ホーム
> BOOK紹介
> 「医者に殺されない47の心得」
〜医学界の風雲児 菊池寛賞受賞〜 近藤 誠講師 著 |
Book 010 |
|
『医者に殺されない47の心得』 〜医学界の風雲児〜 |
近藤 誠 (慶応義塾大学医学部放射線科講師) 著 |
|
『患者よ、がんと闘うな』などで著名な近藤誠先生が昨年(2012年)暮れに『医者に殺されない47の心得』という単行本を出版しました。先生は、この本を含め、これまで乳房温存療法のパイオニアとして、抗がん剤の毒性、拡大手術の危険性など、がん治療における先駆的な意見を一般の人にもわかりやすく発表してきました。その功績がたたえられ、2012年「第60回 菊池寛賞」を受賞しました。著書のなかで先生は言います。 「乳がんといえば乳房を全部切り取るのが世間の常識だった時代に、私の話を聞いて、乳房を温存する療法を選んだ患者さんたち。その勇気ある行動によって、今、乳房温存療法が乳がんの標準治療になっています。また、がんは治療しないほうが長生きできる、おちう私の話に納得し、がん放置を決めた150人以上の患者さんたち。そのおかげでがん放置療法を確立することができました。この賞は、その患者さんたちにも与えられたものだと考えています」 菊池寛賞といのは、明治から大正にかけて活躍した小説家、劇作家、ジャーナリストの菊池寛にちなんで創設された賞。また、彼は文芸春秋社の創設者としても有名で、そのジャーナリスト精神から、賞には文芸だけでなく、映画、スポーツなど、様々な文化分野において業績をあげた個人や団体に授与されています。過去の受賞者は川端康成を始め、吉川英治、司馬遼太郎、松本清張、山崎豊子、山田洋次、宮崎駿、イチロー、沢木耕太郎、高倉健など錚々たる方々。大変権威のある賞として知られています。 そんな賞を医学界の風雲児であり、反体制ともとれる持論と言動を行ってきた先生が受賞したことに大きな意義を感じます。近藤先生と基本的な部分で意を同じくする丹羽療法を紹介してきたことも溜飲の下がる思いです。 今回は、その近著『医者に殺されない47の心得』を紹介します。 内容は大きく6つの章に分かれています。そのなかで興味深い項目を列記します。この目次だけでも目からうろこの内容。高血圧でメタボで糖尿病の疑いがあると医者から脅されている中高年(おそらく会社で定期健診を受けているサラリーマンの半数以上)や、がん(もどき)の可能性が高いと言われてる人、必読です。 医者によく行く人ほど早死にする では注目の目次をご紹介しましょう。 1.どんなときに病院に行くべきか ・血圧もコレステロールも高いほうが長生きする ・医者によく行く人ほど早死にする ・高血圧、糖尿病は病気ではない ・早期発見、実はラッキーではない ・日本は医療被曝大国 ・がんほど誤診の多い病気はない 2.患者よ、病気と闘うな ・できればすべての薬の使用をやめよう ・その症状は薬の「副作用」ではなく「主作用」 ・余命3か月、半年?自覚症状がないなら、すぐには死にません。すぐに死ぬのは抗がん剤や手術を受けた場合 ・がんの9割は治療するほど命を縮める。放置がいちばん ・がんで自然に死ぬのはすごくラク 3.検診・治療真っ赤なウソ ・がん検診はやればやるほど死者を増やす ・マンモグラフィでみつかるがんは99%ががんもどき ・子宮頸がんワクチンは無意味 ・胃切除は生存率の向上に寄与しない 4.100歳まで元気に生きる「食」の心得 ・体重、コレステロールを「減らさない」健康法を選ぶ ・メタボにさしかかるくらい少し小太りが一番長生きする ・ビールは1日にロング缶2本までなら「百薬の長」 ・コラーゲンでお肌はプルプルしない。グルコサミンはひざに直接届かない 5.100歳まで元気に生きる「暮らし」の心得 6.死が恐くなくなる老い方 がんで死ぬのではなく、がんの治療のせいで死ぬのです タイトルからして痛快なこの本には、先生がこれまでも著書なかで言ってきた、ほとんどのがんは、がんもどきであることや、がん検診は無意味なことなども明快に書かれていて、病院に行く前に読みたいバイブルのような本です。 「医者を40年やってきた僕が、いちばん自信を持って言えるのは病院に行く人ほど、薬や治療で命を縮めやすい≠ニいうことです。医者にかかればかかるほど検査が増えて異常≠ェ見つかり、薬を飲んだり手術をするハメになる。薬のほとんどに病気を治す力はなく、副作用は大きい。がんが見つかると、いきなり胃や子宮を切り取られたり、死ぬほど苦しい抗がん剤治療をさせられる。こうして命を縮めます。信じる者は救われる≠ニは言いますが、医者を簡単に信じてはいけない」 という近藤先生。さらに 「最近は予防医学≠ェ全盛ですが(確かにテレビでも検診や予防の啓蒙CMが増えました)、その実態は患者を呼ぼう(予防に引っ掛けて)医学≠ナす。医者のおいしいお客様にならないように気をつけましょう。大学病院、日赤、国立がんセンターなど、世間ではいい病院と言われている設備の整った大病院はいい実験を受けられる病院≠セと思ってください。がんで苦しみぬいて死ななければならないのは、がんのせいではなくがんの治療のせいです。でも、医者は必ずがんのせいにします。だまされないように。基本的に自覚症状がなくてごはんもおいしいなら、医者にあちこち悪いと言われたり、がんがみつかっても、忘れるのがいちばんです。治療をあせると、寿命を縮めます」 といいます。 この著書は年明けにはベストセラーになり、本屋さんのおすすめにもなっていました。そして、さらに2012年秋、もう一冊、注目の本が出ました。それは、このコーナーでも紹介した『大往生したけりゃ医療と関わるな』の著者、中村仁一先生と近藤先生の共著『どうせ死ぬなら「がん」がいい』(宝島社刊)。 この本は次回詳しく紹介しますが、ここでもやはり、日本の今のがん治療、がんの認識の間違いを指摘し、人の死の尊厳についておふたりが語り合っています。 |
|
|
168 |