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運動も体のサビ退治に効果抜群で
息が軽くはずむ速足歩きなら酸化を見事に防ぐ

   板倉弘重
 

善玉を増やし超悪玉は
退治する速足歩きこそ
最適の運動

性酸素退治の積極的な対策としておすすめしたいのは、適度な運動をすることです。

それでも、激しい運動は活性酸素の大量発生につながるので、さけるべきです。しかし、軽く汗ばむくらいの運動は、むしろ活性酸素退治に大いに役立ちます。
  誰でも簡単に行える軽い運動といえば、歩くこと。歩くと、体内の余分なコレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化の予防・改善に役立ちます。
  コレステロールの中で、よく知られているのは、悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)です。悪玉コレステロールが増えすぎると、活性酸素に酸化され、血管壁に入り込んで沈着します。
  すると、血管壁が厚くなって、血管の内側は狭くなります。こうして動脈硬化が起こるのです。一方、善玉コレステロールは、血管壁にたまったコレステロールを引きはがし、肝臓に持ち帰る役割をしています。
  運動をすると、コレステロールや中性脂肪が減ってきます。もっとくわしく見ていくと、善玉コレステロールが増えて、中性脂肪は減ってきますが、悪玉コレステロール(LDL)は運動ではあまり減りません。実は、運動では効率的に減るのは、LDLの中でも粒子が小さな「スモールデンス(小型で比重が重い)LDL」と呼ばれるコレステロールです。
  この小型LDLは、粒子が小さいだけに活性酸素によって酸化されやすく、血管壁にも入り込みやすいという性質があり、動脈硬化をいっそう促進することがわかっています。そのため、「超悪玉コレステロール」として、いま専門家の間で注目されています。
  なお、内臓脂肪型肥満(腹部肥満)の人でm中性脂肪値が高く血糖値や血圧などもやや高めの人は、超悪玉コレステロールが増えている場合が多いので注意が必要です。

   

1日30分の速足歩きで
二週間後には超悪玉が
減りはじめる

  いずれにしても、歩くと善玉コレステロールが増えて、抗酸化力が高まり、動脈硬化が改善されることは間違いありません。その結果、ガンや心臓病、脳卒中をはじめ、多くの生活習慣病が予防されることは、国内外の多くの実験で確認されています。
  効率的に脂肪を減らすには、前にも述べたとおり、速足歩きが一番です。1分間で80b(30分で2.4`)から100b(30分で3.0`)の速さを目標にします。歩く時間は、1日30分程度でよく、一度に無理な場合は10分ずつ3回に分けて歩いてもかまいません。
  背筋を伸ばし、腕を前後に振り、歩幅もできるだけ広くして歩きましょう。
  速足歩きは、毎日実行することが理想ですが、負担になるようなら一日おきがでもかまいません。ともかく、続けることが大切です。二週間もすると、中性脂肪や超悪玉コレステロールが減りはじめ、3ヶ月後にはぐんと減って、ウエストをはじめ全身が引き締まるはずです。

超悪玉コレステロール
(小型LDL)

 
悪玉コレステロール(LDL)の中でも小型で比重の重いもののこと。LDLは、通常直径が26〜27ナノb(1ナノbは10億分の1b)だが、25・5ナノb未満のものを小型LDLという。粒子が小さいため活性酸素の被害を受けやすく、そのため超悪玉コレステロールと呼ばれている。
  速足歩を続けると、3ヶ月ほどで小型LDLが、普通の大きさのLDLに戻ることが実験で確認されている。


速足歩きをは、背すじを伸ばし腕を振って、歩幅もできるだけ広くとるといい