ホーム > 健康大特集T > D体の中でも大量に酸素を使う...

体の中でも大量に酸素を使う
脳はサビやすく防ぐには抗酸化力の強い緑茶が最適

   静岡県立大学名誉教授  薬学博士 富田 勲
 

酸化を防ぐ力が
ビタミンC・Eよりも
強力な緑茶のカテキン

は、悪玉酸素といわれる活性酸素が私たちの体の中で最も発生しやすく、また、その害を最も受けやすいという性質をもっています。

というのも、脳が使う酸素の量は、体全体が消費する酸素の約20%に達します。酸素を使う量が多ければ、その「廃棄物」ともいえる活性酸素が多くなるのは当然です。
  その上、脳にはリン脂質など脂質が豊富にあり、活性酸素によって酸化されやすい不飽和脂肪酸(植物油や魚油に多い脂質酸)をたくさん含んでいます。
  つまり大量の酸素が血液を通して脳に入り、その動きに使われますが、それと同時に大量の活性酸素が生み出されるのです。すると、脳に多い脂質は酸化されて有害な過酸化脂質に変わり、脳の血管の動脈硬化を促進し、脳卒中やボケを引き起こすようになるのです。
  このような活性酸素による脳の酸化が原因となる脳卒中やボケに対して、抗酸化作用のある食品の有効性が注目されています。
  その中でも、緑茶に含まれているカテキンは、抗酸化作用が非常に強いといわれているビタミンA・C・Eよりも、脳に対して強い効果を発揮することがさまざまな動物実験や人による臨床試験で証明されてきています。
  例えば、カテキン、ビタミンC、Eをそれぞれ与えたネズミの脳や肝臓の酸化が、どれだけ抑えられるかを調べた実験があります。
  その結果は、カテキン、ビタミンC・Eはいずれも強い抗酸化作用を示し、脳の酸化を抑えましたが、中でもカテキンは特に強い抗酸化作用を示したのです。

  また、人の血液中から悪玉コレステロール(LDL)を取り出してこれを銅で酸化させ、抗酸化成分がどのくらい酸化を抑える働きがあるかを調べた実験があります。その結果でも、カテキンは、悪玉コレステロールの酸化を強力に抑えることがわかったのです。

   

まで届いて
強力な抗酸化力を
発揮するカテキン

  これは、ビタミンCが水溶性、A・Eは脂溶性と体内で作用する場所が決められているのに対し、カテキンは水溶性でありがちながら、ある程度は脂質にも溶けるという特性を持っているからです。そのため、水分の多い細胞の外側、脂質の多い細胞膜の中、そのいずれかでも、カテキンは抗酸化作用を発揮するものと思われます。

  一方、脳の場合は、血液脳関門という、いわば関所のようなものがあり、脳にとって不要な物質は通さず排除しようとする性質があります。体の中で非常に重要な器官であるだけに、関門で外敵から脳を守ろうと、異物を排除するしくみがあるのです。
 
カテキンは、一部が血液脳関門も通過して脳に届き、その抗酸化作用を発揮しています。これについては、ネズミの実験でカテキンが確実に脳の奥深くまで届いていることが、確認されています。
  どんなに抗酸化作用が強いものでも、身近な食品で常に口に出来るようなものでなければ効果は発揮されません。その点、私たち日本人が慣れ親しんでいる緑茶にこのような効果があることは、とても幸運なことです。
  カテキンはもちろん、ビタミンC・Eも豊富に含む緑茶を、毎日とることをぜひともおすすめします。

カテキン
 
緑茶(お茶)に大量に含まれるポリフェノール(植物の種子や葉、樹皮に含まれている物質)の一種。抗酸化力の強いことで知られている。
  茶カテキンには抗酸化作用のほかに、殺菌作用、抗ガン作用、血圧上昇抑制作用など、さまざまな効用のあることが、最近の研究によって続々とわかってきた。


緑茶にはカテキンをはじめ、抗酸化成分が豊富に含まれている