう防御する行為として鼻づまりになったりするのです。
   今回、丹羽博士には、そんな花粉症について、治療法も含め伺いました。
 

―――花粉症の季節なのですが、診療所でもこの季節はその患者さんが多くなるのではないでしょうか?
「そうですね。まぁ、うちの場合は年中、大変だから、花粉症やアレルギーは軽症の部類に入る。喘息の人はアレルゲンが分からない人が多いけど、一般的に花粉症やアレルギーというのは、アトピーと違ってアレルゲンという原因がある。花粉が原因というのがほとんど。昔はこれも春先にかかって、夏には放っておいても治ったんです。ところが最近、スギの花粉にヒノキの花粉が加わっているんだよね。ヒノキの花粉は 9月から12月くらいまで舞うから、一年中花粉症の人が出てきた」
 
―――治療法としてはどのような方法があるのでしょうか?
「あのね、花粉症はアトピーやガン、膠原病などと違って一時的なものでしょ?アトピーやガンの人は薬を服用するのに、ずっと続けなければならないから、副作用のある強い薬は常用できないけど、花粉は時期的に三ヶ月くらいのものだから、あまり辛いようならステロイドを使ってもいいんですよ。そうしたら一、二週間で治る。目のかゆみなども、アトピー性皮膚炎で使っているかゆみ止めで大丈夫。あれを五年も十年も常用していると出血性膀胱炎を起こすけど、花粉症にもよく効く。だから、鼻が出て、目が痒くて仕事にも支障があるというのなら、それを使うといい。ここが普通の慢性疾患と大きく治療法が違うことですね」

 
―――確かに。鼻がつまって、目がかゆくて夜も眠れないという方がいらっしゃいますよね?

「そうそう。そういう人はもう化学薬品を飲んだほうがいい。うちの患者さんでSODでなんとか人工透析を逃れていた人がいたんですが、花粉症になって、鼻炎がひどくて夜も眠れなくなったんです。僕が、とにかく寝不足は体にいちばんいけないから、化学薬品で鼻炎をなんとかしたほうがいい、と言ったんですが化学薬品は使いたくないと言い出して、とうとう肝心の腎臓が悪化して人工透析になってしまった。本末転倒ですわ。人間、英知を持って生まれてきているんだから、もっと柔軟に、フレキシブルになるべきですね」  
 

―――花粉症などを根本から治すとするとどのような治療をするのでしょうか?
   「脱感作。Desensitizationといって、喘息に抗原をぶつけて抗体を作る方法。花粉症の患者さんだったら、スギの花粉をぶつけて抗体を作る。次に花粉(アレルゲン)が入ってきたら、抗体がケンカをしてアレルゲンを取り除くんです。はじめに抗体を作る操作を感作と言い、できた抗体を減らしていくのが減感作、取り除くのが脱感作と言います」
 
―――ホメオパシーと似ていますね?

「そうそう。同種療法あるいは類似療法と訳されている通り『症状を起こすものは、その症状を取り去るものになる』という『同種の法則』が根本原則」
 
―――SODを飲んでいたら花粉症が治ったという声をよく聞くのですが、それはどうしてでしょうか?
「ああ、それは僕もよく聞くねー(笑)。SODを飲むと血液の循環が良くなるから、悪いリンパ球が代謝されてしまうんでしょう。リンパ球というのは新陳代謝しているものだからね。確かに、SODは効きます」
 
   くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどつらい花粉症やアレルギー。その症状をできるかぎり軽減するためには、アレルゲンや花粉症への接触を避けること。日常生活では表のような花粉症対策に気をつけるといいでしょう。
 

  
 
■花粉症の薬に関するQ&A■

Q 目薬の違いは?
A 市販の目薬の中にはスッとする成分が入っていることが多いです。しかし、あのスッとする成分には、抗アレルギー効果は期待できません。なんとなくさわやかな気分になれるということです。
 
Q ステロイド剤入りの花粉症の薬は大丈夫?
A 炎症を抑えるステロイドは、抗アレルギーの薬よりも即効性が期待できます。点鼻薬の場合、局所に使用するので、花粉症の季節だけの限定であればそれほど副作用の心配はありません。
 
Q 市販の花粉症の薬は眠くなるといいますがどうして?
A 眠くなるのは抗ヒスタミン剤が入っている薬のことです。花粉症は、鼻や目でアレルギー反応を誘発し、体内のヒスタミンが鼻炎膜や毛細血管にその情報を伝えることでくしゃみや鼻水などの症状をおこします。
   抗ヒスタミン剤は、この作用をブロックするのです。それによって症状をストップさせるわけですが、抗ヒスタミンの副作用として、脳内の覚醒や睡眠をコントロールする部分の覚醒レベルが下がってしまうのです。それによって眠くなるのです。車の運転などをなさる場合は、抗ヒスタミン剤の入ってない薬を選ぶようにするとよいでしょう。
 
Q 点鼻薬の選び方は?
A 点鼻薬は大きく3つに分けられ、長期に使用しても良い物と、そうでないものとに分けられます。
   まず、長期に使用しない方がいい点鼻薬。これは、血管収縮剤が入っている点鼻薬のことです。プリビナ、ナーベル、トーク、ナシベン・コールタイジンといった名称の薬には血管収縮剤が入っています。これらは、鼻の粘膜の腫れを抑える収縮剤ですが、その効果は一時的なものです。これを長期に常用すると、薬の効果が薄れていくだけでなく、粘膜が分厚くなって、逆に鼻づまりがひどくなる場合があります。
   スピーチ等があってどうしても鼻水、鼻づまりを押さえたい場合に一時的に使用するのがいいでしょう。
   逆に長期に使用していいのは、主に病院で処方してもらう点鼻薬で、アレルギーを抑える薬が入っているものです。これは即効性はありませんが、予防的にも使用でき、長期に使用しても心配ありません。

 


94