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治る、治らないの境目、
いちばん大きいのは心です

   僕が一生懸命に治療して、がん膠原病をなんとか助けた患者さんが、各地の診療所に何十人といます。おっちゃん、おばちゃん助かってよかったなと握手して帰る。ところがその人たちのなかで、また悪くなってころころと死んでしまう人がひとりかふたりいるんです。僕は、最初、薬が効かなくなったんだと思っていました。でも、本当に悪くなったのは10人中2人。あとの8人は悪くなっていない。このわけは何だと思います?みんな自己管理が悪い。どんな病気でも、治りたければ食いたいときに食って、寝たいときに寝て、ばけっとしていること。そんないい治療法はない。がん、膠原病、難病、アトピーにかかる人は、みんなそういう体質を持って生まれているんです。体質を持っていて死ぬまで病気が発病しない人はいません。死ぬまでに爆発しないでいる人は少ない。生きている間にその持って生まれた体質が爆発するかしないかの引き金はどこにあるかといわれたら、寝不足、過労、ストレスが重なるときです。アトピーの患者さんもすでよ。若いお兄ちゃんがアトピーでやってくる。うちで一旦治るのに、帰るとみんなまたぶりかえす。聞いてみたらみんな受験生。そらあかん。

   最近、不景気でしょ。僕がやっと命を救った患者さんが会社に行くと、首になったらいかんからと残業、残業です。そんなことしていたらいっぺんでだめになってしまいます。いちばんいけないのは、おばあちゃんが倒れて3ヶ月。寝ないで看病しました。そしておばあちゃんの通夜、葬式。2日間徹夜。それで倒れてしまう。介護の人に頼むとお金がかかるからどうしても家族でやる。
   寝不足、過労、残業。絶対にだめです。どうせ無茶するのなら、はじめから僕にかかるなと。ものすごいお金使ってやっとのことで治っても、意味がない。

   いまはお医者さんも悪いですね。患者さんが来ると、はい、CTとりましょ、レントゲンとりましょ、検査しましょ、手術しましょ、薬だしましょ、さいならです。病気は自分が作るもの、自分が治すもの。医者、薬はそれを助けるもの。その基本を日本人は間違っているんです。
   もうひとつ。やっぱり心の問題。50年医者をやってきて、この患者、もうとっくに死ななきゃいけないのに死なない人がいる。もうひとつ。この患者、まだ死ななくてもいいのに、死んでしまう人がいる。これはある程度心の持ちようだと思う。精神的な緊張、悩み事。これがあると病気は治らないです。
   西洋医学のお医者さんを前にして申し訳ないが、今の医学の三大罪悪はひとつ抗がん剤。次にステロイド。3番目にトランキライザー。最近、自律神経不安定症、うつ病にね、みんなトランキライザーを処方する。トランキライザーはみんな眠り薬ですよ。精神の安定がいちばん。
   私は昔からこういう治療をしていますから、医師会からは袋叩きに会う、製薬会社からはぼろくそにやられる。田舎だから、僕はお酒を飲まない。医師会の連中はみんな製薬会社や保険所のやつらと飲みに行く。そして丹羽のヤツは、と言ってとにかく50年。ひどい目に合わされまして、なんべん病院つぶされるかと思いましたよ。22年くらい前、うちには全国から難病の患者さんがたくさん来る。大阪や東京からうちに入院する。それで退院して帰る。ぼくが診療で大阪や東京に行くと、やはり私に診てもらいたいから患者さんがホテルに来るんです。大阪で診た患者さんは、高知県の保険を使ったらいけないんです。自由診療じゃないから。しかし、カルテが高知にあるものだから、高知の保険を使っていたら、それを医師会にちくられて、あっという間に保険医停止ですわ。こんなこと、多かれ少なかれみんなやっていることですよ。患者さんのためになるんですから。でも、うちだけやられました。
   まとにかく、意地悪ばかりされて、今、私の使っている薬、医薬品じゃありませんよ。医薬品の許可をひとつ取ろうと思ったら、100億、200億かかる。そんなお金ありませんから、医療行為として医者の責任で使っているだけです。健康保険も使えないです。それでもみなさん来てくれます。まあとにかく、ひどい目にあわせれた。僕は痩せているし、神経質ですから寝られない。不眠症ですよ。ああ、またやられて。もう病院つぶれるんじゃないかと。ずっとストレス。なんとかして生きてきた。とっくの昔に死んでいてもおかしくなかったんです。ところがこの10年、15年、元気になってきた。
   ずっとこういうことやってきまして、うちのかみさんも「あんたは昔から人に親切にしてきても感謝されませんね、かわいそうですね」って同情してくれるくらい。とにかく、若いときから友達が困っていると、戻ってこないのは分かってるのにお金を貸すんです。とにかく、若いときからいつも一銭なし。人に全部やってしまっていた。女房にぼろくそに言われて生きてきた。でもね、ほんとに、人を助けていたら、自分が困ったとき、必ず神さまが助けてくれる。それはほんとなんです。自分がやってきた経験なんです。
   いまから18年くらい前、僕が泊まっていた東京のホテルに、金沢でSODの卸しをやっている男がやってきたんです。そして、金がなくなって嫁さんが自殺したと。高校生の娘がふたりいると。お金を貸してくれないかと言ってきたんです。僕は、その頃は10万円のお金も、嫁さんにはんこを押してもらわないと出なかったくらい、お金がなかったんです。なので当時、へそくりを作っていた。1800円のタクシーの領収書の数字の1を7にするわけだ(場内爆笑)。そうやって一生懸命努力しまして、やっと100万円ができて、それをかばんの中に入れていたんです。そのとき、せっかくためた100万をそいつにやって、そいつが助かるならって、悩みました。やろうかやるまいか、ハムレットみたいに部屋の中ぐるぐる回って、最後、カバンに手を突っ込んで持っていって、お前、これをやると。どうせ返せないことはわかっているから天国で返せよと言って渡したんです。そうしたら、その3時間後。今度は、とある業者の製品に、英語の論文と日本語の論文を二つくらい書いてやったことがあって、その業者の男が来たんです。それで、先生の書いてくれた論文のおかげで商品がむちゃくちゃ売れだしました。お礼ですといって100万置いていったんです。私はこれをみたとき、神さまは見ているんだと。人間、まじめに人を助けていたら必ず神さまが助けてくれると。
   僕もいろいろやってきました。そんななかで、何をやっても助けてくれないときは、神さまがそれをやったらいかんということだと思ったんです。汝、今知らず。のち悟るべし、なんです。そう思えると、ほんとにラクですよ。何が起こってもスヤスヤと眠れる。それからは不眠症も全部治りました。何があっても太平洋の真ん中で寝ているようなもんです。本当の健康は心の安定。やっぱり自分が自分の神様を知ることです。
 

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