第5章 化学的に証明された丹羽SOD様作用食品 |
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現代の私たちを悩ませる病気の原因が、活性酸素・過酸化脂質を原因とすることがいかに多いことか十分にご理解いただけたと思います。放射能ばかりでなく、車から排出される窒素酸化物など身近な環境汚染が進み、オゾンホールによる紫外線の増加等、個人が対処するのに限界もあります。また、こうした新たな問題により、動物に本来備わっていた過剰な活性酸素に抗う機能も限界となり、アトピー性皮膚炎や癌に対して対症療法的な西洋医学の限界をも露呈すつつあります。 このような悪環境のもとで、『どうすれば健康を保って生きていけるか』ということが切実な問題として問われています。 そのためのは活性酸素を除去する高分子抗酸化剤(酵素類)や、ビタミンE、Cをはじめとする低分子抗酸化剤を、薬や健康食品として体外からとり入れる必要があります。ちなみに、これらの高分子抗酸化剤と低分子抗酸化剤をまとめてSOD製剤と呼びます。 このSOD製剤に関しては、ここ数年、発癌をはじめ、多くの成人病などが過剰な活性酸素によって生じていることが明かにされてきたため、数多くの健康食品会社や薬品会社が製造し、販売も行なっています。しかし中には、かなり誤った考え方も存在しています。 活性酸素や過酸化脂質を取り除くためのSOD製剤を開発するためには、正しい専門的な知識を必要とするのです。 実際に、国内外の代表的な製薬メーカーが多額の研究開発費を投じてSODの注射薬の開発に取り組んできましたが、臨床的に成果のあるSODの注射薬が作られていません。 注射によって体内に送り込まれても、わずかな時間で半分が体外に排出されてしまい、残った部分も、患部―活性酸素や過酸化脂質が害を及ぼしているポイントへ到達できなかったのです。 さらに、効かない理由の一つに、SODの原料としてほとんどの会社がヒト(人間)の赤血球を使い、遺伝子工学を利用してヒト由来のSODを増やして注射にしたことにあります。これはアレルギー反応を警戒してのことなのですが、この点について丹羽博士は鋭く異議を唱えていました。 丹羽博士は、SODの注射で優れた有効な注射を開発することに成功した、フランスの生化学者ミッケルソンとの数年にわたる共同研究の結果、ヒトの赤血球から摂ったSODは、同種のヒトには効果がないことを、細胞のレセプター(受容体)への付着の難易性の問題などから証明していました。 この問題について、丹羽博士は学会や医学専門誌で精力的に論文を発表してきましたが、ヒトの赤血球を使わずに、ウシの赤血球をその原料にすることについて、患者さんと製薬会社間の医事紛争が激しくなってきた状況下、大手の製薬会社は抵抗があったようで、ついに有効なSODの注射の開発に至りませんでした。 実際にはアレルギーの問題についても、専門的な表現で言えば、ウシのSODの構造が、アレルギーの原因になる糖鎖がなく、かつそのアミノ酸のループがα―helixでなくβ構造であるためにアレルギーを起こしにくいのです。 したがって、唯一、SODの注射での開発で実際を挙げていたのは、このミッケルソンのリポゾ―ムSOD注射だけといえるかもしれません。当時、フランスで開発されたこのリポゾ―ムSODを日本に持ち帰り、治療に効果を上げていたのが丹羽博士ですが、副腎皮質ホルモンでも効かないような重症の難病の患者さんにも効果を示し、多くの人命を救いました。 このリポゾ―ムSOD注射の効果は、活性酸素が細胞を破壊し死に至らしめる典型的な症例であるパラコート中毒への対応ではっきりしました。これは丹羽博士の研究所へ、長崎大学外科医の渡部臨床医師が、活性酸素やSODの測定法を習いパラコート中毒患者への応用を研究していた成果でした。 長崎へたくさんこの注射を持ち帰り、変わった使用方法を考え出しました。救急で搬送されてきたパラコート中毒の患者さんに、点滴の針を刺したまま固定し、ほとんど1ヵ月間リポゾ―ムの注射液を点滴で患者さんの体内に入れたのです。この方法により、当時、致死量100パーセントとも言われたパラコート中毒患者を多数、救うことになります。 ところでこのリポゾームSODはその後、ヨーロッパの牛の伝染病の問題から、フランスでは牛の血液から医薬品を製造することが禁止され、SODの注射を断念せざるを得なくなりました。(この即座の断念は、後年の日本の血液製剤とHIV訴訟の問題をみるとき、どれほど適切な判断であったかは言うまでもないと思います。) この断腸の思いを契機に丹羽博士の研究は、ミッケルソンのリポゾ―ムSODができる10年以上も前から温めてきたアイディア、腸から吸収できる『低分子』抗酸化剤に重きを置くようになります。 |
1 腸から吸収できる低分子抗酸化剤の開発 |
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