多くの難病治療へ希望の明かりとって代わる治療法alternative treatment

丹羽博士が開発した低分子抗酸化剤SOD様作用食品
丹羽靱負・土佐清水病院長:クスリで病気は治らない(みき書房出版)から


 活性酸素とSODの関係

  天然SOD製剤のメカニズムを語るには、その前提としてこれまで何度も述べてきた活性酸素について語らなければなりません。現代病の実に90%は活性酸素が関与しているにも拘わらず10年前までは、活性酸素と人間の病気の関係は、一般にはほとんど知られていなかったのです。しかし、私の研究から、ここ数年、癌をはじめ中風、心筋梗塞、脳心血管障害やベーチェット病、間接リュウマチ、クローン病、種々の膠原病、肝炎、糖尿病、白内障、しみ、そばかすなど、90%の急性・慢性の炎症疾患が、直接あるいは間接的に過剰に体内で産生された活性酸素によって引き起こされていることが明かにされてきました。
  そして、この活性酸素の産生は正常な人体の防御細胞である食細胞によってなされる他、表1に表示しましたように、紫外線、放射線をはじめ環境汚染物質になっている、農薬パラコート、殺虫剤、工場の煤煙、自動車の排気ガス(NOx)などによって大量に活性酸素が発生します。
 

表1  生体内での活性酸素の増産因子

1) 食細胞……
2) 紫外線……
 
3) 放射線……
4) 化学物質
          (a)……
 
 
 
          (b)……
 
 
 
 
 

進入した菌や黴を貪食して、活性酸素を出して溶解する。
フロンガスによるオゾン層の破壊は地上への紫外線照射を増強させ、活性酸素を大量に産生している。
細胞の核のDNAで活性酸素を発生しては核を破壊する。
 
放射線と類似のメカニズムのもの(細胞の核で活性酸素発生)。
農薬(パラコート)
殺虫剤(スミチオン系)
医薬品(殺菌剤、抗癌剤)
細胞全体で活性酸素を産生するもの。
塩素化合物・トリハロメタン(ダイオキシン)・PCB
メチル水銀・Mn3+化合物・Cd2+化合物
フェニルヒドラジド(抗結核剤)
下痢止め抗生物質(クロラムフェニコール)
窒素酸化物(NOx)……排気ガス、重油・石油をたいた煤煙

5) 血管内の循環血流障害時

                                          血流障害
                                               ↓
    xanthine dehydrogenase→→→→→→→xanthine oxidase→→→→→→→活性酸素

2)  3)  4) ……
5)・……………
環境汚染因子
(現代文明社会の下の)ストレスでも発生

 
  フロンガスによるオゾン層の破壊は、紫外線の照射量を増加させ、そのため紫外線による活性酸素の産生が増量し、原子力発電や、放射線漏れも地上での活性酸素産生を著しく増加させ、今述べました活性酸素によって発生する病気の患者数をどんどん増加させています。
  そこで、この過剰に産生されて種々の病気を引き起こす悪玉活性酸素を除去させる物質や酵素類のSOD、catalase、GSH‐PXなどが、これら多くの現代病を治療薬として最近クローズアップされてきたのです。従って、本当にこの活性酸素を除去、消去できる医薬品や食品の抗酸化剤(活性酸素を除去、低下させる製品という意味)が開発されれば、これらは、90%(以上)の病気を改善させることができるわけです。
  この抗酸化剤の中で、特にSODという活性酸素消去剤が注目されたのですが、このSODは分子量三万以上の酵素でして、腸からは吸収されないため、病気の治療薬として使われるためには、注射でなければなりません。このSOD注射は、注射すると非常に早く尿から排泄されてしまうことと、活性酸素や過酸化脂質が悪さをしている細胞膜の所へなかなか到達しない欠点が存在することなどから、内外の生薬会社が競ってSOD注射の開発に努力していますが、(私が10数年前、フランスのミッケルソンから譲りうけた特殊なリポゾ−ムをSODに被包させて、このSODの欠点をカバーしたリポゾ−マルSODを除き)なかなか思うように有効なSODの注射が出来上がっていません(また、ミッケルソンのSODの注射は、牛の赤血球から製造していたのですが、平成六年牛のウイルス感染の問題などから製造禁止になっています)。
  著者(丹羽)はミッケルソンのSODの注射を患者さんに使っていたころから、注射だけではなくて活性酸素を除去させる内服の抗酸化剤(活性酸素を除去させるクスリの意味)の開発に取り組み、次に述べるように副作用のない天然の植物・種子を特殊な方法で加工させ、含有有効物質を活性化させて、活性酸素を有効に除去させることに成功しました。即ち、活性酸素の関与した多くの病気に効果を発揮する低分子抗酸化剤、SOD様作用食品の開発の歴史やその経過、作用メカニズム、臨床効果について、次にまとめてみることにしました。
  なお、著者(丹羽)の開発した低分子抗酸化剤SOD様作用食品≠フ名称の由来は、高分子の抗酸化剤SODは腸から吸収されず、口から食べてもだめで、私の開発した製品の有効成分は、腸から吸収可能なビタミンE、C、B2、カロチン、フラボノイド、カテキンなどの低分子抗酸化物質が主成分ですが、活性酸素を除去させる物質として、SODがあまりにも有名であるため、SODと同じ作用を持っている(低分子の)抗酸化物質≠ニいう意味でこう命名したものです。
 


