筋萎縮性側索硬化症(家族性ALS)に
SODと活性酸素が関与

家族性ALS(別名:ルー・ゲーリック病)にSOD産生遺伝子が欠如
読売新聞(95-03-04)から

  筋肉が次第に動かなくなる難病として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因は、生体内の有害な活性酸素の毒消しの役目をする酵素SODの遺伝子異常と関係することを米国の研究グループが付き止め、英科学雑誌ネーチャーに発表した。全く原因不明だったこの病気の治療法開発につながる研究と高く評価されている。

       

 

 
 ALSはSOD産生遺伝子の突然変異
  発表したのは、米マサチューセッツ総合病院のロバート・ブラウン博士ろ。ALSのうち、遺伝で伝わる家族性ALSの家系の遺伝子を詳細に調べた。その結果、13家系でいずれも、21番染色体のDNA(遺伝子の本体、デオシキリボ核酸)のうちSODと呼ばれる酵素をつくる遺伝子に突然変異があることを確認した。
  SOD酵素は、体内に発生して細胞を傷つける活性酸素を水と通常の酸素に変える、いわば毒消しの働きをしている

 非遺伝性ALSもSOD遺伝子異常の可能性
  グループは、配列異常が見つからなかった家系や非遺伝性のALSでもSOD遺伝子の異常がある可能性が大きいとみている

 

 

※ルー・ゲーリック病 : 運動神経細胞が侵される病気で、30〜50歳の男性がかかりやすく、多くは5年以内に死亡する。知覚障害はなく、車椅子宇宙理学者として有名な英国のスティーブン・ホーキング博士もこの病気にかかりながら研究活動を続けている。家族性ALSは、ALS全体の約1割を占める。