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活性酸素はジキルとハイド
環境汚染で激増

 
―――活性酸素というのはどいうものですか。

丹羽   一般に“酸素”といえば動物や人間の細胞や組織が活動する上で必要なものですが“活性酸素”というのは呼吸でとり入れる酸素とは全く違ったものです。化学構造では酸素と少し異なり、どんな物質とでも非常に反応しやすく、特に細菌やウイルスと反応しあって、これを破壊して殺してしまうのです。家庭薬のオキシドールは活性酸素の一種で、オキシドールの殺菌消毒作用というのは細菌やウイルスと反応結合してこれを殺してしまうことなのです。
 

―――その活性酸素が人間の体の中にもあるのですか。

丹羽   そうなんですよ。ばい菌やウイルスなどの異物が身体の中に侵入してきた場合、放置しておきますと身体の中で繁殖し大暴れをし、身体にとって重大な問題になりますので食細胞(主に好中球とマクロファージという細胞)が動員されて異物を食べにやってきます。この働きを貪食と呼びます。この異物を食べにきた食細胞は続いて侵入してくる異物をまた貪食しなければなりませんが、そのためには先に貪食した異物を溶かしてしまわなければなりません。そこで食細胞の膜では、活性酸素がつくられ食細胞内部に分泌され、食細胞内に貪食されている菌やウイルスを溶かす仕組みになっているのです。ところが食細胞が侵入異物に対してこのような作用を反復しているうちに食細胞の膜でつくられた活性酸素は、細胞の中だけでなく細胞の外にも流れはじめて、今度は血管の内壁や内臓を攻撃して傷つけ、さまざまな病気を引き起こしてしまうのです。
 

―――人間の体には必要だけれど多くなると人間の体には有害ということですね。

丹羽   ジキルとハイドなんですよ。
活性酸素が食細胞の細胞膜でつくられず食細胞が食べた菌やウイルスを溶かすことができなくなって次に侵入してきた菌やウイルスを食べることができず、菌やウイルスが体の中で大暴れをして死亡していく病気もあります。しかしこれは日本全国でわずか百人余りで、逆に活性酸素が過剰に生産され細胞の外に流出して身体に“悪さ”をしてひき起こされる病気の方がはるかに多く、何と全病気の90%にも及んでいるのです。しかもこの活性酸素が近年異常に増加しているのです。
 

―――といいますと…。

丹羽    ふとんや衣類を日光消毒しますが、なぜ消毒できるのでしょうか。これは日光の中の紫外線が地上の物体に当ると強力な活性酸素を発生させ、布団や衣類の細菌やかびを殺すからなのです。そのことから紫外線の照射量が大量になると細菌やかびだけでなく地球上の動・植物が皆殺しにされてしまうのです。ところが“神の摂理”“自然の摂理”といいましょうか、地上何百キロメートルの大気中には帯状の電離層ができ、太陽光線中の殺人光線である放射線をほとんど全部太陽に向って反射し、さらにその下にオゾン層ができて地球上の細菌やカビを殺す程度に必要な紫外線のみが地球に到達するようになっているのです。ところがここ2、30年フロンガス、炭酸ガスの激増でオゾン層を傷つけ穴をあけ、“神”が地球上の殺菌に必要とされたよりはるかに大量の紫外線が地球に照射されるようになったのです。紫外線による活性酸素の増加によってシミ、ソバカスの増加から皮膚ガンさらにアトピー性皮膚炎が増加しているのです。さらに放射能漏れ、農薬、殺虫剤、窒素酸化物の増加など環境汚染はいずれも地球上、また私たちの体内に異常なまでの活性酸素をつくることになってしまったのです。
 

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