[§4 「肌あれ」と肌の乾燥]

§4-1

「肌あれ」の原因(1)
外気の乾燥による「肌あれ」

勝岡憲生・北里大学医学部教授:冬の肌あれ

 

  肌の乾燥が「肌あれ」を引き起こすことは良く知られています。肌の乾燥には、「外気の乾燥による場合」と「皮膚組織の変性による場合」があります。この項では、「外気に乾燥による肌あれ」のメカニズムの概略を掲載します。
 
 

皮膚の水分は皮脂の減少で「肌あれ」

 
  「肌あれ」とは、皮膚の最も表面にある角質層(皮膚の最外層にある−図参照)の水分が少なくなって、皮膚がひび割れた状態のことをいいます。
  特に冬期などでは、空気が乾燥するため皮膚の水分や脂(皮脂)が減少して、肌あれやかゆみが起こりやすくなります。
 
 

皮膚のにはバリア機能と水分保湿機能がる

 
 
皮膚は外界と直接接しています。皮膚は多くの層(最外層から順に、角質層・真皮・皮下組織−図参照)で構成されていますが、「表皮」とその下の「真皮」の2層が主に、外界から体の内部を保護する働きをしています。
  表皮の一番外側の外界と直接接している部分じゃ角質層と呼ばれてます。角質層は、厚さが0.02mm程度の薄い組織です。角質層には外からの刺激を防ぐ障壁の働きをする「バリア機能」と皮膚の水分を保つ「皮質機能」とがあります。

角質層のバリア機能

 
角質層の表面は、主に皮脂線から分泌される皮脂でできた「皮脂膜」で覆われいます。皮脂膜は、水分が皮脂から蒸発するのを防ぐとともに、体外から有害物質が侵入するのを防ぎます。

 
 
 
角質層の水分保湿機能

 
角質層は、「角質細胞」が何層にも積み重なって構成されており、角質細胞の間は、「角質細胞間脂質」で満たされています。この角質細胞間脂質の代表的な成分である「セラミド」には、皮膚の水分を保つ働きがあります。