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〜分子栄養学が教える食事〜 三石 巌 生物学者 |
Book 024 |
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『医学常識はウソだらけ実践対策編』 |
三石 巌 生物理学者 著 |
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以前、book012で紹介した三石巌先生の著書『医学常識はウソだらけ』ですが、今回はその続編といわれる実践対策編です。先生は残念ながら1997年に95歳で亡くなられていますが、この本は、92歳のときに経済界より刊行された『1901年生まれ、92歳、ボクは現役』という単行本を、今年(2018年)タイトルを変えて文庫本として発行されました。 実は、今、この三石先生の著書2冊が密かなベストセラーといってもいいくらい売れているのです。先生は医者ではありません。物理学者で分子生物学という分野を切り開き、現代のアリストテレス(※注1参照)といわれた方です。分子生物学というのは、遺伝子生物学のことだとか。DNAやヒトゲノムというのもこ学問の範疇。つまり人間の生命のメカニズムの解明から始まった学問。ほんの半世紀前から始まったこの学問のおかげで、人は生まれながらにしてどんな病気になりやすいか予測できる時代になったそうです。それは20世紀後半における科学上最大の成果と言われています。 そんななか先生は、人体を徹底的に考察して真の栄養学を確率したのです。人体のメカニズムを研究して栄養学を考える、というと当たり前のように感じますが、現場の医者は肝心の分子生物学や栄養など少しも勉強していないというのです。三石先生も、「医者は勉強不足。医者による間違った食事や運動の指導によって病気がかえって深刻な状態になっていることが多い。私の管理栄養学は栄養を重視しているが、それは生命のメカニズム解明の道を拓いた分子生物学を知ったことが出発点になっている」 と言います。先生自身も重症の糖尿病を抱えていました。還暦の頃に糖尿病の合併症といわれる白内障を患い、医者からは数年で失明すると言われたそうです。ところが分子栄養学によって糖尿病も進行せず、白内障の医学常識であるカロリー制限、甘いものをひかえることなど一切無視して暮らしたそうです。 「医者の知識が間違っていて、私が正しい知識に基づいた生活を送っているから」 本書はそんな三石先生が生物学的に研究した健康長寿の実体験版になっています。病気をかかえながらも執筆活動、講演会、研究を続け、生涯現役でした。そんな先生が実践した生物学に基づいた本当の健康法を紹介します。 白内障にビタミンC!加齢で抗酸化力は減少 先生は物理学者です。60歳までは物理学の教授でした。その頃に学生たちと勉強会を作り、そこで科学、哲学、栄養学、文明論、詩歌、大学論、政治論などありとあらゆる本を読んだそうです。このあたりが「万学の祖」と言われるアリストテレスに似ているのかもしれません。 「白内障になって、数年で失明すると言われたとき、とにかくビタミンCを大量にとることに決めたんです。ボクは栄養学者でも医者でもない。しかし、眼球は卵巣や副腎などとともに特にビタミンCを高濃度に含む器官だということを知っていたから」 このことに加え、活性酸素がからだの組織を痛めつけ遺伝子までも痛めつける。つまり、がんをはじめとするあらゆる疾患のもとになることを前著でも言っています。 「目には紫外線が入ってくる。紫外線は活性酸素を大量に発生させる。白内障とは水晶体タンパク質の酸化が原因。だから活性酸素を取り除く作用のあるビタミンCをとったんです。医者はそんなこと教えてくれない。知らないから。手術か化学薬品の処方しかしない。それでは何の解決にもならないんです」 先生は、ビタミンCだけでなく、あらゆるビタミンが活性酸素を除去する効果があり、それらを活性酸素スカベンジャーと言っています。スカベンジャーとは掃除屋の意味で、「人間は自前のスカベンジャーをいろいろ持っている。代表的なのがSOD。あとカタラーゼ(酵素の一種)、グルタチオン(アミノ酸実践対策編の一種)、尿酸、女性ホルモンなどが。でもこれらのものは年をとると減ってくる。40歳くらいからそれが目立ってくる。そこまで言われてスカベンジャーを積極的にとろうとしない中高年がいたら、その神経をボクは疑うね」 というように、積極的に活性酸素スカベンジャー効果のあるものを摂取し、失明もすることなく、白内障も進行しなかったそうです。