[§2 紫外線が「シミ・ソバカス・シワ」を引き起こす]

§2-1

日焼け・紫外線の恐怖!
皮膚の表面にダメージ!成人病も誘発

宮地良樹・群馬大学医学部皮膚科教授:産経新聞

 

  少しずつ春の足音が聞こえてきた。日差しが柔らかくなったと感じたら、日焼け対策を行なう季節がきたと考えても早すぎることはない。日焼けは紫外線による炎症の一種。
  日々蓄積されればシミ・シワとなって皮膚の表面にダメージを与えるだけでなく、成人病を誘発する可能性もある。日焼け対策とは女性のもの、という通念はもはや常識ではない。男女問わず紫外線ケアを必要とする時代がやってきた。
 
 

日光浴は30分程度で十分

 

紫外線にはビタミンDを生成する働きが

 
  「日光浴をすれば風邪をひきにくい」こんな言い伝えを信じる人が今も多い。生シイタケを日光にあてて干しシイタケにすると、ビタミンDの含有量が増えるように、紫外線にはビタミンDを生成する働きがある。
  このビタミンDが著しく欠乏すると、骨がやわらかくなって変形しやすくなる「くる病」になる。かつてくる病は北海道、東北、北陸など日射時間の少ない地域の子供によく見られた。

と手を30分日光に当てるだけで十分

 
  このため、日光浴重要性が語られてきた。が、群馬大学医学部皮膚科の宮地良樹教授によれば例えば兵庫県神戸市内で夏1日のビタミンDの所要量をとろうと思うなら、顔と手を30分日光に当てるだけで十分という。
  一方別の統計では、主婦は洗濯物を干す、子供の送り迎えなどで1日平均3時間は紫外線に当っているという数字もある、と宮地教授。普通の生活をしている限りビタミンDが欠乏することはありえない。

 
 

紫外線と光がシワとシミに悪影響

 

シミは「光老化」の典型的サインだ!

 
  宮地教授は、みしろ最近の研究では紫外線と光の悪影響の方がクローズアップされているという。
  悪影響として、よく知られているのは顔のシワだ。カラスの足跡や深く刻み込まれたシワは、ほとんど顔など日光に当る部分にしかできない。これが「光老化」の典型的サインだ。
 
  このシワは、加齢による生理的老化現象からできるシワとは異なる。高齢者の腹や太もも

 

 
にもできるシワは細かいちりめん状で、前者とは異質なものである。
 
 

シミができるものも、紫外線が大いに関係

 
  紫外線によるシワと同じくらい女性の心を悩ますシミも、紫外線が大いに関係する。 

 
 

紫外線と可視光線から「活性酸素」ができる

 
活性酸素は体の多くの組織に悪影響を!

 
  さらに恐ろしいことは、紫外線と可視光線が結び付くと「活性酸素」を皮膚上に生み出すことがわかっている。活性酸素は、細胞膜の皮膚やDNA、タンパク質、酵素などにダメージを与える「フリーラジカル」という作用を起こす。
  この結果、皮膚がん、糖尿病、高血圧症、肺疾患を悪化させ、アルツハイマー性老化痴呆

 

 
症まで誘発しることまで解明されてきた。
  日焼けはシワやシミの大敵であるばかりでなく各種成人病を誘発する危険なのだ。紫外線の悪影響に対する認識が深まるにつれ、さまざまな防衛法が生まれつつある。

 
 

 

一口メモ:洗顔用石鹸の必要条件とは?

 
  小詩では「シミ・ソバカス・肌荒れ」などの美容対策として、おもに活性酸素・紫外線・乾燥についての対策を記延しました。美容には、これらの対策の他に「洗顔」が重要なことはいうまでもありません。
 
  顔の肌も、私たちの皮膚の一部です。石鹸で洗えばきれいになります。石鹸の一成分である界面活性剤が皮膚の汚れを落としてくれます。石鹸は、かつて人々が焼いていた肉から地面にしたたり落ちた油(高級脂肪酸エステル)と、火の下の木炭(苛性カリ)とが混じり合ってできたところから発見されたといわれています。2000〜3000年前から使われてきた長い歴史のなかで、自然の原料から造られた石鹸の安全性は証明されています。
 
  ところが最近では、このような自然の原料を素材にした石鹸だけでなく、合成界面活性剤ろ用いた石鹸もあるようです。このような石鹸では毒性が心配です。例えば合成洗剤のシャンプーを白ネズミの背中に塗布した実験(坂下栄・元三重大学医学部助手)ではネズミの背中の毛を刈って、シャンプーを塗布したところ強い皮膚障害を起こして、シワをつくり出血したりして15日目で皮膚がごっそりとはげ落ちました。人間の頭皮においても、毛根への影響は否定できません。また、合成洗剤は環境をも破壊します。合成洗剤を使う家庭の排水路にいるイトミミズやミジンコなどは死んでしまいます。これらの水中の微生物・水中生物が死んでしまうと水の洗浄能力の減少を招きます(「最新 危ない化粧品(日本消費者連盟)」から)。
 
  このため、常に外気にさらされるお顔の洗顔用石鹸には特に毒性の少ないものが求められます。具体的には、肌に対する刺激の少ない成分を用いること、香料や防腐剤の使用量と低く抑えること、さらに肌の保湿成分えを持たせることなどが必要な条件といえます。