 SOD研究開発の歴史と経過

  ここで先述したSOD製剤について、詳しく触れてみることにしましょう。まず、表2をご覧下さい。活性酸素を除去させる物質には、分子量が三万以上の酵素類(SOD、catalase、peroxidase…高分子抗酸化剤と呼ぶ)と、分子量が小さく腸から吸収可能な低分子の抗酸化剤(皆さんがよくご存知のビタミンE、C、B、カロチン等)に分けられます。

  SODについては10数年前に、フランスの生化学者ミッケルソンが、牛の赤血球から抽出し、特殊なリポゾ−ム(liposome)を被包して注射薬をつくることに成功しています。ちょうど、当時私とミッケルソンは、文献を送り合ったりして学術面での友人になったのです。そして、私が当時所属していた厚生省の難病(ペーチェット病)研究班や私の病院で、ペーチェット病や膠原病などの病気にこの注射を試用して、かなりの成果を挙げ、多くの難病の患者さんやこれを使われた大学の先生方に喜んでい頂いていました。   しかし、注射のみでは不便で、なんとか常時家庭で内服出来、しかも、SODの注射と同じような効力をもったクスリが出来ないものかと。いろいろ頭を悩ませていました。

表2 活性酸素を生体で取り除く物質(抗酸化剤)

高分子抗酸化剤……
(分子量3万以上)
低分子抗酸化剤……
(分子量200〜400)
 

SOD酵素、catase酵素、
peroxidase酵素
ビタミンC・E・B2、カロチン、カテキン、ポリフェノールズ、フラボノイド(ズ)等


  いわゆるクスリ(未だ正式な医薬品になっていませんので、SOD様作用物質と呼ぶ。私達医師は、医療行為として患者さんに使用出来、一般の皆様は健康食品で買うことになります。)の開発に着手したのです(活性酸素を除去し、腸から吸収可能な低分子物質から成っているため、表2に示しますように、低分子抗酸化剤とも呼びます)。
  ところで、まず最初のヒントになったことは、皆さん良くご存知のビタミンC・ビタミンE・ビタミンB2などをはじめ、カロチン・カテキン・フラボノイド(複数)・ポリフェノール(複数)などでこれらは分子量が小さく(大体200〜300くらい)、腸管から吸収可能で活性酸素を有効に取り除くことの出来る物質(抗酸化剤)であるということでした。当時私はこのような物質(薬品)を薬品卸屋さんから買い、適当に混合して、活性酸素、過酸化脂質に関連のある病気の患者さんに飲ませていましたが、ほとんど効果がありませんでした。例えば、しみ・そばかす≠フメラニン色素形成は、活性酸素(紫外線)の存在化で促進され、私が医者の卵の頃から現在に至るまで、大病院へ行こうと、どこで治療を受けようと、ビタミンE・ビタミンCを大量に内服させます。が、いっこうに目立った効果がみられません。理論上は効いて当然のこの低分子抗酸化剤による治療が効かないのです。
  そこで私は、いろいろな実験を行った結果、内服用低分子抗酸化剤を用いて治療する場合は、次の点に留意しなければ、充分な臨床効果が得られないということが判ったのです。即ち科学合成品ではだめで、天然のものを使用すべきだということでした。これは先輩の生科学者や植物学者に合成品でも天然のものでも科学構造式はまったく同じで、臨床効果に優劣の差があるのはおかしい≠ニいう科学的な反論にあうのですが、実際使ってみると科学合成品は効果が落ちます。

