間違ってはならない『活性酸素・SOD』の正しい知識!誤った知識!

試験管中のSOD値や抗酸化活性値の高いのが
よい食品や薬剤とはいえない

丹羽靱負・土佐清水病院長:激増  活性酸素が死を招く(日本テレビ出版)から

 

  最近SODが有名になってきたため、非常に多くの活性酸素を消去する抗酸化剤(もちろん、内服するので、既述のようにSODなど高分子の酵素類でなく、腸から吸収可能な低分子酸化剤です)の製品が、天然のものや合成品で健康食品や医薬品として盛んに販売されはじめています。
  そして、大学の研究機関などに依頼して、自分たちの製品が試験管の中で活性酸素を著しく低下させたと誇らしげに宣伝して、販売されています。この点に関しましては、私の論文で繰り返し強調しておりますし、天然の植物・種子は毎日強力な紫外線にさらされ、莫大な活性酸素を浴びているにもかかわらず、青々しく、みずみずしく成長しているのは、莫大な高分子・低分子の抗酸化物質が天然の植物・種子の中に含有されているからなのです。
  健康食品や薬の活性酸素を低下させる力の測定は、試験管中で活性酸素を作り、そこへ目的の健康食品や薬物を入れ、活性酸素を低下させる度合の強弱でもってSOD値を表わしていますが、試験管の中では活性酸素を低下させて当たり前で、活性酸素の消去作用のない天然の植物・種子があることの方がおかしいのです。
  大切なことは、天然の抗酸化物質が活性酸素や過酸化脂質が悪さをしている炎症の場に到着して、抗酸化作用を発揮するかどうかにかかっているのです。
  私のSOD様作用食品が有名になると、近年その類似品ができはじめました。一般に販売されるようになってから、類似品の販売業者が、ある検査請負業者にSOD値の測定を依頼し、その結果で、丹羽の開発したSOD様作用食品より十〜二十倍もSOD値が高いのだからよく効く≠ニいって販売しておられる方を見かけます。
  これは、あくまでその検査請負業者のデータで、私の研究所で同じ製品を測定しますと、私の開発したSOD様作用食品の十分の一の値しかでなかったことを経験しています。要するに、そこの値が非常に狂っている結果だったのです。
  私は何度も書面で抗議しました。私はこの道何十年のプロで、活性酸素、SODを測定し、かつ英文の国際医学雑誌の審査員を何年もやっており、数多くの国際的な研究家のSOD値の測定審査もしてきていますが、こんなベラボウな数字をだしているところはありません。
  SOD値を測定した業者のところは、せいぜいSODの測定を始めて四、五年のキャリアでした。こういうデタラメな数字を錦の御旗に振りかざして、SOD値の高さで自分の商品の宣伝をしているのです。
  百歩譲って、そこの測定結果が正しいとしても、概述べのように大切なことは、その製品が体内に摂取されてからどのように活性化されて、体の各部分の細胞レベルで活性酸素を除去させて効果を発現させることができるかどうかにかかっているのです(最近は、私の執拗な抗議でその測定業者は測定方法を改めましたが)。要するに、天然のものは試験管の中でSOD値が高いのです。それをいかに加工処理して体内で活躍させることができるかどうかが問題なのです。

[ 補 ] 検査センターでの過酸化脂質値の測定への疑問
  先の業者のSOD値の測定方法は問題があると申しましたが、もう一つの測定値で問題になるのは過酸化脂質です。
  中風、心筋梗塞の原因として、コレステロールや中性脂質の値の高低を気にするより、活性酸素が血中の脂質と結合して過酸化脂質を作ることの方がはるかに問題なのです。皆さんの病気のバロメータとしてほしいのは、血液中のコレステロールや中性脂肪を測るより、血液中の過酸化脂質がどうかということなのです。
  私は、自分の研究所で、患者さんなどの血液中の過酸化脂質値を測定していますが、一般の病院では、ほとんど過酸化脂質の測定は検査を請け負う検査センターへ送り、そこで測定してもらっています。
  私は、月一回全国数ヵ所の病院でも患者さんを診察し、この検査センターで測定した過酸化脂質値の結果をみますが、今まで何百人〜何千人測定した中で、当然高いと思われるような患者さんでも、一人も高い測定結果の出た人はおりませんでした。
  一方、私の研究所で測定した過酸化脂質値では、当然そう思われる患者さんは、やはり測定の結果大部分が高いという結果がでてきます。各地にある検査センターの過酸化脂質の測定方法は、先の業者同様に、問題があるものと思われ、一般検査センターの過酸化脂質値は信用しない方がよいと思います。
  もう一つ考慮にいれなければならないことは、私の病院で過酸化脂質の高かった人を抗酸化剤で治療し、経過が良くなったときに、再び過酸化脂質値を測りますと、過酸化脂質値も低くなりますが、ずっと続けて抗酸化剤を飲ませて過酸化脂質値を測りますと、その患者さんの臨床結果は引き続きよいのに、血中の過酸化脂質値は、ある程度よくなると、それ以上よくならなかったり、また逆に少し上昇してくることがあります。
  この原因は、はっきりと解決はつきませんが、過酸化脂質は血液中で悪さをするのではなく、血管や組織に付着して悪さをするもので、一番肝心な組織や血管壁に付着している過酸化脂質値が測定できないことが一つの原因と考えられます。