また糖尿病もインシュリン投与はしていましたが悪化することなく、合併症もなかったそうです。死後解剖をした医師によると、がんもまったく見当たらなかったとか。 活性酸素と闘う食生活でガンなんか怖くない では、その活性酸素スカベンジャー食品とは具体的に何なのか、先生の食生活から紐解いていきます。 「ボクの食事は、高タンパク、メガビタミン、スカベンジャーの3本立てで、それは朝食から始まる」 そのメニューは、牛乳コップ1杯にバナナ1本、温泉卵一個、配合タンパク(独自に大豆などから作ったプロテイン)の粉末、ビタミンC、B、レシチン、オリゴ糖、ペクチン、核酸、抹茶をミキサーに入れて混ぜたものです。およそコップ2杯くらいになるそうですが、先生はそれを毎朝飲んでいたとか。プラス、ビタミンA、Eのカプセル、イチョウ緑葉エキス顆粒、ミネラルの粒などの補助食品も飲んでいました。先生曰く、牛乳の代わりにカルピスやリンゴジュース、トマトジュースでもいいそうで、要はプロテインをとることが重要だといいます。この朝食で一日のプロテインなどの摂取量の半分以上をとることができるから、あとは比較的普通の食事をとるそうです。 しかし、その中に、絶対にとってはいけないものがあるそうです。先生は著書の中でたびたび、サイエンスに基づいたと言います。 「化学というやつは理屈なんだ。それもキーワードを使っての理屈なんだ。キーワードなしで科学的であることはできない。ボクは科学的でありたいんだ。浄水器がいい、気功がいい、アロエが効く、水晶がいい、というのはボクには通じないんだ。科学はまやかしを許さない。食べてはいけないものしかり。毒キノコを食べてはいけないことくらい誰でも知っている。これは知識だ。発がん物質は食べてはいけないというのは、経験による知識ではなく、マスコミからの知識で、学問の教えたことではない。食品添加物、農薬、魚の焦げなどでがんになるといわれるが、普通の量をとったくらいでがんになる確率はゼロに近いものが大部分だということだ。本当の発がん物質というのは、DNAに傷害を与えることだ。傷害とはDNA分子から電子を引っこ抜くことだ。これは学問上の知識だから100年たっても真理として通るんだ。本当に食べてはいけないものは、マーガリンやショートニングなどのDNAを傷つける食品です。ショートニングはパンやケーキ、スナック菓子にも含まれている」 今の医療に病気を予防する力はない このような食事への科学的な取り組みと同時に、独自の方法で運動というか、先生風に言う筋肉を作るフィラメントという繊維の本数を増やすこと≠毎日やっていたそうです。どんな運動かは本書に詳しく書かれていますが、ストレッチも含めて複数の運動器具を使ったけっこうな運動量のメニューです。毎日続けるというのが大事とか。 先生はがんについて医者に相談したこともなければ、定期検診もがんの早期発見も考えたことがないといいます。もちろん人間ドックとも無縁。 「定期健診を受けるか人間ドックに入ればいろいろな病気をいち早く見つけることができるかもしれない。しかし、そこでもらうクスリは活性酸素の発生源であってスカベンジャーではないのだ。ということは病院では原因は野放しということだ。ボクの方針はあくまでも原因を叩くこと」 先生は今の医療には病気を予防する力はないと断言しています。早期発見できて手術で取り除いても、原因が改善されなければまた再発する。これを予防とは言わないといいます。目的と手段がずれていると。 そういえば丹羽先生も、いまだに毎日欠かさずランニングをしています。SODというスカベンジャーも欠かさずとっています。そして化学薬品の副作用に警鐘を鳴らしています。お二人に驚くほどの共通点があり、改めて「医学常識はウソだらけ」と納得してしまいます。 本書は科学的な専門用語も多いのですが、その科学と私たちの日常とをつないでくれるお話しです。科学と三石先生の人生を通して、本当の健康法が見えてきます。スカベンジャーが減少する40歳以降の方にはぜひとも手に取っていただきたい一冊です。 ※注1 アリストテレス 古代ギリシャの哲学者。プラトンと並び、西洋最大の哲学者で、政治学、医学、天体学、自然学、物理学、生物学、詩学、演劇学など多岐にわたる研究から「万学の祖」といわれている。 |
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