図1   細胞の受容体と吸収された物質

  そこでこの問題を解決した私の実験なのですが、確かにこれらの低分子抗酸化剤は分子量が小さいので、腸管から吸収され、体内の血液中に運ばれていきます。ところどころで説明していますように、活性酸素や特に化酸化脂質が実際に存在して悪さ≠している所は、細胞の中の膜≠フ部分なのです。ですから、血液中に取り込まれたこれらの抗酸化剤は、さらにこの細胞の膜の中に入っていかないと、実際の効果が出現しないのです。ところで、細胞外の物質が細胞内に取り込まれるためには図1のように受容体(receptor)という受け取り手が細胞についていて、ここで一度受け取られてから、細胞の中に取り込まれる仕組みになっているのです。ところが、この受容体は受け取る物質の好き嫌いをする≠フです。

  私の実験結果では、科学合成品のこれらの低分子抗酸化剤は、天然のものに比較して、この受容体による受け取られ方が非常に劣ります。要するに、人間の細胞の受容体は、科学合成の物質により、天然のものの方をより好んで受けとって細胞内に取り込もうとするのです。これは、人間の細胞は何万年も前から天然の物質を食べ、その中に含まれている低分子抗酸化剤を受け取る習慣がついているところへ、20〜30年前から人間が科学合成品を作りましたが、いくら科学的構造式が同じでも、人間の細胞は天然のものを巧みに嗅ぎ分け、何万年もなれている天然のものの方をよりたやすく受け取ろうとするものと理解されます。
  そこで、私は天然の植物・種子中で、このようなビタミンC・ビタミンE・ポリフェノール等の低分子抗酸化剤を大量に含有しているものとして、大豆・胡麻・胚芽・糠・ハトムギ・抹茶・柚子汁などを見つけ、これらを適当に加熱したりして、混ぜ合わせて、まず患者さんに服用させてみましたが、あまり効果はなく、平均10人中2人くらいに何とか効果が得られたと思われる程度で、優れた内服用の抗酸化剤が得られないことに思案していました。今から、約10年前になります。私は自身の研究所で、ある画期的な実験を思いつき、またその実験の結果得られた複雑な資料の解決に約半年ほど要しましたが、すばらしいひらめき≠ノより合理的な結果が得られ、以後、私は薬害のない天然の植物・種子から多くの優れた製品を作ることが可能になりました。
  私が自然回帰≠フ運動に心身ともに没頭するようになったきっかけは、この優れた天然のクスリを作る方法を、この実験で会得したからにほかならなのです。
 


 含有低分子化合物の重合を切断すること

  その実験内容をここで詳しく紙面を割いて説明しても、なかなか理解しにくい実験ですねで、ここでは割愛させて頂きますが、興味を持ってくださる読者の皆さんには、著者の医学論文を読んで頂くことにしまして、本書ではその結果だけを平易に説明させていただきます。

図2 加熱、胃液処理、発酵前後の植物内抗酸剤

  即ち、一般に、天然の植物・種子は、あの強い太陽、紫外線に一日中直接されされても、生き生きと、みずみずしさをたたえて育っています。それは、植物・種子が生(ナマ)の状態である時に紫外線(活性酸素)などに抵抗しているその大部分はSOD・カタラーゼなどの高分子の抗酸化剤・酵素類であって、ビタミンE、C、B2、フラボノイド、ポリフェノールなどの低分子抗酸化剤は、図2のように、その大半がお互いに手を繋ぎあったり、蛋白質などと手を繋いで動けない状態でいるということがこの実験で判ったのです。即ち、この手を繋いで動けない状態でいることを科学的に重合≠ニ呼び、重合していると、その物質が自由に動けずその本来の作用(ここでは活性酸素を取り除く作用)を充分発揮できないのです。

