[§1 身体やお肌を酸化する活性酸素について]

§1-3

活性酸素は「体内公害」
活性酸素は生活活動の「産業廃棄物」

近藤元治・京都府立医科大学教授:毎日新聞

 

  どんな工場でも生産活動により必ず産業廃棄物がでます。産業廃棄物が処理能力を超えて作られると公害が生じ、環境に悪影響をもたらします。
  体でも同じでエネルギー源に燃焼に利用された酸素は、最終的に水素と結びつき水となるが、その過程で産業廃棄物といえる体内公害物質・活性酸素を生じる。
 
 

体内公害物質である活性酸素とは何か?

 
 
私たちの生存に不可欠な酸素がその元凶なのです。昔から高濃度の酸素の中では、動物はけいれんや呼吸不全を起こすことが知られています。
  これは酸素が中枢神経や呼吸器に毒性を発揮するからです。酸素も使い方によっては、危険と紙一重なのです。
 
 

活性酸素は不安定で化学反応をする物質

 
  体内に入った酸素は細胞内でさまざまな物質を酸化させ、自らは還元される。その過程で大気中のものより活性の強い酸素の親類や、その関連物質ができる。
  これが「活性酸素」と呼ばれるものです。関連物質のなかには、それを構成する分子、原子の電子が極めて不安定になっているためやたらと周囲の物質から電子を引き抜いて、自らを安定させようとするものもあります。これが「フリーラジカル」とよばれる過激物質です。
  活性酸素にさまざまな種類があるが、中にはおなじみのものがある。過酸化水素。これを含んだ液が消毒薬のオキシドールとして知られている。
  オキシドールを傷口に塗るとばい菌を一瞬のうちにやっつけてくれるのが、それと同じように活性酸素は体内で細胞に傷害を与えるというのだ。

 

 
 
 
活性酸素やその仲間は多くの病に関与

  
  このように激しく化学反応する活性酸素やフリーラジカルは、細胞膜の脂質やタンパク質、核、酵素などに傷害を与え、さまざまな病気を誘発したり関与したりすると考えられているのです。
  たとえば動脈硬化、発ガン、糖尿病、老化、心臓や脳の疾患、自己免疫疾患、白内障、てんかん発作、凍傷ややけど、貧血、アルツハイマー病。