(b)単一の抗酸化剤の大量摂取は逆効果
丹羽博士の研究の成果で、もう一つ注目すべきものがあります。
それは活性酸素の除去を目的として、1種類の低分子抗酸化剤を単独に大量に使用すると、活性酸素を低下どころか逆に増加させるという、かえって逆の効果を生ずる場合があるということです。必ず複数のものを摂取することが大切になります。
例えば、試験管内に活性酸素を入れておき、そこへビタミンCをすこしずつ量を増やしながら加えていきますと、最初はビタミンCの添加量に比例して活性酸素は、当然のことながら減少していきます。しかし、あまり大量に加えると、突然、活性酸素が増加する現象が起こります。
ところが、そこの他の抗酸化剤を一緒に入れてやると、こういう現象は起こりません、量が極端に増えると結果が逆転する現象は、ビタミンCに限らず、他の抗酸化剤でビタミンEやキノン類などにもよくみられます。
そこで、丹羽博士らあ、天然の植物・種子中で、このようなビタミンC・ビタミンE・ポリフェノールなどの複数の低分子抗酸化剤を大量に含有しているものとして、表に示したように大豆・ゴマ・胚芽・糠・ハトムギ・抹茶・柚子汁などをみつけました。そして、これらを適当に加熱したりして、混ぜ合わせて、まず患者さんに服用してもらいました。
天然で、しかも複数の低分子抗酸化剤が含まれているので、人体の活性酸素を低下させ病気に効果がみられるはずですが、実際にはあまり効果がなく、平均10人中1人か2人程度で、なんとか効果が得られたと思われる程度でした。それは決して満足できる結果ではなく、優れた内服用の抗酸化剤が得られないことに頭を悩ましていたのです。 |