  ところが、今度は、この植物種子が、口から体内に摂取されると、一変して、役目が変わってくるのです。まず、口から食べる場合は、たいてい、熱を加えることと、胃液にも洗われるという二つのファクターが入ってきます。加熱したり、加熱をしなくても胃液に一度ぶつかりますと、高分子のSOD・カタラーゼ酵素類は生き物≠ナすので死んでしまい、活性酸素を取り除く力は失われてしまいます。一方、生の状態で重合し合っていて、充分動けずその本来の作用を充分発揮できないでいた低分子の抗酸化剤は、理想的な加熱をすれば、また、強力な消化力を持つ胃液にあえば、この重合していた鎖が解かれて重合状態の切断は条件つきでして、一般に行われている加熱方法や、現代人の胃液の力では、この低分子抗酸化剤の重合状態が充分に切断されず、従って、一般に食されている天然の植物・種子では、体内であまり充分に活性酸素を除去する効果を発揮出来ないでいるということが判ってきたのです。

  重合を切断して、自由に低分子抗酸化物質を活躍させる手段としては調理による加熱がよいのですが、例えば、一般に大豆を皆さんの家庭で煎っている図を描いてみますと、図3のように鉄板の容器にいれて下から強い火力で煎っています。これでは大豆の表面は焦げてしまってビタミンCやカロチンなどは死んでしまい、活性が失われてしまいます。また、大豆は、固くて厚いため、その熱は、大豆の中心部の大部分には届いておりません。これでは、重合の鎖などの切断は到底不可能です。

図3   穀物の焙煎法

  そこで、私は表面が焦げず、芯まで届くための加熱方法として四〜十四ミクロンの遠赤外線≠用いることを思いつきました。即ち、石・土・砂を通過するか反射した熱は、四〜十四ミクロンの遠赤外線が放射されるのです。具体的に申しますと図3のように、鉄板の容器を陶器のものに取り替え、石や、土や煉瓦で囲んだ窯を用い、炭火でじっくり四〜五時間かけて煎ります。この時の温度は、それぞれ抗酸化剤の活性を失わないためにおおむね九八度Cを超えないようにします。このような焙煎方法を行い、大豆を例に挙げますと、表面は全然色が変わらず、指でおすと、簡単につぶれてしまうくらい柔らかく熱が通っています。そして、実験室で調べてみますと、ビタミンE・カロチン…などの低分子の抗酸化剤は、大部分、見事に重合から解離され、フリーな活動型の物質となることが証明されました。

表3  焙煎・発酵前後の“SOD様作用物質”中のFree Formの活性型低分子抗酸化剤の定量値

  Vit‐B2 Vit‐E Carotene tannin
未処理 0.042 0.096 0.029 0.22
焙煎後 0.081 0.105 0.051 0.38
発酵後 0.094 0.11 0.061 0.42
焙煎
発酵後
0.18 0.14 0.093 0.57

本表は1g中の含有量を表わしpaper  chrmatographyあるいはlumiflavin  fluorescent法で測定を行った。(単位:mg)

  さらに、一層その重合を切断するため、こうじ≠加えて発酵させました。こうじは生き物≠ナして、最適の条件で発酵させますと、蛋白分解酵素(プロテェース)と澱粉分解酵素(アミレース)を分泌し(作りだし)、この重合の切断をさらに促進してくれます。
  この結果の正しさを示した私の実験が、Planta Medicaや他の英文医学誌に発表されておりますので、そのデータを表3に記載しておきます。この表3でお判りのように、私のSOD様作用食品(完成型)を遠赤外線焙煎後、さらに遠赤外線焙煎プラスこうじ発酵後、重合型でないフリーのビタミンEをはじめとする抗酸化剤が増加しています。要するに、低分子抗酸化剤が重合し合って働きにくい状態にあったのをこれら成分を傷つけることなくフリーの活動型にするため遠赤外線焙煎とこうじ発酵を行ったのです。

