<10> ス ポ ー ツ と 活 性 酸 素
スポーツによる「虚血・再還流」とストレスが問題
讀賣新聞(95-10-24)から

  スポーツは本当は身体に良いのだろうか?スポーツをする人は長寿、という考え方がある。それに対して、次のような反論もある。「運動しない人は生来の虚弱体質で、スポーツをする人は遺伝形質的にも長寿の家系が多い。統計の取り方に問題がある」この項では、「スポーツには弊害がある」という側面から考えてみよう。

 

大量の酸素消費と体温の上昇が活性酸素を発生する

 
■ スポーツは二重で身体に良くない!
  日常生活で、呼吸した酸素の2%は、活性酸素になります。スポーツなど激しい運動は大量の酸素を必要とし、それだけ発生する活性酸素の量も増加します。そのうえ体温の上昇で、活性酸素の発生率が高くなります。
 
■ 活性酸素は身体を傷つける「酸素毒」
  活性酸素は「酸素毒」とも呼ばれ、細胞膜や酵素、遺伝子を傷つけ、老化、発癌、潰瘍、放射線障害、糖尿病、脳卒中、リウマチなど、色々な疾患に関連することが、最近の研究で明らかになり、「万病のもと」とさえ言えます。
 
■ スポーツの弊害は血流の虚血・再還流
  スポーツでは特定の筋肉を酷使し、血流もそこに集中する。その分、直接関係のない腎臓、肝臓など、他の臓器への血流が減り、虚血状態になる。問題は、競技を終え、再び臓器に血液が還流するさい、活性酸素が発生することです。

 

 
スポーツでもストレスがもたらす様々な障害がある

 
■ ストレスで胃腸に潰瘍や出血・血尿など
  「スポーツはストレスだ」という考え方もあります。その例を幾つか挙げてみましょう。女子の長距離選手に生理が止まっているのに、貧血の人がいます。これは、ストレスで(好中球につくられた活性酸素が胃腸に壁を傷害するために)胃や腸に潰瘍ができ、出血ぢているので、貧血になっているのではないのでしょうか。バルセロナ五輪では、血尿が出た選手もいた、と聞く。
 
■ ゴルフ場での突然死も精神的な緊張から
  ゴルフ場での突然死が、ドライバーで打つ時より、グリーンでパットを狙うときの方が多いのも、精神的に緊張するからでしょう。