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体内の酸化防止力は四十代から衰え
悪玉酸素を発生させるストレス・肥満は大敵

   板倉弘重
 

体のサビを防止する
抗酸化力の強い人は
健康で長生きできる

吸で酸素を取り込むのに伴って発生する活性酸素は、現代病の九割を引き起こすほど酸化作用の強い「悪玉酸素」です。

  では、なぜ現代社会で活性酸素は猛威をふるうのでしょうか。その理由の一つとしては、人間の寿命と抗酸化力の問題があがります。
  前の記事でも述べたように、私たちの体内には、もともと活性酸素の発生や害を抑える抗酸化力、つまり体のサビ防止機能が備わっています。
  抗酸化力は、酸素を吸って生きていく人類にとって、絶対不可欠な能力といえます。最近、老化のシステムについての研究が進み、抗酸化力が強い動物、つまり人間ほど長寿でいられることがわかってきました。
  遺伝子で調べてみると、遺伝子が突然変異を起こし、細胞や内臓の若さを保つ酵素(DNAヘリカーゼ)の分泌が異常に少なくなっていました。そのため、老化が著しく進むのだろうと考えられています。

  これは極端な話ですが、これほどまでに抗酸化力は寿命と深く関係しています。
  私たちの抗酸化力を支えているのは、体内で分泌される抗酸化力の強い酵素です。主なものでは、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、グルタチオンペルオキシターゼ、カタラーゼなどです。さらに、コエンザイムQ10など、酵素の働きを助ける補酵素や、ビタミン類も大切な抗酸化物質です。
  これらの抗酸化物質が協同して、体内の活性酸素を押さえ込む働きをしています。この抗酸化力が強い人は健康で長生きであり、弱い人は病気になりやすく老化も早いといえるでしょう。一方、誰でも、抗酸化力は加齢とともに衰えてきます。抗酸化酵素の作られる量は、二十歳のころをピークに、四十代を過ぎると急激に減ってくるのです。中年になって、病気を引き起こしやすくなるのは、そのためです。

  

ストレスと肥満は
活性酸素を大量に
発生させる

  活性酸素が大量に発生する第二の理由は、生活環境の中にもあります。
  例えば、紫外線は活性酸素の発生を促し、シミやシワなど皮膚の老化を促しますが、近年、排気ガスなどによる大量汚染によって、紫外線の量は増える一方です。さらに農薬や食品添加物、電磁波の影響もあります。そした化学物質が体内に入ると、体はそれを異物とみなして体外は排出しようとします。そのとき、活性酸素が発生します。有害な物質が多すぎると、活性酸素も大量に発生して正常な細胞まで破壊してしまい、体に悪影響を及ぼすのです。
  さらに、活性酸素を発生させる主原因の一つは、ストレスです。現代人は職場や学校、家庭でも人間関係をはじめとする、さまざまなストレスを抱えています。体はストレスにさらされると緊張し、我が身を守ろうとして防御熊勢に入ります。すると、体の免疫力と深くかかわっている活性酸素も大量に発生するのです。

  そのさい、ストレスを和らげようとして喫煙すると、活性酸素がいっそう増加してしまいます。また、ストレスによって過食に走り、肥満に陥ることも活性酸素の大きな原因となります。
  特に、内臓に脂肪がつく内臓脂肪型の肥満では、活性酸素を増やし、動脈硬化になりやすいので注意が必要です。

大気汚染
  生産活動や消費活動によって大気が汚染され、生態系や人間の生活に悪影響をもたらすこと。
  大気汚染を引き起こす原因はさまざまだが、特に石油や石炭などの燃焼によって生じる二酸化炭素や二酸化硫黄、各種の窒素酸化物、金属類、そしてメタンやフロンガス、ダイオキシンなどが主な大気汚染物質として挙げられる。
  いまや大気汚染は、オゾン層の破壊、地球温暖化など地球規模での影響が心配されている。


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