  実際に実験で確認しますと、表3でわかりますように、フリーの抗酸化剤(ビタミンE、C、B2、フラボノイドなど)が増加して自由に体内で活躍されましたし、また、この製品が実際に私の研究室で試験管中で活性酸素(図4、5)や過酸化脂質の形状(表4)を著しく低下、抑制した実験結果も図4、5、表4に表示しておきます。
 

図4  SOD様作用物質の活性酸素への影響〔T〕
   SOD様作用物質濃度        SOD様作用物質濃度
 
 ○ :SOD様作用物質
 ― :好中球産生の活性酸素
‐‐‐:xanthine oxidase産生の活性酸素
×1:1.8r/ml(内服した場合の生体に分布される濃
      度の試験管中の量)
図5  SOD様作用物質の活性酸素への影響〔U〕
     SOD様作用物質濃度       SOD様作用物質濃度
 
 ○ :SOD様作用物質
 ― :好中球産生の活性酸素
‐‐‐:xanthine oxidase産生の活性酸素
×1:1.8r/ml(内服した場合の生体に分布される濃
      度の試験管中の量)
 
表4   “SOD様作用食品”を含む各種活性酸素除去剤のDoco-sahexaenoic acid
        (ドコサヘキサエン酸)よりの過酸化脂質形成抑制効果

ドコサヘキサエン酸      活性酸素除去剤      過酸化脂質形成量      統計的有意差


−                         ……
+                         ……
+水溶性“SOD様作用食品”(0.63mg/ml)
+油   性“SOD様作用食品”(0.63mg/ml)
+ビタミンE(0.5mM)
+ビタミンC(3mM)
+ヒスティディン(5mM)
+ヒポキサンチン(3mM)

0.000
0.414±0.032(対照)
0.358±0.042(0.01P0.05)
0.172±0.019(P0.001)
0.231±0.027(P0.01)
0.653±0.078(P0.01)‡
0.398±0.047(P0.05)
0.402±0.044(P0.05)


docosahexaenoic acidを20時間紫外線照射した溶液中に産生される過酸化脂質形成量をBeckman Double Beam Spectrophoto‐meter吸光度553nmにて測定。
‡ビタミンCはOH・形成反応と同様、過酸化脂質の形成を逆に促進している。

 
  以上のようにして、加工を加えた原料(半製品)を細かく粉砕した後、今後は、最後に焙煎したゴマより排出(絞り出す)したゴマ油で、油剤化(油に浸す)します。この目的は、概述のように(図1)、身体の中で活性酸素、特に過酸化脂質が存在して、実際悪さ≠している場所がは、それぞれの細胞の膜の所で、この細胞膜は、非常に脂が多く、油親和性の強い(lipophilicな)場所です。皆さんは、日常、お皿を洗う時に、よく経験しておられますように、油のついたお皿は水で洗っても水は撥ね除けられてしまいます。油のある所は、油しか入っていけないのです。従って、以上の原料が遠赤外線焙煎とこうじ発酵で、いくら優れた抗酸化作用を持つようになっても、水や湯で混ぜて練り上げたのでは、肝心な活性酸素や過酸化脂質が悪さをしている所に到達出来ず、何の役にも立たないのです。
  この場合、生のゴマから油を絞るのは、非常に容易ですが、焙煎して熱を加えたゴマは大変乾燥し、油を絞り出すのは至難の業です。しかし、特殊な機械を特別に設計・考案し、機械製作工場に注文した結果、焙煎後の乾いたゴマより油を抽出することが可能になりました。また、生ゴマから絞ったゴマ油を用いて油剤化してもあまり優れた臨床効果がえられず、焙煎ゴマから抽出した油と比較すると、大きな差異が認められます。
  以上の三つの加工方法、即ち、1、遠赤外線焙煎。2、こうじ発酵。3、焙煎ゴマ油による油剤化により、次に述べるように、著者(丹羽)の予想もしなかったような優れた、著しい臨床結果を示す製品が得られるようになったのです。